お金がない、機材がないを言い訳にしない<Film Education>〜柏市立逆井小学校の実践から②
F.ラボアンバサダーの高村ミチカです。小学校教員を11年経験後、現在はフリーランスライター/編集として活動をしています。元教員だからこそ、学校と学校の外側をつなぐ学びの結び目のような存在でありたい。「本物の学び」を引き出すお手伝いをしたい。そんな思いで、F.ラボアンバサダーを務めています。
私が担当する記事では、各学校での実践を通して、<Film Education>の魅力についてたっぷりとお伝えしていきます。学びの輪が全国に広がっていきますように。
映像制作を活用したクリエイティブな学びをつくるヒント〜柏市立逆井小学校の実践から②
さて、逆井小学校で行った<Film Education>の実践を通して、映像制作を活用したクリエイティブな学びを作るヒントをお届けする本シリーズ。
前回は、子どものクリエイティブな学びを引き出す授業にするための土台作りとしての職員研修のお話でした。
▼前回の記事はこちら
今回は、公立小学校で、どんな機材を揃えたのかどうやって費用を捻出したかなど、なかなか普段は聞けない舞台裏のお話をしていきます。
最低限1人1台配布のタブレットさえあれば始められる!!
映像制作を活用した授業に興味はあるけれど、学校に機材がないから…
と、諦めていませんか?
<Film Education>を実践するには、最低限1人1台配布されたタブレットさえあれば可能です。高価なビデオカメラや編集用の機材や専門的なアプリなどは必要ありません。
プラスで用意をするとしたら、次の2つがあると便利です。特に、インタビューやドキュメンタリーを撮影する時には、これがあるとぐんとプロっぽい映像を撮ることができます。学校予算や次項でお話する助成金の活用ができそうであれば、ぜひ購入してください。
・三脚
・ピンマイク
三脚は簡易的なものであれば3,000円程度で購入が可能です。ピンマイクは、有線のタイプがオススメで、1,500円程度で購入できます。ワイヤレスのものは、高価な上に、一度に多くの台数が稼働すると混線してしまい機能しなくなります。また、デバイスとピンマイクの相性によっては、変換アダプター(1,500円程度)が必要な場合もありますので、確認してください。
それぞれ、グループの数分あるといいでしょう。ちなみに、F.ラボでは、インタビューを受けるゲスト、話を聞きながら進行するインタビュアー、構図を決めて録画をするカメラマンの3人1組を推奨しています。
クラスの人数によっては、4人グループができる場合もありますが、必ず役割を明確にすること。カメラを2台にして、半身(バストショット)を撮る人と、目や口元、手の動きなどアップを撮る人とを分担するといいでしょう。5人以上になると、正直難しいです。役割が不明確になり、一気にフリーライダーが出てしまいます。
撮影後の編集作業は、無料のアプリで十分に対応可能です。iPadであればiMovie、ChromebookであればCapCutやInShotがオススメです。派手なエフェクトは必要ありません。大事なのは、動画を要素ごとに分割したり、順序を並び替えたりできること。伝えたい相手や目的に合わせて構成を吟味できることが大事なのです。
助成金、活用していますか? 学校予算がなくてもできること
プロを招いて授業をする。
その良さを感じていても、講師料が気がかりで二の足を踏んでいる先生も多いのではないでしょうか。
特に公立学校では学校予算は限られていますし、前例がないことに予算を付けるのが難しいのが現状です。では、一体どうしたら良いのでしょう。
逆井小学校では、学校予算以外に「助成金」を活用するという選択をしました。助成金を使って、講師料の他、三脚やピンマイクも揃えることができたそうです。
教育委員会や自治体で支援金や補助金の仕組みを持っている場合もありますし、世の中には子どもたちの学びを応援してくれる企業や団体があります。
逆井小学校で活用をしたのは、公益財団法人ちゅうでん教育振興財団の教育振興助成です。全国の小・中学校、特別支援学校(小・中学部)が対象で、教職員個人からでも申し込めるのが特徴。教育課題の解決につながる独創的で特色のある実践および研究に対して10万〜30万(学校支援の場合)の助成が行われます。
▼公益財団法人ちゅうでん教育振興財団
応募には審査があり、助成金の使用目的、活動実施計画をA4表裏1枚にまとめて提出します。報告レポートもありますが、A4裏表2枚とそこまで負担は大きくありません。
その他にも、公益財団法人東京海上日動教育振興基金 や公益財団法人パナソニック教育財団など教育実践に関する助成を行っている団体はあるので、探してみると良いでしょう。
お金がない、機材がない…を言い訳にしないで実現できる<Film Education>
新しい授業実践をしようと思っても、費用面でなかなか実現できない公立学校の実情。
せっかく先生たちが挑戦したいと思っているのに、
お金がないから…
機材がないから…
と諦めてしまうのは、なんてもったいないことだろうと思います。
<Film Education>は、映像制作を学ぶのではなく、あくまで映像制作を通して学ぶことが目的のため、最低限の機器だけで実践可能な教育プログラムです。多くの学校へ実践が広まっていきますように。
次回は、いよいよ実践の内容についてお伝えをしていきます!お楽しみに。
▼5年生 授業実践「学級の魅力が『伝わる』映像をつくろう」〜柏市立逆井小学校の実践から③
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