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コラム13 通所介護や通所リハを併用している訪問リハの利用者さん

2021年4月24日追記

このコラムの動画バージョン「その1」「その2」を追加しました。

上記の動画がきちんと表示されない場合は以下のリンクをクリックしてみてください。

https://youtu.be/gerVqev7IGM

動画バージョン「その2」はこのコラムの一番下に表示されます

======コラム本文はここから======

このコラムは以下の2つのコラムと合わせてお読みいただくと理解が深まります。

訪問看護からの「訪看リハ」や病院や診療所の「訪問リハ」の対象者さんについて明確になったのが、2021年介護報酬改定。

これまでは病院や診療所の「訪問リハ」に対して適用されていたことが「訪看リハ」にも適用されることになった。それが以下の図ですね。

訪問リハの範囲

「通所系サービスなどを利用することで目的を達成することが出来るならば、訪問リハや訪看リハではなくて、通所系サービスを利用してくださいね!」

ってことですよね。

「自分で通院できている」「通所サービスを利用している」という状況な利用者さんに対して、訪問によるリハビリテーションを継続することが出来るのかということについて私なりの考えをこのコラムに書いてみます。私は2021年4月現在、非常勤掛け持ちで通所リハ、通所介護、訪問リハ、訪問看護に関わっている52歳の作業療法士です。

このことを考える大前提は、

「事業所として判断と対応」

ということです。そのことについては以下のオンライン講義で話していますので参考にしてください


色々なパターンが想定されます

通所行ってるなら、訪問は不要

通所行ってるけど訪問は必要

通所併用しているなら訪問を短期で終了する

現時点で併用している利用者さんへの対応

新規の利用者さんへの対応

訪問リハの適用範囲の明確化

私が個人的に色々考えているのはこの二つのスライドの文言です。

1つは先ほども提示した、訪問のリハの対象者さんについての文言。

訪問リハの範囲

もう一つはこのスライドの文言。これはリハビリテーションマネジメントに関する厚労省の以下の文書からの引用です。

リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
(厚労省のサイトのPDFが開きます)

オンライン講義6 訪問によるリハビリテーションの適正利用

2021年の介護報酬の改定で、通所リハや訪問リハで従来の「リハマネ加算1」は基本報酬に包括されました。だから通所や訪問リハを利用する利用者さんすべてにこの文言は大きな実意を持つと私は考えています。

上記の文書から読み取れることは

訪問リハにおいては

目標を適切に設定すること

必要な期間を定めること

が必要であり、目標が不明確な訪問については必要性を見直すことが必要となっています。

上記の文言は通所リハ・訪問リハに関するものですが、訪看リハにおいても、リハの指示書や報告書にいろいろ改定がありました。

訪問看護指示書に関するものがこれ。介護報酬の訪看リハにおいては、回数や時間を記載する項目が追加されました。

訪問看護指示書 新しいタイプ

上司は以下のリンクより引用です。

訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件(告示) (PDFが開きます)

さらに訪看リハの報告書については、これまでのような看護師と共同での作成ではなく、別途リハのみの報告書が必要となりました。

別紙リハ報告書

上記については以下からの引用です

訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて
(PDFが開きます)

様式は以下のリンクからの引用です。

別紙様式1(訪問看護計画書)、別紙様式2(訪問看護報告書)、別紙様式2-(1)(理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の詳細)(Excelが開きます)

これらのスライドからいろいろ考えなければならないことがあるんですよね。

訪看リハの報告書が別紙となりきちんと報告することが必要になりました。

これは通所リハ訪問リハのリハマネに関するスライドの文言と同じで、訪看リハにおいても、「漫然とした訪問」を見直すことが促されているのだと捉えています。

訪問のリハビリテーションは目的を明確にして期間を限定して利用するサービスとなっていくのでしょう。

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現在通所サービスと併用している利用者さん

現時点で通所系サービスを利用しつつ、訪問のリハを利用されている軽度な利用者さんへの対応についての私の考えは、

2021年介護報酬改定の流れから考えると、現在通所利用している利用者さんについては、「訪問のリハ」で対応すべき目標を明確にしたうえで、そのことをケアプランに記載することが必要ですよね。

さらに、その目標を達成すれば早期に訪問によるリハを修了し、通所メインで対応していくことが必要だと考えています。

そうしてその「訪問によるリハ」で達成すべき目標についても、現実的な目標を設定すべきです。達成できそうもない目標を設定して、ダラダラと長期にわたる訪問を行うことは公的保険で提供されるサービスとしては適切でないと考えます。

通所系サービスとの並行利用が必要なケース

通所系サービスを使っているからといって、すべての利用者さんが通所のみで対応できるとは考えていません。

ADLが重度な利用者さんであっても、送り出しにヘルパーさんなどのサービスを活用して通所に通っている利用者さんもいます。自宅での入浴が困難であったり、離床を促す意味で通所系サービスを活用している利用者さんもいます。

