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はかりと科学の交差点…1キログラムの正しい測り方を考えてみる

毎日

私も職場健診やら、通院やらがあると、毎度のことですがメタボを指摘されております。日頃、重さ(というよりは体重)を気にかけております。

そんな私の重さを解消してくれる福音書となるのか? 積読ゾーンに鎮座しておりました「新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる (ブルーバックス)」の読み進めた、というのが今回の記事になります。

昔から「はかる」ことは重要だった?

今回の記事は度量衡に関するものです。正しく"はかる"こと=度量衡は国家が存続する上でも重要です。歴史を紐解けば、年貢を課税する時に面積割や体積割にする基準、金貨や銀貨を取引する際に重さの基準が、いい加減では困ります。このため、日本では唐の律令制度を手本に701年に制定 した大宝律令で度量衡制度を定めました。

その後、太閤検地やら、伊能忠敬による大日本沿海輿地全図やら何やらがあり、明治政府による度量衡取締条例 → 度量衡法の制定によるメートル法の導入を経て、昭和26年の旧計量法、そして平成4年に制定された現在の計量法へとつながります。

白金とイリジウムでできた原器

1795年 フランスで1キログラムは水1リットルの質量として定義されました。しかし、科学の進歩により水の体積は温度や気圧によって変わるとことがわかり、1キログラムと同じ質量の分銅が作られることになりました。当初は白金製、その後直径・高さともに約39mmの円柱形の、白金90%、イリジウム10%からなる合金製の金属塊が国際キログラム原器として、1889年から129年にも渡り、使用されていました。

キログラム原器については、夏目一眞様の貴重な記事をご覧ください↓

やっぱりマズくね?

国際キログラム原器はフランスで大事に扱われておりましたが、やっぱり人工物なので、それなりに劣化がありました。誤差でいうと50マイクログラム程度でしたが、

・そもそも原器が指紋1個で重さが変わるくらいの精度しかない
・原器ということは焼損や紛失するかも
・メートルみたいに普遍的な物理定数を基準にするのが良くね?

などの理由から、プランク定数hによって定義さられることになりました。

結局、

その大きさは、単位 J·s (ジュール・秒)による表現で、プランク定数hの数値を 6.62607015×10^-34 と定めることによって設定される。ここで、メートルと秒は 
c(299,792,458メートル毎秒)と
ΔνCs(9,192,631,770ヘルツ)
を用いて定義されたものである。

というように、基本単位を基礎物理定数を定義することができました。

なお、その関係図はWikipedia様のものを御参照ください↓

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実際、何が変わったの?

本書にもありますが、私たちが日常生活を行う上で単位が変わるといったことはないです。

ただし、これまでのキログラム原器による方法ではなく、基礎物理定数として重さを定義したことにより、キログラム原器が亡くなっても同じ重さを再現することは可能です。

また、基礎物理定数から導出していますので、例えば宇宙スケールでの誤差と素粒子レベルの誤差を同じ"もの差し"で議論することができます。また、測定技術の進歩が加わることで、今すぐの発見ではないかもしれませんが、重さを定義しなおしたことで、新しいサイエンスが生まれるかもしれません。

やっぱり、最後は…

ブルーバックスですから科学の歩みについて、私に知識を与えてくれましたが、私の重さの定義に変更がないということもわかりました。

1キログラムの定義云々の前に、まもなく手に届くであろう職場健診の結果に対する言い訳でも考えていた方が得策だなと思った次第です。




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