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【008】4年ぶり“同期会”@かごしま大会

■元気で集合! 「同期」の仲間

 桜島を背景に、笑顔のはじける紳士が印象的でしょう? 今年(2023年)10月に鹿児島県で開かれた「特別全国障害者スポーツ大会」(全スポかごしま大会)で、長崎県選手団の団長を務めた土岐達志さんです。長崎県障害者スポーツ協会の会長や、同県身体障害者福祉協会連合会長といった要職を務め、平和や福祉の分野で、長崎県の発展に寄与したとして、今年度の「長崎新聞文化章」をつい最近贈られた方です。
 では、その周りは? 土岐さんの子どもや孫たち? いえいえ。全員が土岐団長の「同期生」なんです。全員が「上級パラスポーツ指導員」。2019年に福岡で開かれた養成講習会を、一緒に受けて資格を取得しました。そして、今回の「全スポかごしま大会」に際し、大会役員や、都道府県や政令指定都市選手団の役員やコーチとして、派遣されたパラスポーツ仲間です。(私もこの中にいます。桜島に頭を載せた黒い帽子&青い服が、私です!)
 これだけのメンバーが集まるのは、養成講習会以来、4年ぶりになります。全スポかごしま大会で、うれしいなと思ったこと二つのうち、今回は残り一つを紹介します。それは、「同期」と会えたことです。

■2019年秋。「来年、鹿児島で会おう!」

 「来年の全スポ(全国障害者スポーツ大会)かごしま大会で会いましょう!」 2019年の秋、福岡市立障がい者スポーツセンター「さん・さんプラザ」で、私たち約40人はそう言って別れました。夏に4日間。さらに秋に4日間。私たちは「上級障がい者スポーツ指導員」(現・上級パラスポーツ指導員)を取得するために全国各地から集まり、通算8日間・計52時間(講義40時間、実技・演習12時間)の養成講習会を終えて、地元に戻ろうとしていました。
 鹿児島県から講習会に参加した仲間が「2020」という文字が入った「第20回全国障害者スポーツ大会 かごしま大会」のパンフレットやクリアファイルなどを渡しながら、「来年、鹿児島で!」と呼びかけてくれました。私たちは「本当に、会いたいね」と口々に言って、帰路に着いたのです。

鹿児島の仲間から2019年にもらった「2020」入り「かごしま大会」の資料やクリアファイル


■東京オリパラ(のはずの)2020年。Covid-19がやってきた

 2020年を「いつも通りの新年」として迎えた方は多かったと思います。私たちスポーツ関係者は、「東京オリンピック・パラリンピック」の年として、特別な年になると考えていました。ところが、Covid-19がやってきました。「三密を避ける」ことが求められ、「出歩くな」と言われ、「行かなくてはならない」はずだった学校や職場には「来るな」とさえ言われるようにもなりました。そして、「東京オリパラ」は1年間延期になり、別の意味で「特別な年」になりました。

■障がい者スポーツセンターでの工夫

 私は当時、転職前で、障がい者スポーツセンターでの詳しい事情は知りません。ただ、他の多くのスポーツ施設と同じように、利用者のみなさんにこれまで通りに使ってもらえないようになり、全国各地の障がい者スポーツセンターは頭を悩ませていたと聞きます。
 例えば、私が現在勤める大阪市長居障がい者スポーツセンターでは、こういう映像を撮って職員の様子を伝え、利用者の方に少しでもスポーツに触れていただこうと、工夫していました。


■「2020」の「かごしま大会」も延期

 そんな中、2020年に開かれるはずだった「かごしま大会」も延期になりました。下のリンクは、「かごしま国体・かごしま大会」公式サイトに残っている「延期」を伝える発表です。
【国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の開催決定について】
2020年10月8日(木)

 そのころ、一緒に「上級講習会」を受けた同期たちはどうしていたのか? 同期の中には、障がい者スポーツセンターで働いている人もいれば、他の仕事を持ちながら、地域でパラスポーツの普及に努める人もいます。例えば、公務員や教員もいれば、当時の私のように民間企業に勤めるケースなど、職業もさまざまです。講習会の後は互いに遠方ですから、コロナ禍とは関係なく、LINEやFacebookなどのSNSで連絡し、近況報告をし合っていました。
 ただ、長崎県の土岐さんはSNSを使っておられず、当時東京にいた私には時々、野太いお声で「おげんきですかぁ!」と電話があり、いつも元気を分けていただいていました。
 土岐さんは長崎県五島市にお住まいなので、同期の仲間からは「五島で、5月10日=『ごとう』に集まろう」という意見も出ていました。でも、それはコロナ禍のため、実現していません。

