やる気スイッチのCMは、見れない。
昔から、妄想癖というか創造力というか現実から
かけ離れたことを考えることが癖付いている。
小さい頃眠る前、よく思った。
「ほんとに、母親は同じ人間なのかな」
同じように自分では自分が見えなくて
鏡を見たりして確認をしてわかって、
同じように悲しくなったり
寂しくなったり嬉しくなったりするのかな。
眠るまでのこの微睡みでゆれる感覚も
寝た瞬間を覚えてないのも同じなのかな。とか。
今でも時々思うことはあるし
世界が広くなった今、通りすがりの人にすら
同じことを思ってしまうことはある。
それは多分私が彼らの日常を知らないからで
彼らの人柄や関わりや繋がりを知らないからで
自分とは直接的な関係がないから、
余計空虚なものに見えているのだと思う。
歩いているときに
「もし今この人たちの電源が切れたらどうしよう」
とありもしないことを考えて
ちょっと怖くなったりする。
それくらい、現実味のないことを考える癖がある。
馬鹿馬鹿しいなと一方では冷静になる自分もいる。
それでもやっぱり今日も考えてしまって
次の日、出会った人たちが、
生身の肉体で
手が暖かかったり冷たかったりして
汗をかいていたりいなかったりして
食事をしたり、飲み物を飲んだりして
話をしたり、きいたりして
それでやっと、「ロボットじゃない」
と確信できるのだと思うし、ホッとする。
やる気スイッチのCMを見たときにゾッとした。
自分の考えたことが現実に起きてる、と思った。
別にそういうわけじゃないことくらいは
分別のついた年齢だからわかるのだけど
あのCMはできることなら見たくない。
幼い頃の私の考えを未だ幼い私の脳は
まるで現実の人間がスイッチで動いてるかのように
見てしまうから。
まだ、囚われているのか、そんな妄想に
そんなありもしないことに。
そう思う私と
いずれ、AIやIT化がすすめばそうなるよ
と思っている自分が右往左往する夜だ。