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イラストと俳句のコラボ◇ばあばの春夏秋冬

私の母は94歳です。
母と私は親子でブログを発信しています。毎日投稿を始めて3年9ヶ月になります。母はブログの発信をきっかけにイラストを描き始めました。

俳句王国愛媛で長年俳句を趣味として楽しんでいた母はブログ発信をきっかけに、自分が詠む俳句をより多くの人に楽しんでいただくために「イラストと俳句のコラボ作品」の創作を始めました。
私は母のイラストと俳句のコラボ作品に、短い文章を書いて解説しています。

作品はこれまでに1,300点以上創作してきました。
今回はその中から、春、夏、秋、冬それぞれ5つの作品を厳選して、20作品ご紹介したいと思います。

※それぞれの作品にはnoteに掲載した記事を添付しています。

<ばあばの春夏秋冬>


【春】

①ういういし卒業式の晴れ姿

満開の桜の下で、はかま姿の初々しい集団に出会いました。その日は地元の大学の卒業式だったのです。母は晴れ着姿の女子たちに拍手を送っていました。彼女たちから爽やかなエネルギーをもらったようです。


②藤房のさゆれ追憶蘇る

愛媛県松山市には藤の名所として知られている庚申庵こうしんあんがあります。江戸時代の俳人栗田樗堂くりたちょどうゆかりの場所です。母は、その史跡庭園のフジが見事に咲いていると言う新聞記事を見てこの句を詠みました。かつて俳句の仲間たちと訪ねた時に、樹齢200年を超える藤の花房が風に揺れる様子を見て作句を楽しんだそうです。
風を感じるコラボ作品が生まれました。


③干し終えて春光眩し今朝の庭

母は太陽の光が大好きです。
雨が続いていた翌日、春の日差しが心地いい日に溜まっていた洗濯物をまとめて洗って、物干しに並んだ洗濯物を眺めている自分の姿を詠んだ句です。
洗濯物が整然と干されている様子が母のすっきりした気持ちを表しているようです。


④ときめきに生るる歌声花の道

母は桜のシーズンに満開の桜道を歩く自分の姿をコラボ作品にしました。
あまりにも美しいので思わずハミングしながらウキウキしている様子です。
満開の桜道を歩いていると、間違いなく幸せな気分になります。


⑤花疲れ道後散歩のピッツァかな

母の久々の外出は松山市の観光名所として知られている道後のお花見でした。母は花見の疲れを大好きなイタリアンレストランで癒そうと、その店を訪ねたのです。店の料理も雰囲気もそして接客も母のお気に入りです。
幸せなお花見になりました。


【夏】


①夕立の止むを待ちわぶ親子かな

夕立は夏の午後に降るにわか雨のことです。夕立に出くわした親子は、雨が止むのを待っています。
面白い構図のイラストが母らしいテイストになりました。
身近に起こった出来事も、慌てないで夕立のように止むのを静かに待つことも必要なのかも知れません。
「ケセラセラ、なるようになる、焦らないで待つのも大事」そんな母の声が聞こえてきそうな気がします。


②風鈴や音色さまざま風の声

母は涼を得ようとさまざまな風鈴を描きました。
かつて我が家の軒先で涼やかな音色を奏でてくれた風鈴です。
江戸風鈴、南部鉄器の風鈴、砥部焼の風鈴。
それぞれ違った音色で涼を演出してくれました。
風鈴から風の声が聞こえるような気がします。


③梅雨明けて杖と仲良く朝散歩

四国地方の梅雨が明けたと言うニュースを聞いて、母はこのイラストを描きました。
杖をついて歩く母にとって傘をささなければいけない梅雨の時期は、不安です。梅雨が明けて、いよいよ心配なく散歩にも出かけられそうだと、心が浮き立っている自分を詠んだ句です。


④ギアマンの天然氷いちご味

母はレトロなギアマンの器に盛られた氷をイラストに描きました。それも贅沢に天然氷のかき氷です。天然氷は、自然の水が氷ったり溶けたりを繰り返して氷の塊になったものです。実際に食べてみると分かるのですが、天然氷のかき氷は頭にキーンと来ることが少なく、溶けにくいと言う特徴があります。
母は以前デパートで食べた天然氷のいちご味のかき氷を思い出してこの句を詠みました。


