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負けへんでポイントを貯め、竹槍を磨く


先日、昔の結婚相手と会った。新しい車に乗っていた。恐らく、ピカピカの新車である。

離婚時の財産分与で、私は20万円ももらえなかった。家にある財産を折半した結果その額になったらしい。この1年、ぽんっとその額だけ渡されて、私は本当に良く頑張ったと思う。よくぞよくぞ、ここまでたどり着きました。自分を褒めたいよ。


まあそんな事もあり、何故新車を買う余裕が……??と、ハテナはいっぱいだ。新車に見えて新車じゃないのかもしれない。買ったのではなく、誰かから運良く譲り受けたのかもしれない。おカネ・おカネの回り方はわからない。だけど、ピカピカの車に乗っているという事実に打ちのめされ、30分程泣いた。(30分だけで済んだのはその後仕事だったからである)


こういう時、心の中で小さく「負けへんで!」と唱える。この言葉はポッドキャスト「OVER THE SUN」の中で、ジェーン・スーさんと堀井美香さんが世の中の不条理にぶち当たったリスナーに向けてぽんっと投げかける言葉だ。「負けないで!」でも「負けないぞ!」でもなく、ワザと関西弁にした「負けへんで!」は、大前提で「負けても良いのだ」という前置きがありながらも、まあどうにかなるさ、と、リスナーが次の一歩を出す原動力となる。その一歩がどんなに小さかろうが、前に進んだという事には変わりない。


「負けへんで!」的な事象にはちょくちょくぶち当たる。せっかく遠出をしても、息子の体調不良で目的地についた途端に引き返す羽目になったり。18時半まで働いていると保育園のお迎えが1番最後だったり。(一応8時までは預かってくれる園なのに、皆さんどうやって生活してらっしゃるのだろうか…)

それでも、「負けへんで!」は我慢でも犠牲でもなくて、ポイント加点なのだと私は信じている。生活をするために働かないといけない、自分1人で子育てをしているから夜遅くなってしまう、ロクに家事が回らない…など、ネガティブな方に考え始めたらきりがない。

こうして無我夢中でお金と生活を回している事が、きっといつか何かの糧になるのだと私は信じている。負けへんでポイントをコツコツ貯め、貯めたポイントの累計を見てニマニマしながらも、ふと気づけばそれらによって研ぎ澄まされた何かがあるのだろう。そしてそれは、棚ぼたなラッキーなどでは叶うことのない、自分の経験だけが教えてくれる何かなのだと思う。

苦労だ犠牲だと言われればそうなのかもしれないけれど、その苦労や犠牲も全て自分のためにやっているのだから。だってポイントが貯まる!ザクザク貯まる!


自分の力でお金を稼ぎ、身の丈にあった生活をして、息子に好きなお菓子やおもちゃを買ってやり、行きたい所に行き、やりたいことをやる。そのために、頑張って働く。


何て健全な循環なのだろう。


私にはなんの後ろめたさもない。後ろめたくないのは、本当に本当に素晴らしい事だ。世の中の全てが真っ直ぐな物差しで測れずとも、私だけは竹を割ったように真っ直ぐでいようと思う。そしていつか、その研ぎ澄まされた竹槍で、自分に降りかかる不条理をぶっ刺してやる。




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