じゃこ天と愛媛のよもだ精神

愛媛県松山市で使われている伊予弁には「よもだ」と言う言葉があります。
「いいかげん」「ふざけている」と言うような意味でも使われますが、実は「なんだかにくめない」とか「とぼけているようだがエスプリが効いている」そんな洒脱な人に使われる方言です。

その伊予の”よもだの精神”を最近のある出来事から感じとりました。


愛媛の名産の一つに魚のすり身を油で揚げた「じゃこ天」があります。ごはんにもお酒にも合う、美味しい練り製品です。
このじゃこ天を秋田県の知事が「貧乏くさい」と発言した"じゃこ天失言"が巷で話題になり、SNSなどでも取り上げられました。

「名産のじゃこ天が貧乏くさい」と言われた愛媛県の中村知事は、すぐさま松山市内の会合で「じゃこ天を秋田県のきりたんぽ鍋に入れると美味しいと思う」と笑顔で提案しました。粋なコメントです。

秋田県の知事の失言を申し訳なく思った秋田県民からは、愛媛にじゃこ天の注文が殺到し、それが再びニュースになりました。
そして11月15日には、四国の四県と秋田の物産を仲良くPRする「合同特産品販売会」が開催され、再び話題になりました。

この特産品販売会ではじゃこ天を含む四国四県の物産と秋田県のきりたんぽの詰め合わせが「なかよしセット」として販売され人気だったそうです。

ご当地キャラクターが勢ぞろいする中で、謝意を表明した秋田県知事に対して愛媛県の中村知事は「あんまり気にされんでください」と笑顔で語りました。

この様子は多くのメディアに取り上げられて、じゃこ天の存在すら知らなかった人たちにまで知ってもらえるきっかけになり、愛媛県民や業者にとっても嬉しい結果に繋がりました。

きっかけは残念な事から始まりましたが、それに目くじらを立てないで、よもだ精神でエスプリが利いた対応を取った愛媛の知事は流石だなと思いました。

やっぱり、よもだな精神はええわいと改めて感じた出来事でした。

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