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『3人の世界的芸術家』を育てた母の記録から学ぶこと。

「壁に好きなだけ絵を描いてもいい」
本を読んでいて、そんな家があることを知った。

壁だけでなく、襖、柱に至るまで。
家は美術館のように賑やかになったそう。

名前は千住家。


3人の子どもたちは、のちに芸術家になる。
長男は日本画家、次男は作曲家、長女はヴァイオリニスト。

今回紹介する本は「千住家の教育白書」(千住 文子)。
『三人の世界的芸術家』を育てた母の記録。

この本に出会えてよかったなぁと思う。
家族をより愛おしく思えて、読んだ後に子どもの寝顔を覗きにいったりした。

普段本をあまり読まないという方にも、ぜひおすすめしたい一冊。

本書はいわゆる育児書のような、子どもを芸術家にするためのハウトゥー本ではないし、自慢話のトーンも一切ない。

三人の子どもたちを、誰に偏ることもなく、平等に、公平に、なおかつ自然にみつめていることが、よくわかる。

その姿勢と、文章力の高さが、何よりすごいと思う。

結果的に芸術家になったけれど、何になるかが重要ではなく、親が子どもに本気で向き合い、尊重することが大切だと思えた。

そして親の介護と、家族の死。
支え合い、真剣に向き合う様子に、涙を堪えながら読んだ。



我が家の壁にも、子どもの絵が描かれている。

広範囲なので、先日遊びにきた姉には「キャンバス、ひろ!!!」と言われた。笑

これを良しとするかは、我が家も悩んだ。
保育士さんや、お絵かき教室の先生に意見を伺ったりもした。


というのも、壁に描くのをOKしたわけではなく、気がついたら書かれてしまっていて…
最初は、ぎゃー!と心の中で叫んだ。笑

最初に描いたのは1歳頃で、今は2歳なので、何か具体的な絵というよりは、線や丸や点がカラフルに重なっている。
見栄えがいいというより「やられちゃったねぇ…」という感じの見た目である。

最初は消そうとしたのだけど綺麗に消えなくて、持ち家で引っ越してから5年を過ぎていたのもあり、まぁいいか、壁紙は後からなんとでもなるだろう…ということになった。

それに、描くのを止めることにも若干の抵抗があった。
こんなに小さな子が、大きい真っ白な壁に、好きなだけ絵を描けたら、どれだけ楽しいだろう…と思った。

その時「ハチミツとクローバー」で大きなキャンバスに絵を描く、小さな主人公・はぐみちゃんを思い出した。


本書にもあるけれど、「他の場所に行ってやってはいけない」ということは、我が家でもしっかりと教えている。

壁に描いているからといって、外でやってしまうことは今のところない。
そんなに強く注意しなくても、紙があれば、はみ出さないように自分で気をつけている。(集中していて机にはみ出すこともあるけれど…)

むしろ、今はいろんなルールを知り始めているので、壁に積極的に描くことは減った。
時々、思い立ったときに「えいやっ!!」と描いて、誇らしげな、自慢げな顔をする。


千住家では、これは「悪戯ではない」そして「描くなら徹底的に描く」という考えであると書いてあった。

描くという行為は子どもの唯一の自己表現であり、その形の出来不出来は問題にならない。
要は真剣か不真面目かにかかっているのではないか、と。

私も、押し付けることなく、おおらかな目で、子どもを見守りたいと思う。


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