そんなケースで考えると、通所リハを利用する目的と訪問のリハで対応する課題や目的は異なるわけです。

現時点では通所の入浴サービスを利用していても、将来的には自宅での入浴を考えている場合、自宅に訪問リハで関与しつつ対応することも考えられます。

だけど、そのような場合の訪問のリハの活用に対しても延々と訪問リハで対応するのではなく、訪問によるリハの対応の期間を設定したり、通所系サービスのスタッフと連携するなどして、自宅での入浴という目標設定が妥当であるのかということの吟味を定期的に行うことが求められることになるでしょう。

そうでないと結局目標が曖昧なままの長期利用につながることになります。

「リハすることが目的の軽度な利用者さん」&「通所系サービスが嫌だから訪問リハの利用者さん」

ケアマネジャーさんによっては、

「達成すべき目的はないけど、本人や家族が「リハを継続したい」と希望している」

「集団が嫌だから訪問のリハで対応してほしい」

という軽度な利用者さんに対して訪問のリハで関わることがこれまでもありました。

このようなケースへの対応をどのように考えていけば良いのでしょうか?

個人的にはこのようなケースに対しての訪問は1カ月とか3カ月といった短期間で終了する方向が良いと考えています。

「リハビリテーションを実施するには達成すべき目標を明確に設定する」ことが必要だということをケアマネさんは利用者さんにも理解してもらうことが必要です。

集団が嫌いだから訪問で対応というのもなんとなく理解できますが、訪問のリハはそのような目的で利用するものではないと思うのです。

個人の嗜好もあるとは思うのですが、2021年の介護報酬改定の流れから考えると、集団や通所が嫌だから訪問というのは、不明瞭な目的でしかないと思うのです。

訪問のリハに対しての制限をどのように考えていくのか

オンライン講義6でも話していますが、

2024年の同時改定以降、訪問によるリハについては大きな制限がかかるのではないかと考えています。

今回の訪問看護指示書や報告書の改定やリハマネ加算においての医師の指示の明確化、リハの指示をする医師の要件などから考えると

訪問によるリハビリテーション(訪問リハ、訪看リハ)はリハのことをある程度学んだ医師の指示による期間限定のサービス

になっていくのだろうと予測しています。

ここで言うリハのことをある程度学んだ医師というのは

リハスタッフを雇用している病院や診療所・老健の医師

リハスタッフを雇用していないが「日医かかりつけ医機能研修制度」などの研修を受講してリハについて学んだ医師

これらの医師に限定されていくのだと思います。日医の研修制度は以下のリンクを参考にしてください。

日医かかりつけ医機能研修制度

医師と看護師は普段から連携することが前提の関係にあります。訪問看護ステーションには医師が在籍せず、どこのかかりつけ医からの指示でも受けることが出来るのは、看護師さんの役割の広さや能力だけではなく、医師が看護師の役割をきちんと理解して指示を出すからだと思うのです。

一方、PT/OT/STとともに仕事をしたことのない医師は世の中にたくさんいます。だから目的を明確にした指示が出せないという方向に厚労省的には考えているのだと今の現状を捉えています。

訪問のリハビリテーションってそんなに地域にたくさんあるわけでもないので、地域にある少ないリハ資源を効果的に活用するなら期間限定のサービスとしてより多くの利用者さんに利用してもらえるような体制になっていくのでしょうね。

事業所としての方針の明確化と通所との連携

訪問のリハを提供する事業所もこれからの訪問のリハビリテーションについての方針を明確にする必要があります。

主治医との連携

ケアマネジャーとの連携

主治医ケアマネさん達と適切に連携しながら、そのつど訪問のリハの目的や期間を明確にして対応していくことが基本になるでしょう。

2024年までの3年間に近隣のケアマネさんや主治医と連携を行いながら、事業所の訪問のリハに対する方針や事業所のstyleというものを理解してもらうことが必要だと思います。

そのうえで、新規利用者さんと修了する利用者さんがきちんと回転していくことが必要になります。

修了することを考えながら、通所系サービス事業所との連携がこれから必要になってきます。

訪問リハも訪看リハもリハの修了後にフォローしてくれる通所系サービスを提供している事業所との連携が重要になる。

通所に引き継いて状況が悪化すれば再度訪問を開始することも可能になっていきますよね。

近隣の通所系事業所と連携を深めることで新規量を開拓することが出来るようになると考えています。

通所系サービスを利用しているから訪問の利用ができない改定になりましたが、通所系対応が困難でいよいよ訪問でしか対応できなくなってきた場合には堂々と訪問のリハで対応できるのです。

そういった意味では地域にある通所系事業所との連携は重要になってくると考えています。

こんなお話をリアルに聞いてみたい方はこちらからどうぞ

講演依頼のこと

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動画バージョン「その2」

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