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僕がエンターテックユニバーシティをつくった理由

 エンタメ業界直結でデジタル人材を育成して、実際に活躍する機会を作る新しいスクール「エンターテック・ユニバーシティ」は、音楽ビジネス専攻一年制から開始します。学校説明会が始まりましたので、興味のある方はご参加ください!


やっと始まった日本の音楽業界のデジタルシフト

 「CD×マスメディア」を軸としたビジネスモデルが洗練されていて、都合が良かったこともあって、デジタル化に後ろ向きになり、成長が止まってしまった日本の音楽業界も、コロナ禍の危機を超えて、やっと、「デジタルファースト」の考え方が当然になってきました。
 ユーザーとのコミュニケーションもXやInstagramなどのSNSが基本になり、音楽体験もデジタルサービス上になり、拡散はTiktokに代表される映像UGMサービスが肝になり、ユーザー行動はデータとして掌握が可能になり、と音楽ビジネスの主戦場が変化しました。デジタルとグローバルはコインの裏表のようなもので、グローバル化も同時に進行しています。YouTubeにMvをあげた瞬間から世界中の音楽ファンと繋がる可能性があり、グローバルヒットのチャンスがある時代になりました。
 既存のメディアの影響力は相対的に大きく下がり、日本のレコード会社の経営陣もやっと、海外と同様にデジタルサービスを軸にした考え方をするべきだと認識するようになりました。

音楽業界のUPDATEのために次世代人材の切実さ

 そこで困っているのが人材です。日本の音楽家はグローバル市場で稼ぐポテンシャルはあります。近年では、YOASOBIや新しい学校のリーダーズ、BABY METAL等々、海外で数多くのファンを獲得するアーティストも増えてきました。
 1970年頃以降にリリースされた過去作品にも可能性があることは、「シティポップブーム」などで証明されています。ただこれまでは、外国人の目利き(耳利き)が見つけてくれて広まるというパターンで、江戸時代の浮世絵から進歩がありません。音楽業界側が主体的に関わってビジネスするチャンスを活かしきれない歯がゆい状況です。
 音楽業界出身で、業界団体の理事や、経産省の委員等行政との関わりもあり、レコード会社等の大手音楽企業の経営者の方々とお話しする機会は多いのですが、みなさん「若手デジタル人材が必要」と切望されています。
 これまで、山口ゼミ、ニューミドルマン養成講座、音楽マーケティングブートキャンプなど、個人的に育成プログラムは行ってきていることは業界的に知られているので、「いい人いたら紹介して」と皆さんから言われています。
 自信を持って、適切な人材と企業のマッチングを行うためには、本格的な育成プログラムが必要だと痛感したことが、エンターテック・ユニバーシティの設立の動機です。
 プレイベント第一弾のポニーキャニオン吉村社長との対談動画で、音楽業界の変化と人材の切望感がわかってもらえると思います。ETUの公式サイトで資料請求ともに登録すると動画アーカイブが観られますので、是非、チェックしてください!

音大の教育経験を通じて知った既存の教育機関の課題

 本来、人材育成というのは、大学や専門学校が担うべきものだと思っていました。 ただエンタメ業界、特に音楽業界は、中に入ってから先輩の「背中を見て覚えろ」的な価値観であることが一般的です。そのため、既存の音楽大学、専門学校と、本気で組んで人材育成をするような仕組みは持っていませんした。しかし、デジタル化になって、見るべき「背中」がないため、既存の業界内で今後を担う人材を育てることができなくなっています。 従って、業界に入る前に、デジタルで業界を変える力を身に着けておく必要があるのです。 そして、業界に入る前から世界を見渡したキャリア構築の意識を持っておくことが重要になっています。 そのために必要な知識や能力をエンターテックユニバーシティで育成していきたいのです。

 では、既存の音楽大学や専門学校はどうでしょうか?    
 既存の教育機関には構造的な課題があることは、大阪音大に依頼されてミュージックビジネス専攻を企画したことで痛感しました。カリキュラム案を作り、必要な教員をアサインし、客員教授もベストメンバーを揃えました。一期生が46人集まってくれて学生達のモチベーションも高く、よし!しっかり育てよう、仕組み化しようとしたところで、醜悪な学内政治に阻まれました。本来大学の存在価値は、学生の成長が一番であるはずですが、それより自分達の欲を優先させているようです。詳しくはここで触れません。 また、既存の学校法人は、立派な校地・校舎とフルタイムの教員を確保していることが基本ルールです。大学にフルタイムで就業する人は、基本的には音楽ビジネスを離れた、現役プロではない人たちになります。20年前の音楽業界しか知らない人は何を教えればよいかわからないし、デジタルが進化している世界から取り残されていた過去の経験則は、しばしば有害です。などなど既存の大学等では、スピードを挙げて変わってく音楽業界のこれからを担う人が育てられないのではないかというのが僕の行きついた考えです。  学校法人という明治時代から続いている仕組みに限界を感じ、文科省ルールに縛られずに、業界直結で、これからの音楽ビジネスからの逆算で「学校」を創設しようと思った理由です。 大学生のダブルスクールと第二新卒というターゲットを打ち出したのは、本当に音楽を仕事にしたい人を従来の仕組みにとらわれずに支援したいと思ったからです。

