顔は毎日違っている。
鏡に映る自分の顔を見て、私は毎日のようにため息をついています。「あー、今日は目の下にクマが、お疲れモードの顔だなー」なんて思いながら、日々嘆いています。
本当に顔は正直です。今の自分を映しています。
今日は顔のお話です。
91歳の母は毎朝、拡大鏡とにらめっこをしています。自身のイラストの技術をアップさせるために自分の顔をしっかり眺めて、日々自画像を描いているのです。
「私は筆ならしで毎日描きよるんよ、顔は毎日違うんよねー」
よく飽きないことだなと思うのですが、母は毎日必ず一枚は自分の顔を描いています。顔のモデルとして一番身近なのが自分の顔だから描いているんだそうです。
「あんた、これは面白いと言うか、本当に毎日毎日違うんじゃけん描きがいもあるんよねー」と言いながら描き上がった作品をどんどん溜めています。公に見せるわけではないのです。
母が描いている自分の顔、数日間の作品をご紹介します。
何だかウキウキしています。楽しい事でもあったのでしょうか。
うつろな表情、心配事でもあるのでしょうか。
前の日とはまた違った顔をしています。楽しい事が待っていそうな。
何だか意志がはっきりした感じです。少し現実に近い自画像です。
おすましの自分自身を描いています。イラストの人物の目にその日の気持ちが入っています。
この日は着物姿にしていました。
母の自画像は毎日こんな風に変わっています。心の微妙な変化を目や仕草に表しているようです。きっと自分の気持ちが反映しているんだと思います。
親子の方言トークで母に聞いてみました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《イラスト描く時のサンプルになるんよ》
「お母さん本当に毎日飽きずに描きよるねー」
「ゆうべはあまり寝られんかったけど元気かなとか思てね、目の輝きとか目の下のクマとかも見よるんよ」
「毎回、タッチが違うような気がするんじゃけど」
「その日の気分でバリエーションが出てくるんよね、今日はこのタッチで行こうとかね・・・」
「何か学びになりよるんじゃろね」
「今は下描きなしで描けるし、他のイラストの表情を描くためのサンプルになるんよ、今日はこの顔にしようとかね」
毎日違う自分の顔を描き続けることは、描く時のサンプルになる。ものすごくいい話が聞けました。そして、母は今日もまた自画像を描くために、拡大鏡を覗き込んでいます。今日の目は輝いていました。
【ばあばの俳句】
映し見る己がかんばせ冬の朝
かんばせとは顔の事です。母の毎朝の儀式、自分の顔を鏡に映して、自らの健康状態を見ている様子です。嫌な事、嬉しい事様々な事柄で自分の表情がどんな風に変化しているのか、母はしっかりチェックしているのです。
イラストの後姿に何だか哀愁を感じてしまいます。後姿にもその人の今が見えますね。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
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私のアルバムの中の写真から
また明日お会いしましょう。💗
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