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「経営者目線で仕事を」のワナ

仕事を探していると応募者へのメッセージで
是非 “経営者目線で仕事して下さい”
というものが時々ありますよね。

転職や就職を考えている候補者に、
自社の仕事は裁量権を持って働けることを
示唆しています。

しかし、この言葉には2つの意味があるので
どちらの意味で発せられているのか、
冷静に見極める必要があります。

経営者目線のポジティブなメッセージ

まず、1つ目の意味は、働く個人にとって
ポジティブな意味合いのメッセージです。
つまり、「裁量権を個人に与えるので、
自ら考えて実行できる」仕事という意味です。

やりがいある仕事は、何をどうやるのかという
仕事の戦略を立案する上流の段階と、
それを実行する中流・下流の段階という、
仕事のプロセス全体を個人がやれるという仕事です。

経営者目線のメッセージにあるワナ

一方で、この“経営者目線で”にはワナもあります。
2つ目の意味は「経営者(or会社の上層部)が
考えた戦略を正確に理解してその通りに実行せよ」
というものです。

平たく言えば、上が考えたことを受入れ理解して
それを正確に実行して成果をあげることが、
社員の役割だということですね。

経営者目線のメッセージがこの意味合いだと、
社員には裁量余地はほとんどなくて、
社員は、仕事の中流・下流を、
または、下流だけを正確にやってくれという
上から下への一方通行のメッセージです。
やりがいとは正反対の状況ですね。

求職者が自分の為にやるべきこと

このように「経営者目線で」という言葉には
両極端の意味があります。

仕事を探している時に、この言葉を聞くと
個人は自分に都合が良いように“勘違い”をして
1つ目の意味(裁量権あり仕事の上流からやれる)
と思い込んでしまいがちです。

だから、仕事を探す個人がやるべきことは、
「経営者目線で仕事をして下さい」という
メッセージが仕事の上流から下流まで
一連のプロセスを個人に任せるとの意味なのか?
それとも、上が立案した戦略を忠実に実行する
ことだけが求められているのか?
どちらなのか、仕事内容を確認することです。

ジョブ・ディスクリプションをきちんと読み、
面接等で仕事内容を具体的に確認し、
可能であれば、その仕事をしている人に
ヒアリングして、仕事の理解を深めましょう。

それによって、転職後のミスマッチを
減らすことが出来ます。
やりがいある仕事を見つける為には、
正確な仕事理解が大切です。

(2023年3月20日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

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