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「他人」ではなく「友人」に売る『D2C』第3弾

今回は『D2C 世界観とテクノロジーで勝つブランド戦略』という本のレビュー第3弾です。この本。

第1弾レビューはこちら。

第2弾レビューはこちら。

第3章のテーマは『「他人」ではなく「友人」に売る』でした。

1.顧客とブランドの関係変化「他人から友人へ」

従来の伝統的なブランド
マスメディアを通してイメージとメッセージを一方的に届けてきた。「憧れ」や「劣等感」などの感情を醸成し、それに対してソリューションを届けるように顧客との関係を構築してきた。
D2Cブランド
メッセージは双方向で交わされ、顧客とはより深いレベルで繋がる。気の置けない友人であるかのようなリラックスできる関係。お金を払ってもらって商品を手渡すだけの一度きりの関係ではなく感情的な繋がりをベースに関係をつくっていく。

一方向ではなく、双方向。一度きりではなく、感情的な繋がりをベースに継続的に。だからそれPRなんだよなあ。新卒の就活生がPR会社を受けるときに「広告とPRの違いは何ですか?」って面接官に聞かれるやつ。笑

2.顧客とブランドの間の「2つの壁」が壊れた

大手消費者ブランドはこれまで、広告代理店を通して顧客に対してメッセージを送ってきた。多くの顧客の認知を得ることが保証された上で、スーパーや百貨店などの小売店に売り場確保の交渉をしていた。ある意味、広告は小売店のために打っていた。顧客ではなく、他の企業体に商品を販売していた。D2Cブランドはこの「販売チャネル」「広告プロモーション」という2つの大きな壁を壊す可能性を持っている。

①販売チャネル
小売りを挟むデメリット1:顧客データの損失
小売りを挟むデメリット2:ブランドの世界観の毀損
小売りを挟むデメリット3:ユーザ体験の毀損
②広告プロモーション
代理店を挟むデメリット1:プロモーションに触れた顧客の反応を知れない
代理店を挟むデメリット2:顧客を集団としてしか認識することができない

たしかにこれはだいぶ大きい気がするなあ。データの面で言うと、どういった人がどういったタイミングで買ったのか分かるか否かでPDCAの速度がだいぶ違うはず。世界観の面では、購買体験がだいぶ限定されるし、棚の作り方とか自分でコントロールできないしな。体験のところでは、場所ごとに接客もバラバラだし、前回の履歴とかも活用できないし。

広告プロモーションについても同様で。正直リサーチやアンケートで顧客理解をしようとしているけど、あれ限界だよな。デジタル広告だって、固定の数値追ってるけども、どうも顧客の顔が見えてないしなあ。やはりデジタルで直接お客さまとコミュニケーションを取れるようになったというのはだいぶ大きいと思う。

3.「単発取引」から「継続的な会話」へ

デジタルにより大きく変わるブランドと顧客の関係性の1つに、関係の長期化がある。D2Cでは店頭と違い、試着などができない分、一連の購入体験が複雑で手間になりがちだ。でもこのフローをむしろ顧客とのインタラクションの機会と捉えるとうまくいく。増加したタッチポイントを利用して、デザイン性の高いパッケージや丁寧かつ気の利いたメールにより優れたユーザ体験を提供することができる。たとえ購入しなくても、ロイヤリティを高めた状態でファン化してつなぎ留めておくようにする。またなにより重要なのが、インタラクションの増加とともに、データが劇的に溜まることである。

4.「顧客の購入」から「顧客の成功」へ

デジタルにより大きく変わるブランドと顧客の関係性、もう一つが、顧客の「購入」ではなく顧客の「成功」が重要な指標になったことである。「打った瞬間」=「関係性の終わり」ではない。顧客視点で見ると、むしろ使い始めがスタート地点である。「アフターサポート」なんて言い方は辞めた方が良い。顧客をそれを買うかどうか、ではなく、顧客がそのプロダクトの使用を通じて臨む結果を得られているかまでが重要。これらは継続的に関係性を築くことで実現することができる。

【3.4のまとめ(ほぼ引用)】
スーツケースブランド「Away」にとって重要なのは、スーツケースが売れた瞬間ではない。スーツケースに荷物が詰められ、それが旅のお供として役に立っている瞬間だ。「関係の長期化」と「購入から顧客の成功へ」という2つの変化の背景には、ブランドがIDを通じて「個人」を捉えられるようになったというのがある。顔の見えない顧客は、個人名と紐づいた「個客」になる。もしある瞬間に製品を購入してくれなかったとしても、IDに紐づいたメールやSNSを通して繋がり続けることができる。その繋がりの中で、顧客ロイヤリティを高める施策を提供し続けることができる。

いやまさにこれよ。僕はPR(パブリックリレーションズ)のことを「繋がってもらい続ける仕組みづくり」であると提唱しているけども、

まさにそれでしょうって。まずはこちらからアプローチして繋がる。繋がってもらえるかは、自分の努力次第だけど相手が決める。さらに繋がり続けてもらうためには、自分がもっと努力する必要がある。そのためには、「関係の長期化」させて寄り添いながら、「顧客を成功へ」導いていくことが何よりも関係づくりのポイントだよなあって。

5.「冷たいデジタル」から「優しいデジタル」へ

ここが今回一番言いたいところなのにな。言葉ダイエットできないせいで前段が長すぎる…。まあこのnoteは僕の世界観のコンテナということで自分の思想を長尺コンテンツに残しておこう…。

顧客との関係が長期化することで何がいいかって言うと、
データをたくさん貯蓄していけるってことなんだよ!!!!

