山と草木

羊の旅プロジェクト主宰。 旅鳥たちの芸術祭(2024.06.01-02)キュレーター

山と草木

羊の旅プロジェクト主宰。 旅鳥たちの芸術祭(2024.06.01-02)キュレーター

最近の記事

呪いごと愛してくれる人。ソフィーの白い髪。

最近、週末の度にジブリをみている。 子どもの頃からジブリオタクで、ナウシカもラピュタも擦りきれるほど見てきたのだけど、唯一あんまりピンときていなかった作品があった。 それは、ハウルの動く城。 駿さんにしては荒削りなような気がして、ストーリーも初見では何がどうなったのかよくわからず、そのくせに世界観は他の作品とも劣らず美しく、なのにしっかり(何故か)面白くて、どう言ったら良いのかよくわからない作品だった。 久しぶりに見返したのだけど、数年前に見た時にはわからなかったことが

    • 藤井風のギャルマインド

      大谷→ベッツ→フリーマンの三打者連続ホームランに笑いが止まらない夏の終わり。ドジャースの3人は野球ではなく神事をしているように見える時がある。 海の向こうの神がかったニュースに驚きながら、おなじく神がかっている藤井風くんのライブのアーカイブ配信を体育座りで見た。 いつも息子にテレビに近づきすぎたらダメと叱っているのに、画面にかじりついて見た。だって素晴らしいんだもん。 金髪になった藤井風くん。相変わらず音楽の神様に愛されておられる。ダンサーたちと無邪気に(まるでワンピース

      • Never Have I Ever ありのままのあなたが大好き

        久々にネットフリックスで爆観していたドラマ、Never Have I Ever、約1週間でシーズン4までイッキにみた。 アメリカのハイスクールライフのよくあるコメディっちゃそうなんだけど、さすがに2020年代に放送されていたので、価値観がアップデートされている事が前提で、とってもみやすかった。 例えば、 クィアである事で差別されたり、それに対して戦いが起きたりする事もないので、 カミングアウトするかしないかなどのより細かな心情描写に入り込むことができたり、 色んな人種

        • チリツモが血便に勝つ日まで

          なんとなく、咳が続いていたとある日。 子どもの風邪をもらい、声がしゃがれ、職場の人たちに「こいつ風邪ひいとる」と気づかれるくらいには人目につく体調不良な日々だった。 風邪自体は、本当に大したことはなかった。普通に出社し、仕事をし、普通に夜ご飯をモリモリ食べた。 まさか翌朝、血便が止まらなくなるなんて、そんな事を誰がわかるだろうか。 深夜、お腹がゴロゴロ動きまくり、慌ててトイレに行った。めちゃくちゃお腹が痛いのに、出ない。下から出ないから上から出た。一時的にスッキリ。し

        呪いごと愛してくれる人。ソフィーの白い髪。

          くらしの灯り

          最近うつわにハマっている。いや、最近、ではなく元々好きだったのかな。 学生の頃はあちこちの窯元に行き、陶芸体験をしまくる旅をしたこともあった。 離婚を機に、私と息子が使うだけの枚数に絞り込み、必要なお皿は滑川の朱雀堂といううつわ屋さんで揃えた。朱雀堂はリーズナブルで使いやすく、可愛いうつわで溢れている。まさに、新生活の味方だ。 さて、スカスカだった我が家の小さな食器棚も、最近うつわが溢れている。 パートナーが、民藝にハマったのだ。特にうつわ。陶器、磁器、ガラス。この1

          くらしの灯り

          半殺し後、旅。小さな丸い好日。

          芸術祭が終わって早2ヶ月。 終わる前から、「終わったらもぬけの殻になるぞ…」と予感はしていたけれど、その何倍も上回る抜け殻っぷりな日々を送っている。 その間も、毎日仕事に行き、子どもの面倒を見て、胃腸炎で1週間ぶっ倒れたり、子どもがチマチマ風邪をひいたり、 ああそうだったな、別に何かをやろうとしたり、特別な事をしていなくても、毎日生きているだけで何かしら起こるのでした…、と、あったりまえだの事を思い出したりもした。 最近読んでいる東洋哲学の本が面白い。 人間、空っぽ

          半殺し後、旅。小さな丸い好日。

          ペンネームを持つ女

          深夜に停電した。 冷蔵庫の中身が心配だったので、電気が復旧するまでの間、ゆっくりチマチマみようと思っていたブリジャートン家シーズン3をイッキ見した。頭も肩も重たい。泣きすぎて目も腫れている。素晴らしかった。 配信物の海外ドラマは、次に繋げるために話題を無理やり引き延ばしたり、ロングシーズンに耐えきれずに同じ展開の繰り返しになってしまいがちだ。 だけど、ブリジャートン家はシーズンが進む毎に、描きたいテーマ・コンセプトが明確になり、研ぎ澄まされているように感じた。 このド

          ペンネームを持つ女

          シアタールームで一緒に映画を

          親しいはずの人と、話が通じないという事があった。 通じていたと思っていたけど、実は、私が言った全てが何も通じていなかったのだ。 その人は、ひたすら私の足りていなさを指摘した。 結婚を失敗し、お金もなく、稼いでいない男と一緒にいる私。 世間の常識とどれだけ外れているかばかりが不安で気にさわり、私がどんな人間かよりも私に何が足りていないかが気になっているようだった。 私に足りていないものなど無い。 私なだけで完璧なはずなのに、と、思う。 一生お金が無い状態で良いはず

