![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90460183/rectangle_large_type_2_1a457b06d8e8b8ba27b238d161f3ab1f.jpg?width=1200)
今日の日記 11/4
11/4
午前の授業も終わり、退屈な箱の中から逃げ出すように僕は喫茶店に来た。
名古屋で生まれ育った僕にとって、喫茶店は生活の一部。とまではいかないが、生活の中に喫茶店のコーヒーがないのはタランティーノの映画にレッドアップルのタバコが出てこないのと同じくらい寂しさを感じる。なくてもいいけど、あったら嬉しいものに毎日生かされていて、そんな無駄を愛す日々を送りたい。
忙しい日々の毎日だが、この国の人々の時間は緩やかに流れている。イヤホンの音楽を止めて人々が発する声、所作の細切れの音、足音に耳を澄ますと、この国の異国性---反対に僕の異国性---が僕の身体に吸い込まれてくる。この感覚は五感で感じ取るほかないし、自分のパーソナル性すら外界の要因によって左右されるときづかされる。
僕はカオスの淵にいる。この有と無にたしかに存在する僕の異国性は異端ともいえるが、周囲の人は気にもとめていない。隣の灰色の修道服を着た尼さんは細長いブルーベリーの香りのするタバコを延々吸っているし、僕はその匂いに包まれながら日記を書いている。
異国の人々の営みは日本の人々のそれよりも少しだけゆっくりで、それでいて愛おしい。いろんな国に赴き、自分のパーソナルを様々な社会で落とし込みながら観察していきたい。
そんなことを考えていたら、もうすぐ待ち人が来るみたいだ。何をしていたわけでもなく、ただ本を読んで、音楽を聴き、コーヒーを飲み、雑踏を眺めていただけの時間は、私にとってかけがえのない時間であった。こっちも肌寒くなってきた。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?