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「姫路城の外国人向け入場料金を4倍に引き上げ」に賛成する理由

先日、姫路市長が姫路城の入場料を外国人旅行者向けに$30程度に引き上げ、日本人との差を4倍にするという発言をしてニュースになりました​(Link)(Link) 。大きな騒ぎにはなっていないみたいですし、概ね賛成の意見が多いように思います。反対意見としては、「日本は途上国の真似をするのか?」「おもてなしの日本の美徳はどこへ行った?」というところだと思います。私は、基本的には賛成です。基本的にというのは、価格設定の仕方としては工夫すべき余地があると思うからです。では、まず賛成の理由から述べたいと思います。

理由1:日本の価格は安い

世界的に見ても、国宝の姫路城の入場料が1000円というのは安いと考えます。日本には国宝とされる城が5つあります(姫路城、松本城、犬山城、松江城、彦根城)。その中でも、姫路城の美しさは「白鷺城」と呼ばれるだけあって素晴らしいものがあると思います。ドイツのノイシュバンシュタイン城の入場料は、2024年現在で20.5€(約3500円)です​。日本の物価は世界的に見ても安いという自覚をもって価値に見合った価格設定をすべきです。

理由2:先進国でも外国人価格を設定している

確かに、外国人旅行者向けの価格設定は、いわゆる途上国では当たり前のように行われています。一方で、先進国でもオーバーツーリズム対策として、同様の価格設定を行っている例も出ています。例えば:

  • フランス:パリのエッフェル塔では、2階までの入場料が外国人旅行者向けに高く設定されています​。

  • アメリカ:多くの国立公園では、外国人旅行者向けに異なる料金設定を検討しています。現在、アメリカの国立公園システムでは、訪問者数の増加と予算不足の対策として、外国人旅行者向けに追加料金を導入する提案が行われています(Link)​ ​。

  • イタリア:ヴェネツィアでは、観光客向けに3〜10ユーロの観光税を導入する計画が進行中です。これは観光客の数を管理し、都市のインフラを維持するための措置として提案されています​(Link) ​。

理由3:日本の歴史的資産の維持には国税が使われている

「平成の大修理」と言われた2009年秋からスタートした修繕工事では、総額28億円の費用がかかり、18億円を国が、10億円を姫路市が負担しています​。つまり、国の税金が使われています。費用を支払っている国民が払っていない外国人旅行者よりも入場料が安いというのは合理的だと言えます。

価格設定の方法について

とはいえ、旅行者の立場から見た時に4倍も高い価格を支払わないといけないと聞くと、抵抗感を感じる人も少なくはないと思います。姫路は京都や大阪から少し離れていますから、なら京都により時間を割こうと足が遠のいてしまうかもしれません。需給バランスでオーバーツーリズム対策の観点からいえばそれも致し方ないかもしれませんが、姫路城だけが先走りになってしまうのは避けた方が良いと思います。

例えば、表面的な入場料は同じでも文化財保護に対する支出へ還付(年末調整や確定申告時)とか国政で考えてもいいのでは、と思います。そのためにも、価格政策については、地方だけで考えるのではなくて全体で考えるべきテーマであると感じます。観光立国日本として価格政策の在り方を議論すべきでしょう。

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