山と草木

羊の旅プロジェクト主宰。 富山の生活に寄り添う、はんこを押して作った2024日めくりカ…

山と草木

羊の旅プロジェクト主宰。 富山の生活に寄り添う、はんこを押して作った2024日めくりカレンダー、“わたしのまちの366日”発売中。

最近の記事

点字ブロックのその先へ―私と白鳥さんの出会い―

それは2023年の暮れ。冷たい雨の降る夕方。息子のお迎えの前に時間ができたので当時住んでいたまちの図書館に寄った。とくになにか目当ての本があった訳ではなく、ほんの10分時間が潰せたらなと思っていただけ。 今思えばその10分が、今後の自分のなにもかもを変えることになった。 図書館のオススメ本のコーナーに、「目の見えない白鳥さんアートを見にいく」という本が紹介されていた。まちの小さな図書館で、芸術関係の本は既に借りたことがあるものばかり。アートに関する本が紹介されているのが嬉

    • 旅鳥たちの芸術祭プロローグ 私は私で勝手に幸せになると決め、気づけば芸術祭を企画していた

      私は両親にかわいがられ、健康で、何不自由ない子ども時代を過ごした。 絵を描いたり物語を書いたりするのが好きで、特に目立った才能がある訳では無いにも関わらず美大に進学させてもらった。楽しく刺激的な大学生活を謳歌していた。 大学入学は東日本大震災の年で、テレビで被災地のニュースを見るたびに心は痛むものの、自分の生活とはどこか遠くで起きている出来事としか認識していなかった。 あの頃の自分は幸せだった。誰かが絶望したり、悲しみのどん底にいる様子を目にしても、自分の中にその人達の

      • 負けへんでポイントを貯め、竹槍を磨く

        先日、昔の結婚相手と会った。新しい車に乗っていた。恐らく、ピカピカの新車である。 離婚時の財産分与で、私は20万円ももらえなかった。家にある財産を折半した結果その額になったらしい。この1年、ぽんっとその額だけ渡されて、私は本当に良く頑張ったと思う。よくぞよくぞ、ここまでたどり着きました。自分を褒めたいよ。 まあそんな事もあり、何故新車を買う余裕が……??と、ハテナはいっぱいだ。新車に見えて新車じゃないのかもしれない。買ったのではなく、誰かから運良く譲り受けたのかもしれない

        • 旅鳥たちの芸術祭&映画「目の見えない白鳥さんアートをみにいく」自主上映会について

          \6月に芸術祭を開催します/ 今日は立春。暦の上では春。 まだまだ寒いし、春なんて正直わからん…と思いがちですが、ちょっと前に比べたら夕方明るい時間が増えて、道端にもホトケノザやオオイヌノフグリなどの春の野草がちらほら。 とはいえやっぱり寒いので、私は「今日から春です!」とは言わずに、「今日からは、心は春のほうを向く日」としています。目に見えなくても、地面の下ではニョキニョキと根が伸びて、花を咲かす準備をしているのですよ。信じて待っていましょうね。 さて、立春の日に告知

        点字ブロックのその先へ―私と白鳥さんの出会い―

        • 旅鳥たちの芸術祭プロローグ 私は私で勝手に幸せになると決め、気づけば芸術祭を企画していた

        • 負けへんでポイントを貯め、竹槍を磨く

        • 旅鳥たちの芸術祭&映画「目の見えない白鳥さんアートをみにいく」自主上映会について

          山がきれいですよ(雑記)

          「ほら、立山でも見て。落ち着いてくださいよ。今日の山はきれいですよ。」 と、ある人に言われた事がある。この言葉、というより、このやりとりは、私の「裏・座右の銘」として心の中にいつもある。 久々にきれいな立山が見れたここ数日。環境をガラリと変え、生活リズムも変え、今まで使ってなかった部分の筋肉と脳みそを使い、山がきれいですよと言ってくれた人の事なんて1ミリも思い出さなかったけど、青空に映える真っ白な立山を見て、久々にぱっと思い出した。思い出せて良かったと思う。 転職した。

