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短編小説・詩

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ちょっと重めのヒューマンドラマが多めの作品群。
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#ポエム

鏡面のパレード。【詩】

鏡面のパレード。【詩】

おまえら みえるか
きょうはお月さんがでかいぞ
まっきっきが俺らのステージでゆらゆらゆれる

ブモーブモー
グワグワ ゲロゲロ

あっちは明け方、轢かれてしんだ
こっちは昼間に干からびた

泣いてなんかやらないぜ
馬鹿でマヌケな奴らだぜ

笑え!笑え!笑え!

ブモッ、ブモブモ
グワグワッ ゲロゲロゲーロ

おい、おまえら
おれらはそうはならないぞ

強く カッコよく
生きぬいてやるんだからな

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味しらべ。【詩】

味しらべ。【詩】

チョコレートはジゴロ
甘く溶けて、口の中にじゅん、と広がる

おかきは江戸っ子
固すぎて、ちょっといけず
でも、噛み砕いてみるといいお味

ミニトマトはお孫さん
トマトよりちっちゃくて、かわいくって
どうしようもなく特別感

このお味噌汁はママ
昔は当たり前だと思ってたけど
大人になったらじんわり染みる
忘れたくない、あたたかさ

サラダには向かない。【詩】

サラダには向かない。【詩】

買ったばかりのレタスの葉に茶色の筋がありまして
それが生きていた頃にこの子が貯めた栄養素なのも知っていますが

私は一枚剝いで捨ててしまう
だって見栄えが悪いんだもの

「せっかくがんばったのに」なんて怒ったら嫌
残りは全部きれいに食べるわ

君の命に毎回手を合わせて
「いただきます」って言ったあと
ぺろりと私の一部にしてしまうから

ざまあみろ【詩】

ざまあみろ【詩】

糸にぶら下がって
ゆらゆらしている針が嫌い

子供のころは
おっかなびっくり
なかなか穴に通せなくて
勤めだしても
全部お母さんに丸投げた

だけど 三十過ぎたら
私しかあのちっさな穴が見えなくなって
しぶしぶ 糸通しの役目を仰せつかった

えらくあっけなく済んじゃって
ちょっと呆気にとられるくらい

いつの日か
私がおばあちゃんになっても
かわりに糸を通してくれる人はいないけれど

それなら

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