新型コロナウイルスのペーパーモデルをつくってみた
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしに多大な影響を与えてきました。発生から2年以上が経過した現在においても、まだまだ、この感染症のことを不安に思う日々が続いています。
一方で私たち人類は、mRNAワクチンの開発など、最先端の科学技術を駆使してなんとかこの手強いウイルスに対処しようとしています。
そのような今日この頃、担当する授業や高校生向けの公開講座などで、新型コロナウイルスに関する調査・研究について話題にすることも多くなってきました。
ネットやテレビでは、このような新型コロナウイルスのコンピュータグラフィック(CG)をよく目にします。(余談なのですが、この CG は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のグラフィックサービス部門に所属するイラストレーターの二人が1週間で作ったそうです → 出典)
この CG で示されているように、新型コロナウイルスは球状をしていて、表面にはトゲトゲした突起を持っています。この形が王冠(crown)に似ていることから、ギリシア語で王冠を表す(corona)という名前が付けられたそうです。
ウイルス表面を覆っている灰色の膜は「エンベロープ」と呼ばれています。
ウイルス表面にある赤色のトゲトゲした突起は「スパイク」と呼ばれるタンパク質で、ウイルスが増殖するときに重要な役割を果たしています。ファイザーやモデルナなどの mRNA ワクチンを接種すると、私たちの体内でこのスパイクタンパク質の類縁体が産生されて、新型コロナウイルスに対する抗体が作られることになります。
さて、このような新型コロナウイルスの立体構造を説明しようとするとき、それを再現した模型があると、学び手の興味関心を惹きつけて学習意欲が大いにアップ、ですよね!
ということで、新型コロナウイルスの立体構造を説明するときに使えそうなペーパーモデル をつくってみました。
このペーパーモデルの作り方について、ざっくりとご説明します。
方針としては、ウイルス粒子はサッカーボールなどでおなじみの 切頂二十面体 で表現。スパイクタンパク質(トゲトゲの部分)もそれっぽくしてみようと工夫してみました。
材料には、ホビークラフト専門店の「ユザワヤ」で購入したカラーケント紙(180 g/m2)を使用。1枚30円。
模型を構成するパーツは、Silhouette Cameo 4 Plus というカッティングプロッタ(1台5万円くらい)を使ってカットしました。(余談なのですが、このカッティングプロッタ、教材づくりなどで便利に使っているのですが、まあ、A3 対応モデルじゃなくても別によかったかな、と少し思っています…)
はじめに、カッティングプロッタに付属するソフトウェアを使って、模型の部品をカットするためのデータを作成しました。
つぎに、ケント紙をカッティングプロッタにセットして、各部品をカット。
1枚のケント紙から30〜40個分の部品をカットするのに、だいたい、20〜25分くらい掛かりました。
このペーパーモデルでは、ウイルス粒子を切頂二十面体で表現するので、正五角形の部品は12個、正六角形の部品は20個必要になります。また、スパイクタンパク質を表現する部品は32個必要になります。
各部品をデザインするときのこだわりとして、糊や接着剤を使わず、各部品を組み合わせるだけで立体模型ができるように工夫しています。
最後に、カットした3種類の部品を使って、新型コロナウイルスの立体模型を組み立てました。1個の模型を組み立てるのに掛かった時間は、だいたい、15〜20分くらい。
ということで、新型コロナウイルスの立体構造 を説明するときに使えそうな ペーパーモデル について、ご紹介してみました。
ちなみに、需要はほとんどないかも知れませんが、Silhouette のカッティングプロッタ(Cameo 4)で用いたカットデータ(Silhouette Studio V3 形式)を GitHub で公開 しています。
このペーパーモデルやコンピュータシミュレーションをつかって、タンパク質のはたらきのこと、新型コロナウイルスのこと、などなどをお話しする高校生対象向けの公開講座(オンライン&対面)をときどき実施しています。
もし興味をもっていただけましたら、お声がけいただけると幸いです!
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