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愛ちゃんは絆創膏だった

◇◇ショートショートストーリー


愛ちゃんのお父さんとお母さんは最近同じテーブルで食事をする事がありません。愛ちゃんはお母さんと二人で食べ、お父さんはいつも帰りが遅くて、一人で食べています。

お父さんは休みの日も出掛けます。

「あなた、今週もゴルフなの」
「しょうがないだろう、ある意味仕事なんだから」

「いつも仕事、仕事って、家族の事はどうでもいいんでしょう」

愛ちゃんは二人の言い争いが始まると、自分の部屋に閉じこもります。

「また、始まった、お母さんの機嫌が悪くなる」

お父さんは、どうしてお休みでも出掛けるんだろう、愛だって遊んで欲しいのに。

でも愛ちゃんはお父さんが出掛ける時には、いつも玄関まで出ていって「パパ、行ってらっしゃい、頑張ってね」と言って送り出しています。

誰に言われた分けでもなく、そうしないとお母さんとお父さんの険悪なムードがいつまでも続きそうだからです。

愛ちゃんは自分が、二人の絆創膏にならないといけないと思っていました。

お父さんとお母さんに仲良くして欲しいのに、どんどん悪くなっていくので、仕方なく絆創膏になっているのです。


時々愛ちゃんは泣きたくなる日がありました。

そんな時は、遊びに来るママのお姉さんに相談していました。
「おばちゃん、愛はもう我慢できない、家に居たくないよ」
愛ちゃんの切実な訴えを聞いて、おばちゃんはタイミングをみて、愛ちゃんの両親に話さなければと思っていました。


ある日、愛ちゃんが、おばさんの家を突然訪ねてきました。

「おばちゃん、愛はもう絆創膏にはならないよ、お父さんもお母さんも大嫌い、毎日毎日喧嘩ばっかり」

そう言っておいおい泣いています。

おばちゃんは、これは二人に伝えるしかないと思い自宅に電話して、迎えに来てもらうことにしました。

「あんたたち、愛ちゃんが、自分の事を絆創膏って言ってるの知ってる、二人をつないで、傷を癒す絆創膏だって言ってるの、知ってた、絆創膏だよ、あんたち、いい加減にしなさいよ」

お父さんとお母さんは見つめあって、大きくため息をつきました。

お母さんは涙を流し、お父さんは愛ちゃんを抱きしめます。

二人は愛ちゃんに大変な思いをさせていた事を申し訳なく思いました。


その日を境に、愛ちゃん一家は、3人で朝食をとるようになりました。

お母さんもお父さんも、これからは自分達が愛ちゃんの絆創膏になることを決めたのです。


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《人生は山あり谷ありよ》


イラストをたくさん描いて少々お疲れ気味のばあばとの会話です。

「親の板挟みで子どもも大変よ、そんなことは今の世の中には多いわい、結婚生活は難しいよ、一生変わらん人はそうおらんのじゃけん、助け合わんとね」

「愛ちゃんも頑張ったんよ」

「おばさんがおって良かったわい、相談する人がおらんとねー」

「家族は山あり谷あり、人間は長い人生を共にしてみんとわからんわい」

ショートショートストーリーで思いっきり深い話になりました。



【ばあばの俳句】


髪切って気分清しや夏の朝


母はしばらく我慢していたカットに行って気分転換して、心地よく制作活動をしています。そんな自分の気持ちを詠みました。髪を切る事でかなりリフレッシュできますね。



美容院の先生は3ヵ月持つようにと、かなり短めにカットしてくださいました。これでステイホームが続いても安心です。


▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」と20時前後には「フリートークでこんばんは」も音声配信しています。お聞きいただければとても嬉しいです。

たくさんの記事の中から、「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただきありがとうございます。
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私のアルバムの中の写真から

また明日お会いしましょう。💗

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