          山がきれいですよ(雑記)

          ダッシュと裸足、闊歩とハイヒール、そして、スキップとローファー

          今でも高校時代の頃の夢を見る。大抵は悪夢だ。 高1までは楽しかった学校生活。文系、理系できっぱり別れ、クラスの8割が女子になった途端、何にも楽しくなくなってしまった。 自称進学校が故の規律のキツさ、文化部に対する理解のなさの上に、思春期のいざこざが乗っかり、自分は文系だけど気の合う人は理系が多かった私は、けっこうしんどい日々だった。 わかりやすく虐められたり、学校に行けなくなった訳ではないけど、ただ普通にしているだけでチクチク刺さるバカにしたような目線や理不尽はキツかった

          ダッシュと裸足、闊歩とハイヒール、そして、スキップとローファー

          暮しを耕す

          雑誌というものを、かれこれ5年は買っていなかった。コロナに突入し、貧乏まっしぐらになり、雑誌を買う精神的余裕が無かった。あくまで精神的に、である。読みたい記事のためなら千円以内の出費は許容範囲だ。美容院や服を買うお金はなくとも、小説や美術書は買っていた。なぜ雑誌を買えなかったかというと、広告ページや商品の値段を目にする事が、そこそこ辛かった、というのがあった。 そんなこんなで、お金はなくとも何故か精神的余裕はある今日このごろ。地震ショックで「お出かけしたくない!」という息子

          暮しを耕す

          めくれぬ正月

          年末に風邪をこじらせ、身体中に蕁麻疹が出来ている。日めくりでもめくるかと思ったけれど、自分用のカレンダーを委託先に置き忘れている事に気づいた。2024年、カレンダーを一枚もめくれないまま、もう1週間経とうとしている。 元旦に大きな地震があった。私と息子が11月に旅をした珠洲のまち。生活もままならない状況。 素敵な漆塗りの箸置きを買った輪島のお店は火事で焼けてしまったようだ。 被災された人の気持ちを考えたら私なんて、ただ悲しいだけで部外者で、結局何にも出来ないのだけど、好

          めくれぬ正月

          今年の熱は今年のうちに

          12月になってから、何かと慌ただしい日々が続いていた。私の疲労とストレスの閾値は離婚にまつわるゴタゴタの日々を基準に振り切れているので、そんなに大変な自覚は無かったけれど、実は大変だったらしい。年末に盛大に風邪をこじらせた。 38度オーバーが5日続いた。そのくせインフルでもコロナでもない、子どもは1人でハイパー元気な、完全に私由来の自滅型の風邪。これは半分知恵熱だろう。昔から気が抜けたタイミングで熱を出すタイプ。年末の休みが近づきホッとしたのだ。なんとか1年、生き延びました

          今年の熱は今年のうちに

          クリスマスは少し切ない

          クリスマスがやってくる。 クリスマスは子どもの頃を思い出してしまう。 めちゃくちゃ好きだった訳では無い。だけど、クリスマスは楽しかった。ツリーを出すのも、サンタさんにプレゼントをお願いするのも、シャンメリーを空けるのも好きだった。クリスマスは、その年の気分で毎年やる事が違うのが良かった。母がシチューのパイ包みを焼いてくれる年もあれば、ちょっとクリスマスっぽい普通のご飯の時も。その時にできる範囲でやりたい事をやるという、単純に楽しむためのものという感じが良かった。 成長と

          クリスマスは少し切ない

          ハーブ&スパイス

          誰も風邪を引いていないのに、家から一歩も出ない土日を過ごした。 息子には家でやる事が沢山ある私に付き合ってもらった形になったが、「よっしゃあ!家でダラダラできる〜!」と嬉しそうだった。それにしても、ダラダラと「よっしゃあ!」という感嘆符は似合わないなあ…。 両日とも朝は9時過ぎに起床。こんなに朝寝坊出来たのは久しぶり。このところ休みの日なのに5時半には目を覚ましていた。前の投稿で副交感神経を優位にすると誓いをたててから1週間も経っていない。何事も気づく事から始まる。 ホ

