見出し画像

オーバーツーリズム対策としての宿泊税の導入について考える

先日、姫路城の入場料の引き上げについて書きました。

オーバーツーリズムという共通する課題に対する施策として、日経新聞(6月23日付)に宿泊税導入に対する記事が掲載されました。

宿泊税導入の広がり

宿泊税の導入は、訪日観光客の急増を背景に多くの自治体で検討されています。記事によれば、現在12の自治体が宿泊税を導入しており、30以上の自治体が検討中とのことです。この税収は、観光地のインフラ整備や安全対策に充てられることが期待されています。

例えば、京都市では宿泊税によって年間約48億円の税収が見込まれ、この資金は観光特急バスの新設や京都駅の整備などに使用される予定です。富士河口湖町や富士吉田市なども、観光客の急増による混雑緩和のために宿泊税の導入を検討しています。

経済効果と観光産業の振興

宿泊税は地方財政の強化にも寄与しています。例えば、福岡市では宿泊料金が1泊2万円未満の場合、1人につき200円の宿泊税を徴収しており、この税収は国際的なイベントや会議の誘致活動に使われています。これにより、観光産業の振興と地域経済の発展が期待されています。

世界的なオーバーツーリズム対策の例

世界各地でも、オーバーツーリズム対策として外国人旅行者に観光税や宿泊税を課す例が増えています。例えば:

  • ニュージーランドでは、2019年7月から35ニュージーランドドルの観光税を導入し、この税収は持続可能な観光と保全プロジェクトに投資されています​ (Link)。

  • アイスランドでは、観光地保護基金が設立され、宿泊税を財源としています。この基金は観光地の安全確保や自然保護に使用されています​​。

  • 欧州各国では、21か国が観光税、宿泊税、その他の観光関連税を導入しており、その収益を持続可能な観光開発に投資しています(Link​ )(Link) 。

議論すべき点

  1. 繁忙期と閑散期の区別による税の変動

    • 繁忙期と閑散期で宿泊料金を変動させるのはホテル業界では一般的ですが、宿泊税も同様に変動させることを検討すべきでしょう。ホテルランクに応じた税率設定も同様に検討すべきだと思います。

  2. ビジネス客と観光客の区別

    • ビジネス客に同様の宿泊税を課す必要があるのかは検討すべき余地があると思います。ビジネス目的の旅行者は地域産業の発展にも貢献することになりますし、彼らに対しては免税措置を講じるべきではないかと思います。

まとめ

宿泊税の導入は、観光地の維持管理や地域経済の活性化に重要な役割を果たす施策です。これらの取り組みは、訪日観光客の増加に伴う課題を解決し、持続可能な観光地を実現するために不可欠なことだと思います。一方で、税というくくり方だけでなく、観光客に善意の寄付を促す仕組みづくりも考えてみる価値はあると思います。

参考記事: 

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?