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連載百合小説《とうこねくと!》白米の誘惑!?東子さまvs一輝お兄ちゃん(3)

 《前回のあらすじ》
 運動したくないと駄々をこねる東子さまに怒った恵理子ちゃん。禁断の電話召喚により、実の兄・一輝お兄ちゃんを呼び出します。
 一輝お兄ちゃんに恐れおののく東子さまに優しく付き添いながら、恵理子ちゃんも一緒に運動を始めるのでした。


「よし、準備はいいな」
 ジャージに着替えた東子さまと私を見て、一輝お兄ちゃんは腕組みしながら言います。
「うん。よろしくね、一輝お兄ちゃん」
 私がそう言った後、「よろしくお願いしますね」と東子さまが挨拶をします。

 先程よりもしっかりした、いつもの東子さまの声。これなら運動も大丈夫だろうなと、私は少し安心しながら東子さまの方をチラッと見ます。

 ……しっかりした声とは裏腹に、東子さまの笑顔は引きつっていました。

 *

 お屋敷にある広いお座敷に集まり、まずはストレッチです。

「無理のない範囲で、気持ちいいと思える程度に身体を伸ばしてください」
 一輝お兄ちゃんの言葉にコクンとうなずいた東子さまは、足を広げてペタンと座り、体をゆっくり前へ倒しますが……

「うー……いたたた……」

 東子さま……体がガッチガチです。ほとんど前に倒れていません。

「ダメですよ東子さま! ちゃんと体を倒さないと」
 私はそう言って東子さまの背後に回り、その背中を──

「いだだだだ!!」

 思いっきり押したところで、「おい恵理子!」と一輝お兄ちゃんに止められました。

「何するのよ恵理子ちゃん! 痛いじゃないのー!」
 涙目でポカポカと私を叩きながら訴える東子さま。

「恵理子、無理に身体を押すのはよくない。余計に身体に負担がかかって危険だ。最初にも言ったが、無理のない範囲で。気持ちいいと思えるくらいがちょうどいいんだ」

 一輝お兄ちゃんの言葉に、「ごめんなさい」と頭を下げる私。
 ストレッチというと、学生の時に体育の時間で2人1組になって、片方の1人がもう1人の背中を押してあげるというイメージが強く残っていたので、それが正しいと思っていましたが……

「ほら聞いた、恵理子ちゃん!? 無理にしちゃダメなのよ! お兄さまの言うことは絶対なんだから!」
 あんなに一輝お兄ちゃんを恐れていた東子さまが、急に「お兄さま」なんて言って一輝お兄ちゃんを崇めだしました。……いや、変わり身が早いです。

「すみません、東子さま。無理のない範囲でゆっくりやりましょう」
 確かにこれは私が悪かったなと反省しながら、私たちは一輝お兄ちゃんのストレッチメニューをこなしていきました。

 *

「よし、身体はあったまってきたか?」
 一輝お兄ちゃんは私たちに尋ねます。
「うん。ポカポカしてきたよ」
「そうね。体が気持ちよくほぐれた感じだわ」
 笑顔でそう答えた私たちを見て、一輝お兄ちゃんは腕組みをして満足そうにうなずきました。

「よし。それじゃ、外に出よう」

 一輝お兄ちゃんのその言葉に、東子さまはさっきまでの笑顔をまた強ばらせました。

「外って、まさか……ランニングするの!?」

 運動嫌いの東子さま。体力面も心配ですから、走るともなるとそれはこちらも不安になります。

「一輝お兄ちゃん! ランニングはさすがにきついよ!」
 私も必死に訴えます。かくいう私も、ランニングには苦手意識がありますから……

「うるさい。ゴチャゴチャ言わないで外に出るぞ」

 スパルタ鬼コーチの一輝お兄ちゃん。容赦なく私たちの首根っこをつかむと、玄関へ向かいます。

「いやぁぁぁぁっ!!」

 虚しく響く悲鳴。私たちは為す術もなく外へ連れ出されるのでした。



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