          ハーブ&スパイス

          過渡期というか、なんというか、もうすぐ雪降りそう(雑記)

          はんこ屋を今年いっぱいで卒業することにした。 日めくりカレンダーも2024ver.で最後です。なんとか日めくりだけでも続けられないかとちょっぴし悩んで歯茎を腫らしたりもしましたが、日めくりを作っていては永遠にはんこの在庫は増え続ける一方なので、今年で最後にします。 とはいえ、私は私の彫るはんこも、私のつくる日めくりカレンダーも、私自身が本当に好きなのですっぱりやめられなかった。特に日めくりカレンダー、私が私のために買うとしたら、3冊位は買っていると思う。誰か私の脳みそと手

          過渡期というか、なんというか、もうすぐ雪降りそう(雑記)

          わたしにはたらこがある

          最近めちゃ好きなのはたらこ。 たらこって素晴らしい。今まで家で食べようとか全く思っていなかったけれど、人生損していたなと思う。 たらこはうまい。スーパーで買うと大体3切れ(たらこを数える単位は切れで合ってる??)入っていて、私は1番値段が高くて賞味期限が長めでふっくらしているのを選ぶ。 1日目はそのままご飯に乗っけて食べて、2日目はごま油でトースターで炙ったのをご飯に乗っけて食べる。3日目はなんらかの野菜と一緒に炒める。れんこんをたらこと炒めて、チーズを乗っけてパリッと

          わたしにはたらこがある

          平成うまれ平成育ち、令和を生きる島国のギャルが、何もあきらめないでいるために

          島国のギャルとは、インフルエンサーのkemioが数年前によく使っていた言葉である。 男でも女でもなく、日本で育った今を生きるわたしたち、という意味合いで使われ、彼のジェンダー意識や平成の世に生まれ育った中で育まれてきた価値観をこれ以上ないカジュアルさで表現している。大好きな言葉だ。 ゴリゴリの高齢化社会の中で、島国のギャルの人口比率は少ない。私やkemioのように平成に生まれ育っていなくても、マインドは島国のギャルです☆という人生の先輩方を含めたとしても、やはり少数派だろ

          平成うまれ平成育ち、令和を生きる島国のギャルが、何もあきらめないでいるために

          目に見えない何かについて考える。奥能登国際芸術祭2023

          5歳の息子と2人で奥能登国際芸術祭に遊びに行った。宿が取れなくて日帰りの弾丸旅行。富山からは片道3時間半のドライブ。 5時半。星の瞬く真っ暗闇の中で、なんとかかんとか出発。息子はうまれてはじめて、立山連峰から昇る朝日をみた。 朝焼けは見ようと思わないと見れないし、能登にも行こうと思わないと行けない。 珠洲は遠い。能登島を通り過ぎてからが遠い。北陸新幹線が開通するまでは、東京から陸路で行くのに本州の中で最も時間がかかる場所だったと聞いたことがある。本当にさいはてだ。 数

          目に見えない何かについて考える。奥能登国際芸術祭2023

          幸せについての展覧会−魂の色は青 黒部市美術館−

          先日、知人にお孫さんが産まれた。もうすぐ退院し、赤ん坊のいる生活が始まるらしい。 「おめでとうございます!」と言うと、「腹の中におるうちが1番平和なんやちゃ…」と、どこか遠い目をしながらこぼしていた。赤ん坊の誕生は幸せで尊い事だけど、新生児の威力はハンパない。家中全ての人員が総動員され、猫の手も借りたい位目まぐるしい日々がスタートする。幸せ=楽・楽しい・有頂天、とは限らない。忙しく、慣れるまで大変で、体力の消耗が激しい幸せもある。 幸せになりたいと人は言う。幸せになりたい

          幸せについての展覧会−魂の色は青 黒部市美術館−