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リハビリテーションの目標設定と「ICF」と「元に戻りたい患者さんの思い」のこと

2022年3月24日追記
ICFとSPDCAなどに関する講義の資料をこのコラムの一番下に追加しました。

=====ここからコラム本文=====
3月15日の投稿は同じものをFacebookページにも投稿したのですが、コメントいただいたので少し思うことを書いてみます。

3月15日のnoteはこちら


Facebookページはこちら

ICFのこと 共通言語だといいつつ、職種やセラピストによってもICFそのものの理解がバラバラなような気がしています。看護師さんを含む団体で以下のような考えが作業療法士としての私の視点ですという考え方を示したのですが、フォロワーの皆さんはい...

Posted by やまだリハビリテーション研究所 on Monday, March 14, 2022

いただいたコメントの中で、
「元に戻るまで入院したい」とか「目標を伝えても理解してもらえない」とのご意見がありました。

当事者さんの理解について

私は作業療法士ですが、リハビリテーションを提供するにあたり、目標などを患者さんに伝えたり、書面でお示しすることがある。書類には同意いただけるが、すべての当事者さんがしっかり納得されているのかというとそうではないと思います。形式的にサインをしてくれているんだなと思っている。

Facebookページでいただいたコメントにあるように「元に戻りたい」とおっっしゃる方がほとんどです。

その思いを踏みにじってまで目標設定しているわけではありません。

当事者さんたちの「元に戻りたい」「元気になりたい」という思いは尊重しますし、否定しません。

しかしながら、疾患の種類や状態、発症からの時期などによっては当事者さんの思い描く「元の状態」には戻れないことはあるのです。

作業療法士として、医療的な知識を学んできたものとして「元に戻れますよ」と話すのは嘘をつくことだし詐欺ですよね。

当事者さんだけではなく日本国民のみんながICFを知っているわけではないのです。
リハビリテーションはICFの概念に基づいて進める。「強み」や「今発揮できる能力」を伸ばすというのはリハを提供する側の考え方であって、当事者さん側の考え方ではないのです。

理解してもらえるとリハビリテーションは進めやすいのかもしれないけれど、理解してもらえないことの方が多いのです。

ICFのことやそれに戻づいて設定している目標設定について、理解してもらえないからといって、「元に戻る」ことを目標に掲げるセラピストなんていないでしょう。

合意や相互理解のために働きかけることは必要だと思いますが、リハを提供する側として、100%理解してもらえるとは思っていないし、「元に戻りたい」という当事者さんの思いを否定しないというのが私のスタンスです。

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ICFのこと

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や看護師、ケアマネジャーや介護職員さんなんかも含めて、ICFのことをきちんと理解して業務を進めることは必要なんだと思う。

冒頭にリンク張っているnoteにも書いたけど、

1、
「出来ること」「出来ないこと」を評価して、「出来ないこと」を出来るようにすることだけがリハビリテーションや看護ではない
2、
本人の能力(心身機能)だけを評価・考慮して看護やリハに取り組むのではない
3、
個人因子や環境因子などを踏まえると、心身機能的に「出来ないまま」であっても周囲の支援などを含めて考慮すると「出来ること」はあるから、生活をマネジメントする視点のリハや看護も必要
4、
「歩けるようになるまで外に出ない」と担当ケースが話していても、歩けるようになることがどう頑張ってもできないのにそこに執着して取り組むことだけがリハではなく、多様な要因に働きかけることも必要

https://note.com/yamada_ot/n/n026a03f84226

だけどほとんどの医療・介護スタッフってこの図のことしか頭にないんじゃないのかな?

ICFの概念図

これを具体的にどのようにリハビリテーションに活かすのかってことをしっかりと考えているリハスタッフは少数派だと思う。そもそもリハ実施計画書がICFの考え方に基づいていることすら知らずに作成しているんじゃあないのかな。

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