[think] 植物状態でこどもを授かること
https://www.cnn.co.jp/usa/35131715.html
植物状態で妊娠、出産した女性の記事である。
植物状態の女性を受精させたということで問題になっている看護師であるが、看護師という職業、植物状態での妊娠や出産、親権、考えることがたくさんある。
この記事については特に植物状態で子供を授かることによって起こることについて考えていきたい。なお、筆者は植物状態の現状に詳しくなく配慮の足りない表現を多用している可能性が十分にある。読者にはその点ご理解いただきたい。
1. 植物状態の定義
まず植物状態の定義であるが、ここでは『呼吸や生理的な機能は正常であるが、大脳が機能しない状態』と定義する。
(2019年5月17日訂正)
そのため性行為の同意を得ることに関しては不可能であると考えられる。
2. 植物状態での性行為
形式上の性行為は理論上可能であると考えられる。脳以外の機能である 生理的機能はもちろん、生殖機能も正常である。そのため、バルトリン氏腺液や膣の滲出液 といったものも正常に分泌されると予想される。
ただ、そこに本人の同意は存在し得ない。
3. 植物状態での胎児の生育環境
母体での胎児の成長に関しても理論上可能である。先に述べたように正常な生殖機能があれば問題がないように思われる。
4. 浮かび上がる疑問
ここで疑問が浮かぶ。
家族は妊娠38週間のうちで娘に月経が訪れていないことに気づかなかったのだろうか?
お腹が大きくなれば気付かざるを得ない。
出産に至るまでには様々な可能性が考えられる。
あくまで推測ではあるが、
9年植物状態だったということから ご家族が病室を訪れる頻度が高くなく、出産したという報告を受けてはじめてご家族が認知したという可能性もある。
5. もし自分が母親だったら
植物状態の娘がいたらどう思うのだろう、と思う。
50代の私に29歳の娘がいて、21歳から植物状態で、彼女が39歳の看護師とのこどもを出産したら、
多分受け入れてしまうと思う。
彼女の遺伝子を受け継いだ、天からの授かり子と思ってしまうと思う。DNA鑑定がない時代だったら世間の反応もまたすこし違ったのかもしれない。
29歳という年齢を考えた時、
彼女の人生を考えた時、
卵子には限りがあること、妊娠したくて授からない人がいること、愛されたくて愛されない人がいること、このようなことを考えた時、娘は恵まれていたと考えるかもしれない。
果たして彼女は愛されたのだろうか…?
毎月のように人としてではなく人形として暴行が繰り返されていたなら悲しい、苦しい、許せないとも思う。だから、知りたくないかもしれない。彼女の魅力がそうさせたのだと信じたいかもしれない。
ただ看護師が親権を持ちたいと言ってくれたら、
そこにある愛を認めたい。
しかし現実は違う。
10年後、目を覚ました彼女がこどもを授かることは難しいかもしれない。しかし10歳のこどもは、私がいなくなった後も彼女を助け、いろいろなことを教えてくれるかもしれない。
こどもには重すぎる荷物かもしれない。
彼は幸せになれるのだろうか?
こどもの幸せとはなにか?
人間の可能性に対して社会はまだ不十分であることを痛感させられた出来事だった。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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