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やりがいある低賃金の仕事か、スキルUPできる高収入の仕事か

先日スタバで仕事をしていたら、
隣の席に座っていた大学院生二人が就活について
会話するのが聞こえてきました。
女性同士の会話でリアルな心の声で、
やりがいとお金の話が印象に残りました。

やりたい仕事があるものの

お二人とも英語をしっかりと勉強しているようで
就職活動で興味ある仕事は途上国支援や、
もっと広くとらえたら国際的な仕事のようです。
大学院でも開発経済などを勉強されているのでしょうか。

で、会社説明会か面接かで
国際金融を扱う政府系金融機関や大手銀行等を
訪れて話を聞いてきたとのこと。
海外の開発案件へのプロジェクトファイナンス
の仕事などに興味があるのでしょうか。
こんな話でした。

「国際〇〇銀行とか〇〇〇とか、メガとか、
あの(安い)給料では萎えるよね。」

「コンサル会社の給料を聞くと、
流石にそっち(コンサル)行くしかないかな、、、」

「現実はそうなんだよねー。やりたいことでも、
あの給料ではね、、、何の為に大学院で人よりも勉強してきたのか」

収入が低くてJobローテーション人事制度

最近は大手企業の賃上げニュースをよく見かけますね。
大手銀行で新卒の月給を25万円に引き上げたとか。

一方で、その学生が話していたコンサル会社群は、
中途採用でも年間数百人の大量採用をしていて、
給与は倍以上になります。

また、大手銀行でも部門別採用をしているとは言え、
人事が命じる人事異動に従わねばならず、
自分のキャリアの決定権が自分にありません。
(これ転職理由のトップ3の1つです)
加えて、2,3年おきの異動では十分にスキルが
身につかないのではないかと不安になりがち。

それに対して、多くのコンサル会社では
自分で自分のキャリアビジョンを考えて、
その実現の為にどんなプロジェクトを経験するのか、
それをやれるように担当する幹部に自ら売り込む、
プロジェクトには入れれば結果を出す。
そして経験とスキルを得て更に難易度の高い
プロジェクトに入って成長していく…
というような自律的なキャリア形成が求められます。
加えて、昇進する為に必要な経験、スキルも明確です。
数年間働けばスキルが身につき成長出来そうだと
感じるのも無理ないでしょう。

給料が低くてやりたい仕事が出来るとは限らず、
専門性も身につきにくい大手企業での仕事か、
または、
給料が十分で募集が活発で採用機会が多く、
自律的にキャリア形成出来るコンサル会社か。

特に首都圏で一人暮らしで生きていこうと思うと、
生活費で苦労せず、
ささやかなレジャー費を賄えて、
自己研鑽の費用も用意できる収入は必要でしょう。

加えて、自分のキャリアの自己決定権があって、
スキルも身につき成長出来ることも、
ジョブ型雇用社会に移行しつつある現状では
個人にとっては重要なことです。

上述のスタバでの就活学生の会話から、
本人達にはやりたいことがあるけれども、
現実をみて収入や働き方とのバランスを勘案して
職業を選択しようとしている学生の気持ちに
触れた感じがしました。

経営陣は自社株買いよりも社員の待遇改善をしないと…

そんな会話を聞いて、その学生達の考えや行動には
「それはそうだよな」と理解出来ました。

でも、同時に、やりがいに妥協して、
職業を選択せざるを得ない現在の社会は
残念だと思います。

しかも、コンサルティング会社は、
あくまで事業を行っている会社をサポートする存在です。
社会に富を生産している訳ではありません。
そのようなプロフェッショナルは必要ですが、
世の中の主役は事業を行っている会社です。

これらの会社の競争力が低下すると、
社会は貧しくなりますし、
そういった企業からお金をもらって仕事をしている
コンサル会社も立ち行かなくなります。

多くの企業がアクティビストファンドの要求に従って
株価を上げる為に自社株買いをする方針ですが、
それは誰の為になるのか。
疑問ですね。
投資家がリターンを得るだけです。
(日本経済新聞によると22年の自社株買いは9兆円以上)

そんなことに大量の内部留保を使うのなら、
社員の待遇を改善すべきだと切実に思います。

それは個人の人間らしい幸福の為にも、
企業が人材を確保して事業を継続する為と、
そして、ひいては豊かな社会を実現する為に、
必要なことだ思います。

何か今回は感傷的な文章になりましたが、
キャリアに関わる人間として思うところを書きましたw

今、日本社会は行き過ぎた資本主義の渦に引き込まれるか、
人間らしい生活ができる豊かな社会を実現できるか、
その瀬戸際にいるような気がします。

(2023年3月13日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士


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