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時間 -カイロスとクロノス-

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#見田宗介

平成最後の東京大学の告辞と祝辞(19)

平成最後の東京大学の告辞と祝辞(19)

平成最後の東京大学の卒業式の総長告辞、その後半で見田宗介先生の書籍から引用しつつ、語られていることにいたく感銘を受けた。

そして、その余韻が心に残ったまま、昨日と今日、facebookのタイムラインを専有したのが、入学式での上野千鶴子先生の祝辞である。こちらも、心を掴んで離さないインパクトのある祝辞だった。

そして、見田先生及び上野先生は共に社会学者である。2つを重ね合わせてみると、何か発見が

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未来のために現在があると信じた平成、そして令和(16)

未来のために現在があると信じた平成、そして令和(16)

本を読んでいて、ときに内臓が震えるときがある。寒気に近い感覚だ。それが起こるのは、自分が無意識に信じていたものが否定され、そしてその否定の論理に自分が納得してしまっているときだ。

頭はNO、体はYES。

この分離した状況を内臓、特に胃が察知するのだ。たまにこれが体調不良につながることさえある。そのほか、前頭葉が破裂しそうになる感覚もあるが、それはまた別の機会に読書の身体感覚みたいなテーマで書こ

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大山エンリコイサム『アゲインスト・リテラシー』と見田宗介『現代社会はどこに向かうか』(15)

大山エンリコイサム『アゲインスト・リテラシー』と見田宗介『現代社会はどこに向かうか』(15)

「いきなり前人未到」だなんて大げさなテキストが帯に書かれている。グラフィティ文化論という未知の領域に対して、いとうせいこうが言うなら、そうなのだろうと思いこんでいたが、実際にはその思い込みがより強まったというのが読後感である。日常的に目に入っていたグラフィティがいったいどういう経緯で、なぜ、背後にあるもの、どのように解読すればいいのか、それ以上にグラフィティは理解しうるものだという可能性を提示して

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