Book review#01 ブランドのはじめかた
せっかくnoteを書き始めたのだから、マガジン機能を使ってみたいなと思今して。読書から得たインプットを“書評”という形でアウトプットする場として利用させてもらいます。(本の感想って読んだ後に誰かに言いたくなるんですよね…)
ということで、#01はこの本です。
先日開催されたvivivitさんのポートフォリオバイブルにて、株式会社パークさんの代表取締役 佐々木智也さんのシートの中でオススメの本として紹介されていたので、早速購入し読んでみました。
この本は「中川政七商店」の中川淳さんと、エイトブランディングデザイン代表 西澤明洋が、経営者・デザイナーそれぞれの視点から「ブランドのはじめかた」を解説する本になっています。シンプルに3章構成でできているこの本は第1章『5つのケースに学ぶ』が半数ページにわたり、“ブランドがいかにして始まったか”をテーマにインタビュー形式で経営者とデザイナーそれぞれの視点で語られている、なかなかに思いきりの良い本である。
すでにこの構成から著者二人の意図が感じられるが、ブランディングに必要な手法とそれに加えてビジネスパーソンとして正しいシナジー効果を生むためのビジネスへの向き合い方についても説かれている。
・第1章 5つのケースに学ぶ
この章では、『COEDOビール』『nana's green tea』『HASAMI』『粋更』『中川政七商店』の5つの事例についてインタビュー形式でブランドのはじまりから、誕生、継続に至るまでが解説されている。
それぞれの詳しい解説については割愛しますが、この事例を読んでから2章に入るのと読まずに入るのとでは理解力が異なります。時間がなく手っ取り早く手法だけ知りたいから2章からというのはあまりおすすめしません。
個人的には、著者である中川淳さんの「中川政七商店」の事例が特に印象深い。第2章で出てくるデザインを評価する3つのポイントを忠実に行なっている。
「中川政七商店」はブランドコンセプト、行動指針、業務レベルの行動指針の3層構造を用いたインナーブランディングを行っている。これが他ブランドとの差別化を大きく促進していると考えられる。
具体的には、下の図のようになっている。
ブランドコンセプトの差別化から、業務レベルまで細分化し現場まで一貫したインナーブランディングのディテールの完成度が非常に高いものであると感じた。
・第2章 ブランドのつくりかた
この章では実際にブランディングを行うときの具体的な手法について述べられている。第1章と照らし合わせながら読むことで、より理解が深められる。
印象的であったのは、エイトブランディングの掲げるサイクル、フォーカスRPCD。この考え方を取り入れればこれまで成功できなかったものも多少は成功へと導いていける気がする。その中で重要だと感じたのは、どのサイクルに関してもデザイナーが関ること、そこにはブランドの経営者やブランドマネージャーがいること。
また、実際に案件でこなす場合にはブランディングに対する考え方、どのようなサイクル・手順で行う(その理由)をパートナーとなる企業に指針として共有することで円滑に進むのではないかと感じた。
・第3章 ブランドのそだてかた
この章は主に、ブランドの完成後つまりブランドのはじまりからの解説になっている。ブランドは半永久的なもので終わりはない。もはや、ブランドの本質は完成してからなのかもしれない。ブランドが生き続けられるためには、柔軟にブランドの人格を変えていかなくてはいけないこともあるということですね。
ただ、無秩序にブランドの人格を変えていくことは危険であると解説されいます。そのブランドごとに踏み込んで良い領域・踏み込んではいけない領域があるということです。
そこで、ブランドが人格を変えていく時に重要なポイントについてもここでは解説されています。
①連続性を持つこと。
「このブランドだからこういう変化は納得できる。」というように、変化にストーリーを持つことで違和感を持たれずに成長していける。
何の理由もなく、家を引っ越す人はいないですよね。変化には理由があって行動があるから自然に受け入れられるのですね。
②変化が外発的なものでなく、内発的なものであること。
トレンドに乗っかるだけの変化では、差別化できません。そのブランド特有の強みを生かして、社会と帳尻を合わしていくやり方が正しいということですね。先ほどの引越しの例に沿って例えると、料理の得意な人が流行っている・おしゃれだからというだけの理由でキッチンの狭いデザイナーズハウス物件に引っ越しては宝の持ち腐れです。
・まとめ
ブランディングの行き着く先は結局CXであったりBXであると言える。ブランドの人格を作りそれをブランドに関わる全ての人が体現していくことが重要である。(BXについては下記の記事がわかりやすいのでぜひ読んでみてください。)
また、プロダクトアウトの考え方は危険であると改めて感じた。全てにおいてマーケットインにしていくとそれはそれでブランドとしての価値がなくなる。コモディティ化の波にのまれるだけであるとも言える。
マーケットインでありながらもそのブランドの強みを捉えたプロダクトを作り出すことが強固なブランディングを形成するコツだと感じた。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?