          シアタールームで一緒に映画を

          理由なんて、いらない

          旅鳥たちの芸術祭では、予約制でヴィーガンカレーのランチセットを作っていただける事になった。 シェフは、クミさん&アキさん。お二人ともインドに滞在したことがあり、本場のヴィーガンやヨガを肌で感じ、吸収してきた方。 ヴィーガンと聞いて、どのような印象を持つだろう。 最近流行っている、なんとなくおしゃれなイメージ、という印象を持っている人もいるだろうし、 野菜しか食べないなんて変わっているな、本当に美味しいの?と思う人もいるだろう。 私自身はヴィーガンではない。 だけど

          理由なんて、いらない

          パンツ一丁のヲタ芸とともに

          ミキティー&庄司夫婦が好きだ。 きっかけは、インスタで見かけたあの写真。歌うミキティーの後ろで裸の庄司がヲタ芸をしている、かの有名な「ヲタ芸写真」。 庄司は結婚以来、「ミキティー!!」と叫ぶだけのネタをずっと続けてきてはいるけど、私はこの夫婦がこんなに素敵なカップルだとは、その写真を見るまで知らなかった。 サバサバしていて強気で、いつだって自分の信じる道を突き進むミキティー、そんなミキティーが大好きで、「ミキティーとお揃いがいいから」ってだけで長髪にしている庄司。 売

          パンツ一丁のヲタ芸とともに

          点字ブロックのその先へ―私と白鳥さんの出会い―

          それは2023年の暮れ。冷たい雨の降る夕方。息子のお迎えの前に時間ができたので当時住んでいたまちの図書館に寄った。とくになにか目当ての本があった訳ではなく、ほんの10分時間が潰せたらなと思っていただけ。 今思えばその10分が、今後の自分のなにもかもを変えることになった。 図書館のオススメ本のコーナーに、「目の見えない白鳥さんアートを見にいく」という本が紹介されていた。まちの小さな図書館で、芸術関係の本は既に借りたことがあるものばかり。アートに関する本が紹介されているのが嬉

          点字ブロックのその先へ―私と白鳥さんの出会い―

          旅鳥たちの芸術祭プロローグ 私は私で勝手に幸せになると決め、気づけば芸術祭を企画していた

          私は両親にかわいがられ、健康で、何不自由ない子ども時代を過ごした。 絵を描いたり物語を書いたりするのが好きで、特に目立った才能がある訳では無いにも関わらず美大に進学させてもらった。楽しく刺激的な大学生活を謳歌していた。 大学入学は東日本大震災の年で、テレビで被災地のニュースを見るたびに心は痛むものの、自分の生活とはどこか遠くで起きている出来事としか認識していなかった。 あの頃の自分は幸せだった。誰かが絶望したり、悲しみのどん底にいる様子を目にしても、自分の中にその人達の

          旅鳥たちの芸術祭プロローグ 私は私で勝手に幸せになると決め、気づけば芸術祭を企画していた

          負けへんでポイントを貯め、竹槍を磨く

          先日、昔の結婚相手と会った。新しい車に乗っていた。恐らく、ピカピカの新車である。 離婚時の財産分与で、私は20万円ももらえなかった。家にある財産を折半した結果その額になったらしい。この1年、ぽんっとその額だけ渡されて、私は本当に良く頑張ったと思う。よくぞよくぞ、ここまでたどり着きました。自分を褒めたいよ。 まあそんな事もあり、何故新車を買う余裕が……??と、ハテナはいっぱいだ。新車に見えて新車じゃないのかもしれない。買ったのではなく、誰かから運良く譲り受けたのかもしれない

          負けへんでポイントを貯め、竹槍を磨く

          旅鳥たちの芸術祭&映画「目の見えない白鳥さんアートをみにいく」自主上映会について

          \6月に芸術祭を開催します/ 今日は立春。暦の上では春。 まだまだ寒いし、春なんて正直わからん…と思いがちですが、ちょっと前に比べたら夕方明るい時間が増えて、道端にもホトケノザやオオイヌノフグリなどの春の野草がちらほら。 とはいえやっぱり寒いので、私は「今日から春です!」とは言わずに、「今日からは、心は春のほうを向く日」としています。目に見えなくても、地面の下ではニョキニョキと根が伸びて、花を咲かす準備をしているのですよ。信じて待っていましょうね。 さて、立春の日に告知

          旅鳥たちの芸術祭&映画「目の見えない白鳥さんアートをみにいく」自主上映会について

          山がきれいですよ(雑記)

          「ほら、立山でも見て。落ち着いてくださいよ。今日の山はきれいですよ。」 と、ある人に言われた事がある。この言葉、というより、このやりとりは、私の「裏・座右の銘」として心の中にいつもある。 久々にきれいな立山が見れたここ数日。環境をガラリと変え、生活リズムも変え、今まで使ってなかった部分の筋肉と脳みそを使い、山がきれいですよと言ってくれた人の事なんて1ミリも思い出さなかったけど、青空に映える真っ白な立山を見て、久々にぱっと思い出した。思い出せて良かったと思う。 転職した。

          山がきれいですよ(雑記)

          ダッシュと裸足、闊歩とハイヒール、そして、スキップとローファー

          今でも高校時代の頃の夢を見る。大抵は悪夢だ。 高1までは楽しかった学校生活。文系、理系できっぱり別れ、クラスの8割が女子になった途端、何にも楽しくなくなってしまった。 自称進学校が故の規律のキツさ、文化部に対する理解のなさの上に、思春期のいざこざが乗っかり、自分は文系だけど気の合う人は理系が多かった私は、けっこうしんどい日々だった。 わかりやすく虐められたり、学校に行けなくなった訳ではないけど、ただ普通にしているだけでチクチク刺さるバカにしたような目線や理不尽はキツかった

          ダッシュと裸足、闊歩とハイヒール、そして、スキップとローファー