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今月の短歌 23年9月16日~9月30日

長月の空にオーボエ二重奏 十秒間の黄昏妬いて

有限であるからこその彩りにプラハの旅路揺れつつ辿る

秋雲がずらっと渡る夏の空 草履の季節もそろそろかな

膨満感 カメラばかりが進化して便利の錯覚目視の喪失

人生がこの蝉くらい賑やかでナンパ上手なら変わってたかな?

薬剤が抜けて気付いた事がある 左の低音が聴こえてない

口角を上げる意識を保ちつつ「おはようございます」と挨拶

不定期にサックスブルーの漣に足を浸し泪と過ごす

恋とさえ勘違いしたその魔性吾のこの胸に毒牙が刺さる

漫然と孤独でいたい 寝転んでじっと見つめる、頭上のベガを

夏の雲と秋の雲が交差する流る季節に溶け込むように

馴れなくて 人に見られる羞恥心 高揚したら預けるステップ

我儘で叶いもしない事すべて手を組み祈る、星に願いを

終わりなど見えてたまるか強烈な独善に酔い消し飛ぶ酸素

蹴る走る統べる託す止める組む捕る跳ぶ奪う失う勝つ誇る

君のこと大事にしない人達を君が大事にしなくてもいい

繋がりを募る作業に辟易し詩など読まれて無いこと気付く

求めない他には何もこれだけを いじめられなかった世界線

新しい世界の門戸はいつでも猫が通れる隙間しか無い

イライラと冷めた態度が入れ替わる 束の間には見映えの良い街

水の中 そのちょっぴりに触れたくて無音で潜る、窒素が上る

昊昊と躍動するは倭の誇り 日々は世界を更新していく

優しさが欲しくて窓を全開にそよ風抜けるある日の晴れ間

吹っ切れた夏への想い「幸せ」という目的は吾を孤独にする

どうしたら好かれないよりどうすれば嫌われるかで頭を酷使

ライトブルー 幼さ残る香はあなた欲しがる愛のテンプテーション

ヤリイカがふと投げやりな態度だとどの向き向いて飛ぶのだろうか?

仁川(インチョン)でフランスから来たおば様と拙い英語で大喧嘩する

ビル風が人混みのよう通過する御堂筋の隙間乾かして

プライドと憂き世離れと死生観 吾にただ認めて欲しいだけ

ドライバーで身体のネジを緩めたら雄叫びの後にパワームーブ

「こもりびと」と呼ぶらしいよ最近は、だったら僕もこもりびとだね

攻撃に言葉を利用することを肯定するのが短歌の世界

この先にある三叉路でお別れだ 進んだ先を肯定するよ

秋で夏 アイドルのような名の空 デニムは少し季節を迷う

ひとりでもまけるよたねをそだてようさかせようはなふえるよゆめが

より高く フォーマルハウトから届く橙色の分厚い弾丸

名残りなどがある訳で無いですが今は今で生きていたいです

選ばれる歌の世界だ さあ、扉を叩いて僕は変わっていくよ

気になるさ、硝子で出来たファゴットと秋風に乗りたゆたう譜面

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