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ファインダーを通した子供の目線が面白い 〜上野編〜

10月6日から11月29日の間、東京 上野の国立博物館の平成館にて「桃山ー天下人の100年」という特別展が開催されている。最近歴史にハマっている小学四年生の長男に声をかけたところ、「いきたい!」と即答された。じゃあ次男はどうかと訊ねたら、「お兄ちゃんが行きたいって言うなら面白いんだろうから行く」と主体性のない答えが返ってきた。まだ一年生だからな、しょうがないよね。

この特別展は名前の通り、安土桃山時代の美術品を紹介するというもの。この時代の美術品は唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)のような豪華絢爛という言葉がぴったりな作品が多い一方で、松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)のような墨の濃淡だけで表現する物静かな作品もあるなど、なかなか興味深い。

撮影禁止なんだろうなと思いつつ、ひょっとしたらとカメラ持参で出かけたら、やはり撮影はご遠慮下さいとのこと。やっぱりそうだよな、うん。
尾形光琳の絶妙な筆の運びとか、日本刀の美しい刃紋とか、美濃焼の”うにょん”とした感じとか、そういったものを写真に収めて家でニヤニヤしたかったのだが…。

と言うわけで、この記事は上野公園のスナップ写真集に変更することになったのであった。
もちろん写真を撮ってくれたのは二人の子供たち。実は彼らは名カメラマンで、いくつかの作品はこちらにまとめているので、よろしかったらこちらもどうぞ。

まずは上野公園の全体図。「これがあると迷わないよ!」と律儀に撮ってくれた。

上野公園内の屋内施設は、ほぼ全て事前予約制を取っている。予定の時間まで30分ほど時間があったので、軽く公園内を散策することにした。この二枚は子供たちが適当に撮った写真。何故か鳩に興味を持っていて、追いかけ回しながら何枚も撮っていた。

上野公園といえばパンダや西郷隆盛を思い浮かべる人が多そうだが、こういう格好いい騎馬像もある。このお方は小松宮彰仁親王。当時の欧州君主国に倣って、皇族が率先して軍務に就くことを奨励されたそうで、陸軍軍人として戊辰戦争、佐賀の乱、西南戦争で指揮を取られたとのこと。陸軍大将に昇進、近衛師団長、参謀総長を歴任し、日清戦争では征清大総督として旅順に出征された。
軍人としてだけでなく国際親善や社会事業にも力を入れられたそうで、日本赤十字社の初代総裁を勤められたとのこと。精力的な方だったのですね。

こちらは上野東照宮。日光東照宮、久能山東照宮とあわせて三大東照宮と呼ばれることが多いそうだ。祀られているのはもちろん徳川家康だが、Wikipediaをみると徳川吉宗と徳川慶喜も祀られているとのこと。
創建したのは伊予今治藩、後に伊勢津藩の藩主となった藤堂高虎。何人もの主君に仕えた苦労人というのは知っているけれど、結局何をしたのかよく分からない人だ。そんなことを呟いたら、長男に「こいつ分かってないな」って顔をされた。じゃあ何した人なんだよって口尖らせて聞いたら、「この人は城造りの名人なんだ」と返ってきた。調べたところ、京都の二条城は彼が縄張りをしたとのこと。そうとは知らず、大変失礼いたしました。

こちらは東京国立博物館の本館。僕はこの帝冠様式が大好きだ。洋風の建物と見せかけてお城みたいな瓦葺きの屋根が乗っかっている。一見不釣り合いに思えるが、見ているうちに「これでいいのだ!」という根拠のない自信が湧いてくるのが堪らない。
そういうわけで「ぜひ撮ってくれ!」と力強くお願いしたのだが、「はいはい分かりましたよ、あれを撮ればいいんですね」と、ちっともやる気が感じられない。鳩を追いかけ回す、あの情熱で撮って欲しかった…。

むしろ子供たちは表慶館の方が気に入ったようだ。
東京国立博物館の公式サイトを見るとネオ・バロック様式とのこと。他にバロックといえば赤坂の迎賓館だろうか。ブラタモリでしか見たことないけれど、迎賓館はきれいな建物だったなぁ。
表慶館の入り口には二頭の獅子が鎮座しているのだが、向かって右側が口を開け、左側が口を閉じていたので、「ここにも阿吽か!」と思わず声を出してしまった。こういう東洋的な要素を盛り込む感性は大好きだ。

これはおまけ。
長男は絵や工作が好きなので、何か刺激になるかなと隣の東京藝術大学まで足を運んでみたのだ。
「どう?」って訊ねたら「さぁ…」って、そりゃ外から眺めただけならそうだよな。何やってるんだ俺。

というわけで、今日はここまで。

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