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宿痾/詩

僕の心に住まう、形容しがたい何かがある。
得体の知れぬその塊は、不吉な何かを予言するように。
身体に巣食う病でもない、その何かが僕を駆り立てるのだ。

憂鬱が僕を押し潰すのなら、僕には逃避しか出来ない。
かつて好んだ音楽も詩も、平和な街中にある有象無象すら、僕を追い掛ける塊の一部なのだから。

モノクロになった僕の世界にあるのは、価値のない者たちの色だけだ。その中に際立つ、イエローの檸檬が一つ。

僕の心に住まう、形容しがたい何かがある。
得体の知れぬその塊は、自然とそのイエローに魅入られていく。

金のない僕は黄金に似たその果実を手に取り貪り
今まで散々味わって来た、逃げてきた筈の酸味と出会う。

しかし、何故だろう。不思議とその不吉な塊は小さくなった。
檸檬の酸味は、この不安感を消し飛ばす爆弾なのかもしれない。

僕はこの檸檬を書店の棚に置いた。



授業でやった梶井基次郎の檸檬が滅茶苦茶良かったので書きたかった。
でも絶対夜中に書くべきじゃなかった。

これで一応更新はストップです。また受験勉強に戻ります。
では

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