Rise and Kill First の教え
ロネン・バーグマン『イスラエル諜報機関暗殺作戦全史 上』(小谷賢一監訳、早川書房、2020年)
「600万人も虐殺された歴史を持つ民が、どうして虐殺する側に立つことができるのか」というのは、全く的外れ。なんと甘っちょろい間抜けな考えであったのかと思い知らされた。「600万人が虐殺された」という前提は正しい。しかしそこから導かれるのは、必要とあれば、「脅威」とみなした相手を殲滅することをためらわないという思考様式だった。悲劇を体験した者は、相手が同じ悲劇に見舞われることは避け