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「機能」ではなく「世界観」を売る『D2C』第2弾

今回は『D2C 世界観とテクノロジーで勝つブランド戦略』という本のレビュー第2弾です。この本。

第1弾レビューはこちら。

第2章のテーマは『「機能」ではなく「世界観」を売る』でした。

1.D2Cを語る上で大切な概念「世界観」の作り込み

世界観とは「ユニークで心に刺さる、ブランドの見た目、語り口、振る舞い、佇まいについても基本方針とその実装」のこと。すべてのロゴと製品を隠したとしてもそのブランドだとわかる、ブランド独自の雰囲気や空気感のこと。

たとえばディズニーランドに行くと、独特の雰囲気とブランドとしての空気感がある。Appleストアコストコ無印IKEAもそうかもしれない。これらは、対外的に発するイメージとコミュニケーションの方法を緻密にコントロールしながら、様々な方法で他社と差別化できる世界観を提示してる。

世界観の作り込み自体は新しいことではないけども、D2Cブランドの世界観の作り方はもっと新しいらしい。彼らのやり方は、世界観を通じてプロダクトをコンテンツ化しブランドをメディア化する。これこそが、今後メーカーやブランドが顧客と新しい関係を築いていくときの基本動作になるんじゃねーのって。

たとえば、「プロダクトをあえて売らない」とか。スーツケースブランドの「Away」の例で言うと、自らを“旅”を売る会社と位置付けている。旅を売るために、「雑誌」をつくることで、実現したい世界観をあますことなく表現する。これによって、プロダクト自体に加えて、ストーリーや写真、それらから構成される世界観を届けることができる。その世界観をベースに顧客との関係を築くことで、顧客は気づけばブランドの忠実なファンになる。

彼らが販売しているのは、スーツケースではなく、「旅のある生活」という世界観そのものなんだよって。ストーリーテリングを用いて様々なメディアを活用しながら顧客と心理的繋がりをつくっていく。こういう発想の転換・拡張を作りこめるというのが、D2Cがイケてる所以なんだろなー。

2.D2Cブランドの世界観の作り方

①「有限」から「無限」へ
②「単発のステージ」から「連続ドラマ」へ
③「シングルチャネル」から「マルチチャネル」へ
④「刺激-反応モデル」から「語りかけ-理解モデル」へ
⑤「プロダクトレイヤー」から「ブランドレイヤー」へ

①「有限」から「無限」へ
かつては雑誌や新聞の限られた紙面、数十秒のTVCMなどの「有限な枠」でしか顧客とのコミュニケーションの手段はなかった。だけど、ネットやSNSの登場で、表現するための「枠」は実質無限という状態になった。

②「単発のステージ」から「連続ドラマ」へ
枠がなくなって無限のコミュニケーションができるようになったのなら、長期的な世界観の設計が必要になるよねって。創業ストーリーとか実現したいライフスタイルをSNSとかを使って顧客に伝えていこうねって。あとは無機質な情報を一方的に流すのでなくて、奥行きのあるコミュニケーションをしようねって。

③「シングルチャネル」から「マルチチャネル」へ
豊富な世界観は、単一のイメージや数文字のキャッチコピーだけでは届けるのが難しい。「コミュニケーションチャネルの多様化」と「世界観の重層性」で解決しようと。「旅のある生活」といっても、いろんなきっかけがあるだろうし、いろんな切り口で「旅に行きたくなる」気持ちを喚起させる。あとは、「HERE」という雑誌があるからこそ、スーツケースを買って終わりじゃなくて、顧客とコミュニケーションを交わし続けることができる

④「刺激-反応モデル」から「語りかけ-理解モデル」へ
伝統的なブランドはCMなどを通して「瞬間的に最大のインパクトを生むビジュアル」が大切だった。でも、D2Cブランドは「長い言葉で語りかけながら、世界観を理解してもらい、長期の関係を築く」ためのコミュニケーションをする。

⑤「プロダクトレイヤー」から「ブランドレイヤー」へ
世界観は、プロダクトのレベルではなく、ブランドのレイヤーで作ろう!人々はモノではなく、世界観に反応するようになっている。企業はより一層自社のブランドパーパスを明確にして発信しよう。

【まとめ】
ブランド自体のファンというのは、新しいプロダクトが発表されるたびに、まだ試してもいないのに「楽しみ!」とSNSでつぶやき、発売時には「買った!」、使用後には「すごくいい!」と勝手に宣伝してくれる。プロダクトではなくブランド全体に愛着と信頼があるからこういった現象が起きる。
Awayの顧客は、スーツケースというモノと同時に、世界観も買っている。

3.その他、だいじなことチェックポイント(箇条書き)

・ミレニアル世代以降は「社会に意味のあること」に期待して消費を行う
・今後、歴史ある大企業というだけでは消費者と信頼を築くことができない
・消費者は「何を持っているか」ではなく「何をしているか」を大切にする
・思わず語りたくなるストーリーはあるか
・顧客を「コントロール」せず、「エンカレッジ」する
【今すぐやるべきこと】
・世界観を格納する、長尺コンテンツの制作
・コンテンツの継続的な、不断の発信

うーん。うまくまとめきれんかったなあ。
でも①~⑤を踏み外さずに世界観の作り込みをしようってことなんだろな。
著者の佐々木さんもどこかでお話をされていたけど、
「世界観のコンテナ」という表現が印象的だったな。


第1弾レビューはこちら。

第3弾レビューはこちら。


(初回投稿日:2021/04/18)
(最終更新日:2021/05/08)

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