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母の瞳がキラキラ輝いた時

私たちのブログの個性は、親子が本音で語る「毎日がバトル:山田家の女たち」の母と子の会話です。
その日の投稿について、私が母に根掘り葉掘り聞いて、飾らないコメントをそのまま書いています。
母はブログを始めた頃よりも、たくさん話すようになりました。

「お母さん、毎日がバトルのコーナーの話聞くよ
「今日は何についてぞねー」

「あのねー、朗読についてなんよ
「朗読か・・・、私も小さい頃に朗読したことがあらい

「へー、どんなやつ」

そう尋ねると、突然母の目がキラキラ輝き始めました

小学校の学芸会で雪舟のネズミの話を朗読したんよ、今でも覚えとらい」

おーきなネズミが一匹・・・・
と母が物語の一説をそらで言い始めました。
小学校の頃に朗読した物語を91歳のおばあちゃんが覚えているのです。

母が朗読したのは、室町時代に活躍した水墨画家の雪舟のお話です。

禅寺に幼くして入った雪舟が、禅の修行をそっちのけで好きな絵ばかり描いて過ごしていることに腹を立てた住職が、ある朝、雪舟を本堂の柱に括り付けます。夕方、可愛そうになって見に行くと、少年の足元で大きな一匹のネズミが動き回っているではありませんか、住職はそのネズミを追い払おうとします。でもネズミはいっこうに動こうとはしません。

実はそのネズミは、少年がこぼした涙を足の親指につけて描いたものだったのです

そんな雪舟のエピソードを書いた物語を母は朗読したんだそうです。

遠い昔を思い出したのでしょう。

大きなねずみが一匹言うて読んだら、練習の時に先生が、おーきなねずみが言うて、大きなを思いっきり強調したらええよ言うて教えてくれてね、学芸会でもそう読んだんよ、今でも忘れられんのよー」

「朗読は上手いこといったん」と訪ねると
母の瞳はキラキラと輝いて「先生や皆に褒められたんよ。あの、大きな言うところが素晴らしかった言うて、ほんと誇らしかった、今でも忘れられんわい

母の顔が、ぽっとピンク色に染まりました。幼い頃の嬉しかった記憶が母をその時代に戻したようです。

私は母と朗読の話をして、本当に良かったと思いました。

キラキラと輝く母の目を見て、お年寄りにとって昔の思い出に触れることは、元気を与えるエネルギーになるのだと確信した出来事でした

【毎日がバトル:山田家の女たち】

《私にもあんな時代があったんよ》


「そのおおーきな言う一説が凄い記憶に残っとんよ、それで朗読の話されて思い出したんよ、あんたが朗読の話してくれて良かったわい

「お母さん、本当に嬉しかったんじゃねー」

「嬉しかったよー、私にもあんな時代があったんじゃな―

「お母さん、何年前なんかな・・・」

「あんた、80年以上も前の話よ、昔々のお話じゃ

私は母の上気した顔を見ながら、その頃の母の姿が目に浮かぶような気がしました。「おーきなネズミが一匹」母の朗読の声まで聞こえてきそうです

追憶のあれやこれやや春麗


母は朗読の記憶から、懐かしい小学校時代の事をあれやこれやを思い出したようです。こんな句を詠みコラボ作品を描きました。
幼い頃に友だちと遊んでいる風景です。
母はとても楽しそうに描いていました。あんなこともこんなことも、思いが溢れてイラストを何枚も描きました。とても素敵な時間だったようです。

最後までお読みいただいてありがとうございました。たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。この記事が気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。

私のアルバムの中の写真から

また明日お会いしましょう。💗

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