大谷弘至 (編)『小林一茶 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』を読んで
『小林一茶 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』大谷弘至 (編) 2017.9.23 発行 角川ソフィア文庫
小林一茶は、日本の俳人で、彼の人生と代表的な句を紹介した入門書。彼の人生を辿り、日々の生活を俳句に昇華させた姿勢が書かれています。
小林一茶は、松尾芭蕉、与謝蕪村と並ぶ、江戸三大俳人の1人です。
「やせ蛙負けるな一茶これにあり」「我と来て遊べや親のない雀」など、素朴で親しみやすい俳句や、日常の出来事をユーモラスに詠んだ俳句で知られています。
生涯で20,000を超える俳句を残した小林一茶ですが、家庭には恵まれませんでした。
幼少期は継母にいじめられ、安住の地を持たず全国各地を漂泊します。念願の生まれ故郷での定住後も、次々と家族に不幸が襲いました。それでも、悲惨な運命を嘆くのではなく、自らの感性を人間味あふれる俳句へ昇華させました。
一茶が生きた時代は、浅間山の噴火、天明の大飢饉など、天災とそれにともなう人災が起こり、政治・経済は大きく混乱していました。一方で大衆文化が形成された時期でもあります。
印象に残った俳句
いい意味で子どもじみた無邪気さがあります。一方で、その柱の冷たさは、どこか自分を拒むかのような冷たさです。
この句を読んだとき、祖父母の家の情景を思い出しました。
年末の時期は、心身ともに疲れがたまることがあります。世の中は良いことばかりではありませんが、人生は風の吹くままに生きるしかないという悟りに似た気持ちを感じます。
小林一茶は60歳のときに、妻と子を相次いで失います。悲しみのなか、1人で食事をするわびしさを詠んだもの。
人は時折、孤独や寂しさを感じることがありますが、その中でも食事を通じて何かを埋めようとする姿勢は、人間らしいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。また次の記事でお会いできたらと思います。
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