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ただの音楽好きが選ぶ、かっこいい2010年代のボカロ6曲 +α

 2021年、ヤマハがボーカロイド技術を利用した歌うロボットを開発・販売するという発表がありました。ユーザーとの会話に歌で答えてくれるロボット、見た目はピノキオみたいでなんだか可愛らしいです。

 こんな話題が出る程、今や人々の生活との距離感が縮んだボーカロイド。先日、2010年代のロックを取り上げた後でもありますし、今回は自分が好きな2010年代のボーカロイド楽曲+αを振り返りたいと思います。

 私は長いことロックばかり聴いていて、あまりエレクトロニカ(電子音楽)が得意ではありませんでした。
 ※詳しくはこちらのエッセイにて。

 そのため、打ち込み音源も苦手な時期が結構長く、ボーカロイドの曲を聴けるようになったのもここ数年のことです。
 “ここ数年のこと”がゆえに、ボーカロイドの曲を聴けるようになった時の衝撃は今も覚えていて、その時期によく聴いていた曲は今聴いてもかっこいいな…と、しみじみ思います。

 今回取り上げるのは、あまりこのジャンルに詳しくない私が好きな曲です。メジャーな曲ばかりですが、それはご愛嬌。
 私はただの音楽好きなので、ボーカロイド有識者の方々と認識違いがあるかもしれません。そんな時は、「ふーん、素人はこんな風に思うのか」と暖かく見守っていただけると嬉しいです。(以下、ほぼ敬称略&順不同。リンクは全てニコニコ動画なので、流れるコメントたちの熱量も一緒にお楽しみ下さい。)


1. About me / 蝶々P

 私がボーカロイドってかっこいいな…と思うきっかけになった曲。この曲を聴くまでは、ボーカロイドの曲っていわゆる萌え系の可愛らしい楽曲しかないと思い込んでいたのですが、その先入観を見事に打ち砕いてくれました。(英語で歌う声があるのも知らなかった)

 お洒落なピアノのイントロに始まり、切ない歌詞に心を鷲掴みにされ、物憂げなイラストと合わさった意味深な気配にドキドキしたものです。高音が上手に出せるボカロの綺麗な声によくあってるなぁ…と、何度も聴きました。なんとなく、男性の心境を女の子の声で歌っているというのも好きです。


2. 真夜中の微笑み / ナナホシ管弦楽団

 わーっ、ゴリゴリのロックだあ!と、飛びついた記憶があります。この曲も、自分がそれまで持っていたボーカロイドのイメージを覆してくれた曲のひとつ。

 この楽曲、曲自体がかっこよくて好きなのはもちろん、ミクさんの歌い方がかなり好きです。熱い演奏スタイルの楽器陣に重なるボーカロイド…という組み合わせは、なかなかにゾクゾクします。(自分は元々、エレクトロニカにボーカルが合わさっている曲は比較的聴きやすいなと思っていたので、こういう組み合わせが好きなのかもしれません。)

 最初は淡々と歌い出したかと思えば、次第に熱量が上がるように歌い上げるミクさんのボーカル、そのギャップにドキッとしました。


3. このピアノでお前を8759632145回ぶん殴る / SLAVE.V-V-R

 冒頭のピアノ→リズム帯合流、の流れが超絶かっこいい。個人的には、ベースの主張が強い曲が大好きなので、その点でもやられてしまいました。

 また、この曲の見どころ(聴きどころ)と言えば、言葉遊びですよね。空耳と言いますか、歌詞が英語とも日本語とも思える面白味。それは、中立な歌い方(人が歌うと、“一方の言語に寄せた他方の言語”という感じがどうしても出てしまう)が出来るボーカロイドだからこそ出せる、ミステリアスな魅力だなぁと感じました。

 この方の楽曲はボーカロイドの良さを活かしていて面白くてかっこよくて、他にも好きな曲がたくさんあります。


4. エンゼルフィッシュ / パトリチェフ

 ボーカロイドってこういうR&Bっぽい曲もいけるんだなぁ…と感動した曲。楽曲自体の雰囲気はちょっと大人っぽさもあるけれど、ボーカロイドの声質の軽やかさがあるので重たすぎず、爽やかに仕上がっているのが本当にエンゼルフィッシュ。絶妙なバランスだと思います。

 この曲は、確か女性ボーカルの“歌ってみた”で知りました。人が歌っても、夏のワクワク浮き足立った感じと、どことなく漂う切なさが出てきて、とても好きです。


5. 植物園 / 宮沢もよよ

 浮遊感が堪らないですね。夢か現か…という意識の狭間を漂う曲とボーカロイドの相性の良さを存分に発揮した一曲だと思います。“植物園”なのですが、自分がどこにいるよかわからない感じ。音楽に導かれるように植物の中をかき分けていったら、誰もいませんでした…という雰囲気。

 ボーカロイドって、息継ぎしなくてもいいし滑舌も良く出来るし、音も自由自在に正確に取れるのが特徴ですよね。なので、どちらかと言えば、音をたくさん詰め込むのがボーカロイドの曲の醍醐味なのかなーと思い込んでいたのですが。こういう余韻を効かせる楽曲というのも、ボーカロイドで作り出せるんですね。じんわり浸りたくなる世界観です。


6. シャルル / バルーン

 今や超有名な楽曲になりましたね。この曲はボーカロイドが歌っても人が歌っても違和感なく心地よいのが、ポップスって感じでとても好きです。歌としてごく自然で、比較的人間にも優しいと言うか。

 曲の始まりがすぐにボーカル、というところで引き込まれて、あれよあれよという間にシャルル。気付いたら最後まで聴いていた…そんな楽曲です。言葉数が多い一方、聴き手が想像出来る余白があると言うのがまたいい。

 MVがおしゃれなのも好きです。


【2020年代だけど】或世界消失 / 柊マグネタイト

 SF世界、数百年後の電子世界のお葬式かなんかでお経か出棺ソングとして使われていて欲しい曲。現代の楽曲は3分以内に終わる風潮に反して、驚きの11分28秒という長尺ですが、聞いていてちっとも飽きない。歌詞が難解なのですべてを理解出来るわけではないのにずっと聞いていたい。
 壮大な宇宙のような、とても孤独な部屋の片隅のような、どちらの世界観も味わえる、オペラのようなボカロ曲。

 ニコニコのコメント欄では、平沢進の影響を受けているという話題も出ていました。確かに言われてみればそんな感じもしますが(出棺ソングっぽさを覚える曲調なんかはまさにそう)、ヒラサワとはまた違う個性の塊という感じがします。


 それにしても、どうしてボーカロイドの曲って中毒性が高いんでしょう。一度聴くと、しばらく頭の中をぐるぐる回って、また聴きたくなってしまう…。単に「ボーカルがボーカロイドである」と言う以上の力が、ボーカロイドの曲にはあるなぁとしみじみ思います。

 本当はまだまだ好きな楽曲がたくさんあるのですが、キリがないので今回はこの辺りで。


※本記事は、以下を元に更新した内容です。


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© 2022 Aki Yamukai

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