病院でもこれくらいやってよ!リハ職のマネジメントとアプローチ
生活期のリハビリテーション、特に介護保険の領域である訪問リハ事業所と通所リハ事業所の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士なら「リハビリテーションマネジメント加算」という言葉を聞いたことがあるはずだ。
地域でリハ職が実践すべきマネジメントについての加算だ。
まあ面倒だと感じているセラピストも多いだろうけど、リハ職が実践すべきことに厚労省はかなり踏み込んできているなって感じています。
だから何となく、生活期のセラピストはマンツーマンのリハビリテーションだけの関わりではなくて、マネジメントというものを実践していかなければならないということを漠然と感じているはずだ。
じゃあそれに対して、病院で働いているセラピストはリハビリテーション専門職が実践すべきマネジメントについてどのように考えているのだろう?
そもそも病院リハビリテーションにおいてリハ職のマネジメントは実践されているのかな?
生活期の領域で働く作業療法士の立場から、
せめてこれくらいのマネジメントは病院リハでやってほしい
ってことを書いてみる。
リハ専門職が実践すべきマネジメントって言うのは、生活期で突然始まるのではなくて、入院時から退院後の生活につなげるためにも病院セラピストも実践すべきものだからだ。
マンツーマンのリハビリだけをやっていればいいって思っているセラピストはかなり時代遅れだってことだ。
病院セラピストがすべきマネジメント
入院中に、ほぼ元通りになって入院前と同じ生活が送れるようになって退院するなら、マネジメントは必要ないかもしれない。だけど多くの患者さんは退院後に何らかの後遺症を抱えて退院することが多い。
特に介護保険のサービスの対象になる高齢者の多くは、どんな疾患であれ元通りになることは少ない。だから入院中のリハビリテーションの現場で、退院後の生活のことを考慮したマネジメントを実践する必要がある。
ケアマネ、相談支援専門員との連携
在宅復帰に向けた情報収集
活動と参加に向けた目標設定
多様なリハビリテーションの実施
具体的には上記4つくらいの実践が必要だと思う。
ここで言うマネジメント業務というものは、40分とか60分のマンツーマンの関わりで実施できるものもあれば、マンツーマンの時間以外に実践しなければならないものも含まれる。
40分とか60分のマンツーマンの関わりを協議の意味のリハビリテーションとすれば、マネジメントはもっと広義の意味のリハビリテーションだ。
ケアマネ、相談支援専門員との連携
ケアマネは介護保険でサービスの調整をすある役割。相談支援専門員は障害者総合支援法のサービスにおけるケアマネみたいなものだ。
2018年の診療報酬・介護報酬・障害者等のサービスの同時改定においては入退院時の連携に関する加算が大きく変わった。
これまでは退院時にケアマネや相談支援専門員との連携が言われていたが、入院時にもきちんと連携をすべきだという方向性に舵が切られた。
例えば骨折で入院になった患者さんのリハビリテーションにおいては
いつ、どこで、どんな状況で骨折したのか
という評価が重要だ。その評価が欠けていると、退院後に同じ環境で再転倒・再骨折の可能性があるからだ。
もし、入院前に何らかのサービスを利用している患者さんであれば、ケアマネや相談支援専門員が転倒時の状況といった情報を把握しているかもしれない。
家族だけではなく、ケアマネなどからの情報も退院後の生活を見通すためには必要になってくる。
活動と参加に向けた目標設定
「活動と参加に向けた目標設定」っていうとなんのこっちゃわからないセラピストもいるだろうか?
患者さんは退院後にどんな生活をするのでしょうか?
自宅に戻る患者さん
家族の家に戻る患者さん
施設に転所する患者さん
いずれの場合も、病院の生活の環境とは異なるわけだ。どの環境に戻るにしても、病院で提供しているリハビリテーションとは異なる環境に戻る。
加えて、生活スタイルや元々の役割なども異なる。そして、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハ専門職が関わる時間が圧倒的に少なくなる。
そういった状況に患者さんが戻ることをしっかりと考慮した、退院目標を設定していますか?
それとも病院内で通用する目標を設定していますか?
病院で通用する目標ではなく、退院後の生活を見据えたその患者さんのに応じた、個別性のある目標設定をすることが、活動と参加のアプローチにつながるってことだ。
更衣動作の自立ではなくて
ポロシャツなのかワイシャツなのか?
スカートはきたいのかパンツルックなのか?
そんなことも考える方がいいかもしれない。
そのために、入院時からの退院に向けた情報収集が必要になる。
どんな家に帰るのか?
これまではどんな役割を担っていたのか?
家事の分担はあったのか?
そんなことの評価も必要になってくる。
多様なリハビリテーションの実践
従来の病院リハビリテーションの実践だけでは、退院後の生活を見越したアプローチは不十分だ。今の病院で実践しているのはぶつ切りのADL練習になりがちで、「動作」であって「意味のある行為」ではないからだ。
けっして特殊なリハビリテーションが必要なのではなくて、何を目標にしているのかってことが大事なんだ。
そういったことを踏まえたうえで、「触らないリハビリテーション」が必要になってくる。
そのうえで、退院後の生活では多事業所連携と多職種連携が必要になってくる。入院リハビリテーションにおいてもそれはまったく同じで、退院後の生活のことを考えると病棟での過ごし方はものすごく重要だ。
病棟の看護師や介護職とリハ職の連携がなければ回復期リハ病棟っていスタイルは意味がない。
まあこれだけのことどこまで実践できるのかってことは、病院のチーム力というのかな、管理職の役割がかなり大きいと思います。
それでも前に進まなければ2025年を超えることは難しいのではないかと考えています。
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