超高齢社会の、その先に③
ブレインヘルスケアを取り巻く「超高齢社会」の課題
Splinkが掲げるブレインヘルスケアが、進行する世界的な高齢化という、この大きな社会課題に対してどのようにLinkしていくのか。これまで二回にわたって超高齢社会の現在地をみてきました。
今回は、いよいよこのテーマの最終回。ブレインヘルスケア・エコシステムについてお話ししたいと思います。
治療に向けた、明るい兆し
2023年9月、アルツハイマー病治療薬として「レカネマブ(商品名:レケンビ)」が国内薬事承認されました。これから科学的に解明されていく部分も多いかと思いますが、少なくともこれらの疾患修飾薬の投与によって、アルツハイマー病発症に関係する有害物質が除去されているのは、画像をみても明らかです。
“脳の健康状態なんて分かっても意味がない
治療法がないものを診断しても意味がない“
これは創業当時、お客様(医療機関)から言われた言葉です。しかし、創薬イノベーションの世界では、発症を抑えたり進行スピードを緩める疾患修飾薬の開発が進んでいます。大幅な改善が期待できるものや認知症そのものを治す根本的な治療薬が期待されるなか、さらなる革新的な医薬品創出への挑戦が続けられています。
認知症においても、治療技術や早期発見の技術が社会実装され、生活者の方々の心理的な安全性が向上する日がくる、そう確信するための明るい兆しです。
大きなターニングポイント
高齢化率が高く、長寿化も進む日本で「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が2024年1月1日に施行されます。
この国が認知症とどう向き合っていくのか、その方針が示されたのです。
従来から提言されていた認知症の予防・共生に加え、早期発見・早期介入に向けた取り組みの推進が明文化されました。この施行を大きな潮目として、知識の普及、予防や早期診断、治療に関する研究の推進、住み慣れた地域で暮らし続けられる社会構築のための施策など、あらゆる方面からの積極的な取り組みが、待ったなしで加速度的に進められていくでしょう。
健全なエコシステムの構築
そこで、鍵となってくるのがブレインヘルスケアを中心とした健全なエコシステムの構築です。人口動態の変化による課題だからこそ、より多角的な、多業種連携のアプローチが不可欠になるに違いないと考えています。
なぜなら、困りごとや課題は(例えばお金の管理、あるいは他の病気のケア、日常生活や住居の問題、そして将来への不安など…)本人や家族の分だけ多種多様に存在しうるからです。
Splinkは、高齢者の増加と同時に起こる労働人口の減少で人手不足になる部分を、テクノロジーの力で補完します。アカデミア・他産業のパートナー企業・医療機関・自治体等と連携しながら、必要な方に適切なサービスを効率的に届けられるようサポートすることで、社会課題へ貢献していきます。また、領域特化型AI技術をもとに早期発見・早期診断のためのソリューションを提供し、脳の健康に対する新しい可能性を生み出していければと思います。
超高齢社会の、その先は?
いつか訪れるその日まで、生活能力や尊厳を維持してその人らしく豊かに生きるためには、体の健康だけではなく「脳」の健康を無視することはできません。
豊かな人生を考えたとき、それは身体的な面だけでなく、精神的にも元気な状態である必要があります。身体的にも精神的にも健康で、思考・言語・コミュニケーションを維持しながら、人と人、人と社会が途切れることなくつながること、これはよりよく生きる、充実した人生のためのひとつの鍵ではないでしょうか。
脳の健康を気遣う方を増やすために
ひとりでも多くの人を社会資源へつなげるために
医療現場の課題解決のために
認知症をはじめ、うつや統合失調症、その他の神経・精神疾患など脳疾患への課題に対し、Splinkは日本発の科学技術・プロダクトをひとりでも多くの人に届けながら、ブレインヘルスケア・エコシステム構築により、共生社会の実現に貢献をしていきたいと考えています。
ブレインヘルスケアとは「よりよく生きる」を実現するために、脳の健康に着目するという考え方。脳を気遣う姿勢・志向、またそれを維持するために行う活動を指す概念です。
すべての人が、身体的・精神的・社会的に満たされた状態であるように
いつかくるその日まで、人や社会とのつながりの中で生きていけるように
関わる人々が共生し、豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指しながら、「脳」という観点からアプローチする。そして、ブレインヘルスケアを世界の当たり前にする。
これこそ「超高齢社会の、その先に」目指すべきポジティブな未来であり、我々が存在していく意義ではないでしょうか。
X(Twitter)ではブレインヘルスケアへの想い、起業家としての”現在(イマ)”、関連ニュース etc 毎日呟いています。
青山 裕紀 | 医療とAIの起業家 @splink_aoyama