データを分析して施策に活かすというと、日本ではぶちギレる人が多そうだけど、データの活用ってそういうことじゃなくて。
(この辺は藤井保文さんのアフターデジタルや宮田裕章先生のデータ立国論をいつか書くと思うのでそれを待ってください)

単なる顧客データを活用した広告価値の最大化のためではなく、その顧客の体験向上のためにデータが活かされ、その具体的なメリットを顧客が理解している状況を作れれば、顧客が個人データの共有を躊躇する可能性は下がる。伝統的な企業における「おもてなし」は、リアル店舗の接客やその前後に限られてしまうという課題がある。しかし、顧客とブランドの接点は着実にデジタルに移行している。デジタルを活用することで「おもてなし」はその対象箇所を劇的に増やすことができる。データに関する施策は、「どう収益を最大化するか」という企業視点で語られることが多い。それらを「冷たい」デジタルとするなら、データは、1人ひとり丁寧にサポートし、体験を高度化するような「優しいデジタル」につなげていくこともできるはずだ。

説明が上手すぎて付け加える方がむずかしい。「優しいデジタル」の発想はD2Cブランドの基本動作である。店頭ではできない施策をデジタルで実現するのである。ブランドに必要なのは、長いジャーニーの間、なるべく多くの接点で顧客とのインターフェースを獲得することだ。高品質のプロダクトを届けつつデジタルを活用して、顧客に「これは自分にとって大事なブランドだ」と理解してもらう必要がある。

「優しいデジタル」の実現のためには3つの条件があるらしい。

【優しいデジタル 3つの条件】
①データの適切なフィードバック
②場所・時間からの解放
③コラボレーションの感覚を生む

①データの適切なフィードバック
データを顧客から預かるのなら、どのようにサービスに活かされているかすぐに顧客にフィードバックしようってこと。3か月先とかじゃなくてすぐに!それがデータを預かる者の責任でしょう。そうじゃなきゃそりゃあ不信感高まるよね。データを共有すればするほど享受するサービスの質が上がるというのを、目に見えて実感しれもらわなければならない。

②場所・時間からの解放
チャットするだけですごい人と繋がれるようになったよねって話。今まで医療関係者とは、診断中か薬の処方のタイミングしか接点がなかった。でもD2C時代では、ブランドと顧客はサービスの上で場所や時間を越えて繋がれるようになったよねって。

③コラボレーションの感覚を生む
顧客自身の声が反映されやすくなったということ。今の顧客は企業からあなたの力が必要ですと言われれば、積極的に情報を提供してくれる。むしろ自分の意見が考慮されれば、ブランドに対する信頼度は上がるよねって。

デジタル周りのプランニングをするときは、とにかくこのポイントは意識して組み込む必要があるだろうね。「優しいデジタル」の感覚、一つでも踏み外してしまうと一気に顧客との信頼関係が崩れ落ちてしまうでしょう…。

6.「売る」から「一緒に作る」へ

メーカーが作って、売る。そして顧客がそれを買う。
そんな時代は終わった。

私たちが特に大事だと思っているのは、顧客を、私たちの会社の「共創者」であり「共謀者」と思っていることです。

顧客を「マーケター」や「製品開発担当者」のように扱う。D2Cビジネスでは、顧客とブランドの関係は長期化する。継続性を無視して短期的な認知の量だけを狙う焼畑型のアプローチはD2Cには向かない。インフルエンサーではなくアンバサダーを。

大事なことは、受け取った相手が「これは自分のためのものである」と感じられること。そしてブランド自身が発するメッセージに、丁寧に熱と愛が込められていることである。

ほんとにそうだなあと思っていて。自分が本当に好きなものに対しては周りの人に伝えたくなるのだよ。ブランドにもっと成長してほしいのだよ。中の人と繋がれるとめっちゃうれしいのだよ。ファンは製品についてPRして、商品の良さをコミュニケーションしていくマーケターだし、フィードバックしながら製品をアップデートしてくれる製品開発担当者なのだよ。ブランドと顧客は、作る人と買う人ではなくて、一緒に作って一緒に売る関係なのだよね!

なんで毎回こんな長くなっちゃうかなあ。全然言葉ダイエットできてないじゃん。まあたしかに引用がないと、読んでない人や自分で振り返ったときにわからなくなるというのはあるけども…!まあまた続きあれば書きます!おわり!

第1弾はこちら。

第2弾はこちら。


(初回投稿日:2021/04/20)
(最終更新日:2021/04/20)

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