見出し画像

ハノイで妊娠!~どうなる駐在生活、そしてやってきた地獄の日々~

Chao!
前回の記事では、夫が日本の仕事を辞めてベトナム・ハノイにやってきた話を書いた。
夫が仕事を辞めてハノイにやってきた!~まさかの駐夫デビュー?!~|ハノイ日記by谷中ロータス|note

これだけでも大分大きな変化だったのだが、更に根本から生活を変えるような出来事が起きた。筆者の妊娠である。

仮に私が駐在妻としてハノイに滞在しているのならば、そこまで大きな問題にはならなかったかもしれない。しかし今の私の身分は「駐在員」。ベトナムでとあるミッションを達成するため、日本本社から派遣された立場である。

更に事務所は私含めて日本人3人、ベトナム人4人の計7人という少人数体制。うちはベトナム以外にも20を超える海外事務所があるが、日本人職員による妊娠など、前代未聞。

実を言うと、このシチュエーションは筆者自身にとっても青天の霹靂で、「ま、まさかー!!」と叫びたくなる状況だった。夫が来てからしばらくして、ずっと体調不良が続いていたのだが、フーコックで食中毒にかかった夫の面倒を一晩中見ていてストレスが溜まったせいだとばかり思っていた(濡れ衣を着せられた夫よ、ごめん)。

ネットでかたっぱしから「駐在員 妊娠」と検索するものの、ヒットするのは「駐在妻による妊娠」の話ばかり。やはりまだまだ女性の駐在員は少ないのだろうし、駐在員は妊娠しない(してはいけない)ものか…。

それらしき記事を見つけるも、ほとんどが「駐在中に妊娠したため、帰国した」といったものばかり。駐在員の立場を保ちながら妊娠・出産したケースは、とうとう見つけることができなかった。

ここでクリアにしておくと、私自身は日本への帰国は望まず、叶うならば妊娠を継続したままハノイで働きたいと思っていた。一番の理由は何と言っても、今年4月に夫が仕事を辞めてハノイに来たこと、そして新たに現地で働き始めたこと。日本の仕事と比べるとかなり給与は減って苦労も多いようだが、ハノイで何かを掴もうと夢を持ってやってきた夫を置いて、日本に帰るのはあまりにかわいそうすぎる。

ここから私の「ハノイ居残り大作戦」がはじまった。

①まずは上司に報告!

生理が来ず体調不良が続くこと、2週間。念のためと思い3日おきくらいに妊娠検査薬で検査を続けていたら、はじめの2回は陰性が続いたものの、3回目でうっすらと陽性反応らしき線を確認。すぐさまハノイの病院・Vinmecに向かった。

ハノイ市のVinmec病院

Vinmecはベトナム系の病院だが、国際的にも評価が高く、日本人女性がベトナムで出産するとなると、大体Vinmec(ベトナム系)かHanoi French Hospital(フランス系)の二択となるようだ。

さて、はじめてのベトナム系病院かつ産婦人科ということで内心ドキドキしていたが、到着してしばらくすると、日本語堪能な女性の方が現れ、診察室へと案内された。

優しそうなベトナム人の女医さんが内診してくださり、結果は「妊娠5週間」とのこと。もうすでに心拍も確認できているため、流産の可能性は低いとのことで、一安心(?)。というか、ここまで半信半疑だったこともあり、本当に妊娠していたのか…!と驚きが上回ったのが正直な感情だった。

ひとまず妊娠が確定したため、その翌日すぐに上司に報告。人によっては安定期(5か月~)に入るまで報告しないケースもあるようだが、ただでさえ少人数の事務所であり、後々体調不良になった場合は更に周りへの負荷が大きくなると感じたため、一刻も早く報告するのがお互いにとって最良だと思ったのだ。

ちなみに、このあと1~2週間でつわりが始まったので、私の場合は早めに報告しておいて本当に良かったと感じた。地獄のようなつわりは約2か月半続いた(街全体が匂うハノイにおいては、窓を開けるだけでも苦痛な日々が津続いた…)。この話については後ほど詳しく。

さて、前述したとおり私自身はできる限りハノイに長くいたいと思っていたため、妊娠の報告と同時に「できれば妊娠・出産しながらハノイ勤務を継続したいです」と自身の希望をお伝えさせていただいた。これについては上司から人事へ伝えてもらえることとなった。

②つわりと仕事の両立~地獄の日々~

職場に報告したのと並行して実家の母にも報告すると、まずは喜んでくれ、そのあと「つわりは大丈夫?」と心配された。その時点では全く何ともなかったため、もしかして自分はつわりはないタイプなのかも~?とお気楽に考えていた。

だがそれは突然やってきた。どのようにして始まったのか、はっきりと覚えていないのだが、気が付けば一日中車酔い状態で、吐き続ける日々。はじめのうちは無理して出勤していたのだが、とうとうある日午前中4回連続でトイレに駆け込み、立て続けに吐き続けたあと、仲の良い現地職員・リンちゃんに「顔色悪いけど、大丈夫?」と声をかけられた瞬間に堰を切ったように涙が溢れた。

幸い日本人上司はランチへ出た後で、部屋にはリンちゃんしかいなかったこともあり、気が緩んでオフィス内であるにも関わらず、声をあげて泣き出してしまった(もちろん、オフィスで大泣きしたのは人生ではじめてである)。

泣き続ける私に、「お腹の赤ちゃんに悪いから、泣かないで」と真顔でお願いするリンちゃん…当然食欲など全くなかったが、「赤ちゃんのために」といってリンちゃんがくれたマンゴスチンを頬張り、午後しばらくして体調が良くなりそうもなかったため、事情を説明して帰らせてもらった。

幸い上司も同僚も皆優しく、しばらくテレワークにしたら?といってもらえたため、その後は完全テレワーク体制に切り替えさせていただいた(出勤必須な職場だったら、退職していたかもしれない…)

さて、そんなわけでテレワークに切り替えたのだが、家にいたからといってつわりが良くなるわけでもなく、本当に日中は地獄のような日々だった。夜は全て吐き終わってすっきりしたタイミングを狙えば、少し寝ることはできたのだが…。

そしてなんといっても辛かったのが、町中に溢れる匂い。匂いづわりは多くの妊婦さんが経験されるものと思うが、ここハノイは半端なく匂うのである。排気ガスの匂い、大気汚染の匂い、ブンチャーの匂い、フォーの匂い…17階の高層マンションに住んでいるのだが、窓を開けることすら苦痛で、ひたすらベッドに臥せっていた。

考えうる限りで、これまでの人生で最もつらかった2か月半。正直こんな状態なので、仕事もほぼ手につかなかった…こんな状態でも一切責めずに支えてくれた上司と同僚には、感謝しかない。

さて、こんな辛いつわりも、夏ごろにはようやく終わりが見えてきた。次はビンメックでの妊娠検診について書いていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?