⑤夕焼や水面耀く瀬戸の海

私たち親子が住む愛媛県は瀬戸内海に面しています。瀬戸内の穏やかな風景は見飽きることがありません。特に夏、夕日が沈む時間帯は本当に素敵です。夕日が島影に落ちる時、水面を照らして、海面が燃えているように見えるのです。仕事を終えた漁師さんもきっと一日の疲れが癒されるでしょう。
そんな情景をコラボ作品で創作しました。


【秋】


①山裾に果てを知らずや稲穂波

母が郊外電車に乗った時に詠んだ句です。場所は愛媛県の伊予市です。田園地帯は稲の収穫時期を迎えていました。稲穂が風にざわざわと波のように揺れる様が本当に美しかったです。


②見上ぐるる松山城や秋晴るる

愛媛県松山市を一望できる高台に建つ松山城には、ロープウェイで登ることができます。松山城の石垣は扇状の曲線美が美しく、城の魅力の一つになっています。母はそんな自慢の風景をコラボ作品で創作しました。


③宅配のいのち眩しき秋野菜

母は高知から宅配で届く野菜を楽しみにしています。
その瑞々しさには驚きます。
太陽の光をいっぱいに浴びて減農薬や無農薬、有機肥料で育てられた野菜の力強さに、エネルギーを感じて創作したたコラボ作品です。
母のイラストの野菜には、間違いなく生命力を感じます。


④曼珠沙華命の限り燃えんとす

曼珠沙華が群生している風景を見るとそのエネルギーに圧倒される時があります。母はそんな光景をテレビの映像で見てこの句を詠みました。
曼珠沙華の赤は力強く、命のほとばしりを感じるそうです。
赤々とその命の限り咲いている姿に潔ぎ良さを感じている母の心の内が見える気がします。


⑤石鎚が笑まうがごとし照紅葉

母が山の色合いや雲の位置などを変えて何枚も描いていたイラストです。
西日本最高峰の石鎚山が紅葉したニュースを見てこのイラストを描いていました。光を浴びて輝く紅葉が、まるで木々が微笑んでいるかのように見えたそうです。自然を人にたとえた微笑ましい作品が出来ました。


【冬】


①冬晴れや一塔美しくかがよいぬ

冬の晴れた日に訪れた寺院の塔が、光を浴びてひときわ美しく輝いていた状況を詠んだ句です。母はこの構図がとっても気に入っているようです。素敵なコラボ作品が出来ました。


②平穏な日々を欲する聖夜かな

クリスマスイブ。母の望みは多くの人が平穏な日々を過ごせることです。自分の幸せと共に世界中の人たちが穏やかな日常を過ごせるようにとの思いを込めてこの句を詠みました。

③草引いてほっと一息冬日射す

母は気になっていた庭の雑草を一生懸命に引いていました。老体に鞭打ちながら懸命だったと思います。やっと引き終えてほっとした時に、冬の日差しを感じてこの句を詠みました。


④明日の糧黄金に燃ゆる冬夕焼

冬のある日、母は夕焼の美しさに見とれたようです。冬の夕焼は赤や茜色が印象的な夏の夕焼けと違って、黄金色に輝いているように見えます。空気中に含まれている水蒸気の量が影響しているそうです。乾燥していて水蒸気が少ない冬は黄色やオレンジ色の光が届くとか。
母はそんな冬夕焼に明日への活力を得た気持ちなってこの句に詠みました。


⑤水の面鏡のごとき冬紅葉

母は残り少ない紅葉の美しさを素敵に描きたいと、水面に映った様子を描きました。静かな湖の水面がまるで鏡のように冬紅葉を映している風景は幻想的です。季語の冬紅葉は周辺の紅葉が終わって、最後にその美しさを見せている紅葉の事です。
こんな光景を目にすると穏やかな心になりますね。

母のイラストと俳句のコラボ作品を20作品ご紹介しました。
イラストが添えられていることで、想像力が広がって、句の魅力が伝わりやすいのではないかと思います。
母は命がある限りこれからも「イラストと俳句のコラボ作品」の創作を続けていきたいそうです。私も出来る限りサポートしていきます。


※ご紹介したのは母の作品のほんの一部です。
その他の作品は「94歳ばあばのイラスト&俳句コラボ作品」にマガジンとしてまとめてありますのでご覧になってください。



最後までお読みいただきありがとうございました。
たくさんの記事の中から、この記事にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。記事がいいなと思ってスキを押していただけると励みになります♡

また明日お会いしましょう。💗









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