■3年たって、やっと。

 「鹿児島で!」という思いは、延期になった「かごしま大会」で、ようやくかないました。もちろん、この3年間で状況が変わって、「2020」の大会には参加予定だったのが、今年は来られなかった仲間もいるでしょう。逆に、私のように、転職したことで参加できた者もいます。

 私が最初に会えたのは、愛媛県選手団に帯同していたYさんでした。開幕前日、陸上競技場での公式練習の時でした。

愛媛県のYさんと

 この後、Yさんは同期の仲間に、「大会最終日の競技終了後、閉会式までの間に、桜島を背景に写真を撮ろう」と提案してくれました。私は、ぜひ参加しようと思いました。その時間帯であれば、所属している選手団に、迷惑をかけることはないという判断もありました。

 この大会は、選手たちの順位を決める競技スポーツの大会ですから、選手も、選手団も当然、競い合います。一方で、こちらのパンフレット「かんたん!全国障害者スポーツ大会ガイド」にも出ているように、「障がいのある方の社会参加の推進や、国民の障がいのある方に対する理解を深める」ことが特徴でもあります。
 全国各地で障がい者のスポーツに関わる選手、役員、スタッフが集まる貴重な大会ですから、その方々や、地元の方とも積極的に交流することが、たいせつな目的だと、私は聞いて鹿児島に来ました。新しい人脈を築くことも、旧交を温めることも、その場や、その日以降、情報交換することによって、社会参加や「障がい」への理解のために役立つ、たいせつな機会になるはずです。
 もちろん、今回の大会に参加できなかった同期の仲間も多くいました。同期で作ったLINEグループでは、「いいなあ」「がんばってください!」といったメッセージも多く寄せられました。今回はお会いできなかった方も、別の機会に、ぜひ再会できることを願っています。

長崎県選手団・土岐団長(中央)を囲んで
ボッチャ競技では、同期の中に監督・ヘッドコーチが3人もいました!
集合写真撮影時に都合が付かなかった同期(右)も、長崎県選手団・土岐団長(中央)とチーズ!
桜島を背に

■「ゆめ~KIBAIYANSE~ダンス」

 この項の最後に。「鹿児島県公式チャンネル」から。大会会場でよく聞いた曲へのリンクを張っておきます。辛島美登里さん作詩・作曲のこの曲。特に、歌詞がステキです。きばいやんせ! チェスト!


【追加】「2023」の文字が並ぶかごしま国体・かごしま大会の資料
【追加】来年の開催地は、佐賀県!

■【参考情報】パラスポーツ指導<者>の資格とは

 障がい者スポーツ指導<者>(2023年度から「パラスポーツ指導<者>と改称)の資格には、6種類あります。指導が「初級」「中級」「上級」の3種類。その他「コーチ」「トレーナー」「医(師)」があります。

 このうち、上級指導の受講資格は、中級指導資格を取得してから、3年以上が経過し、120時間以上の活動実績のある人です。下に書いた説明にもあるように、各地域でパラスポーツ指導経験が豊かで、パラスポーツを振興するリーダーになっている人が多く、全スポの都道府県・政令指定都市選手団では、役員として派遣される人たちが大勢います。

・初級パラスポーツ指導員
 障がい者のスポーツ参加のきっかけ作りを支援する指導員
・中級パラスポーツ指導員
 地域のパラスポーツ振興のリーダーとして、指導現場で充分な知識や経験に基づいた指導をする指導者
・上級パラスポーツ指導員
 都道府県におけるリーダーとして、パラスポーツの高度な専門知識を持ち、地域の初級・中級指導員を取りまとめる立場
・パラスポーツコーチ
パラリンピックをはじめとする国際大会で活躍する競技者に対して、専門的に育成・指導ができる高度な技術を備えた指導者
・パラスポーツトレーナー
スポーツトレーナーとして質の高い知識・技能を有し、かつ障がいに関する専門知識を有し、アスレティックリハビリテーション及びトレーニング、コンディショニング等にあたる役割
・パラスポーツ医
障がい者のスポーツ・レクリエーション活動に必要な医学的管理や指導などの医学的に支援理論を学ぶ

※「上級パラスポーツ指導員」を取得するには、基本的に初級指導員取得(+2年以上の経験)→中級指導員取得(+3年以上の経験)→上級養成講習会と段階を踏む必要があります。上級パラスポーツ指導員養成講習会の現在のカリキュラムはこちら