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「On」が飽和市場で勝てるワケ

私が「On」を認知したのは、今年の箱根駅伝でトップランナーがこのシューズで走ったことを知った時からです。

それ以来、電車で履いている人を見かけたら「おっ、履いてる!」って目が行き、メールアドレスを登録したのでプロモーションが届くようになり、この数ヶ月衝動買いの一歩手前にいる状態でした。

デザインが斬新でカッコいいし、「スポーツシューズ界のアップル」と言われるブランドを履いてみたいという好奇心というか欲求が高まっています。

日経の「ヒットのクスリ」で創業者のオリヴィエ・ベルンハルド氏をインタビューした記事が2回に渡り掲載されました。

トライアスロンの選手だったベルンハルド氏が履き心地とパフォーマンスを追求するシューズを考案しようと考えて、ゴムホースを靴底に貼り付けたところから始まったそうです。

たしかに、靴底の空洞を見ると「ゴムホースだ!」って思いました。

このアイデアをナイキなどの大手のシューズメーカーに持ち込むも採用してもらえず、だったら自分で作ろうと起業に至ったそうです。

起業当初はもちろん苦労したそうですが、13-14年に発売した「クラウド」がアスリートだけでなく、膝に優しい「高齢者向けのシューズ」としてヒットとなり、また、東京五輪で活躍したトライアスロン選手が「クラウド」を履き、Onの成長に寄与しました。

Onはこの10年と少しの間に急成長し世界60ヵ国以上で販売されるようになったわけです。

シューズ市場は、10年前も今も飽和市場です。アディダス、ナイキ、ニューバランス・・・、指折りの強力なブランドが存在します。

そんな中で、新しいブランドが10年やそこらで世界で認知されるようになるなんて信じられない話です。でも、これが現実に起きているんですよね。

強力なブランドがあって価格も競争力があって飽和感がある市場に新規参入するのって不可能に感じますよね。なぜ、Onは成功したのでしょうか?

一つ、自分の好奇心と照らし合わせて考えると成功要因が思いつきます。

それは、「消費者は飽きる。」ってことです。

別に嫌いになったわけじゃないけど、いつも同じだとちょっと別のものも試したくなるもんじゃないかと思います。主要な既存ブランドがどれも同じようなものに顧客からすると見えてしまっていたんだと思います。

それでも、何ものかがわからないと手を出しづらいと感じます。だから、ストーリーやサステナビリティというようなキーワードが大事になってきます。

品質と価格が釣り合っていなかったりするとすぐに元のブランドに戻ります。まずは満足してもらえる製品を作り、さらに心を掴むストーリーだったりサステナビリティがついてくると、飽和市場であっても(もしかすると飽和市場で顧客が飽きているからこそ)シェアを獲得できる見込みが高まります。

このように考えると市場に多くのプレーヤーがいるレッドオーシャンもけっしてあきらめる必要はないと思えてきますね。

とりあえず、私は次のランニングシューズを「On」にするか、迷い続けたいと思います。


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