音楽を通じた自己実現・キャリア構築をしたい人には最適解です

 音楽業界は若手のデジタル人材を求めています。わかりやすくするために「デジタル人材」という言葉を使っていますが、20代の人にとっては、「普通」です。音楽業界における「デジタル人材」は、スマホで音楽を聴いていて、情報をSNSで集めて、TikTokやYouTubeを日常的に触れているというのが入り口です。その上で、データ分析やデジタルサービス上でのユーザーとの関係性構築にスキルを持っていて欲しいというようなニュアンスです。音楽に愛情があり、音楽を仕事にしたいと思っている人が求められています。
 デジタル化は音楽ビジネスの構造変化を起こさせましたので、著作権のルールや商慣習にも影響を与えています。従来の業界慣習に縛られずに(知識としては一応知っておいて)考えられる人が必要なのです。
 これからもアーティストもセルフプロデュース、セルフマネージメントが前提になります。(アーティストやクリエイターでプロになりたい人向けのコースも来年から始めるように準備していますのでご期待ください!)自立したアーティストと対等なパートナーになっていくのが、これからの音楽ビジネスパーソンです。そのために必要な知識、情報、人脈をエンターテック・ユニバーシティは、完璧に近い形で提供できる場所です。
 僕は、言い出しっぺで学校長という逃げられない立場で関わります。多くの音楽業界が「協力会社」として名を連ねています。音楽業界は、良い意味でも「村」的な社会で、お互いの顔が見えて、コミュニケーションが取れる関係性があります。音楽業界に僕たちETUが接点のない会社はありませんから、全方位でお付き合いすることができるのです。
 僕自身が陣頭指揮で、学生一人一人にしっかりメンタリングをして、自分がやりたいことと得意なことの共通点から、キャリア構築の方向性を考えてもらい、適切な企業とマッチングしてしきます。インターン制度も当たり前のようにやりますが、アリバイ的なインターン経験では意味がないので、本当に良い出逢いになる形をその会社に会う形で模索していくつもりです。

重要なのは、テクノロジーへの好奇心と、起業家精神

 今回は一年制の専攻なので、「業界就職」を打ち出していますが、いわゆる
「就職スクール」ではありません。音楽を通じた自己実現、音楽とその周辺でキャリア構築をしようとする人が自分のビジネスキャリアにビジョンが持てるようにサポートするのがテーマです。ETUの学生は教員も含む形でコミュニティになっていって、日本のエンタメの未来を中心的に担う存在になってもらいたいと思っていますし、そういうチャンスが広がっています。日本政府もコンテンツ産業を国策に位置付けるようになった今、デジタルとグローバルに、コンテンツ=日本の文化産業を掛け合わせる職種には、日本の未来がかかっています。「就職したらOK」ではなく、その後のスキルアップにつながる情報も卒業生に提供して、次の転職や、起業を支援していくそんな「学校」にするつもりです。
 ポイントは、テクノロジーへの好奇心と起業家精神です。ポピュラーミュージック産業はテクノロジーの進化とともに成長してきました。業界構造を変えたSpotifyもAppleもスタートアップです。Shazamという耳にした楽曲が何か教えてくれるスマホアプリは、イギリスのスタートアップが作ったサービスで、高額でAppleに買収され、iPhoneの基本機能になりました。
 日本でも音楽周辺のスタートアップは出てきています。多くの起業家は僕の仲間です。AudioStockはクリエイターエコノミーとして頭角を表しています。NoOrderというTiktokerと音楽家をマッチングするサービスを運営するBABYJAMは、僕が代表を務めるStudioENTREのインキュベーションプログラムから出てきました。そんな中で、日本のインディーズシーンとデジタル化の促進で大きな役割を果たしたMusicTech企業、TuneCoreJapan代表の野田さんには、プレイベント第3弾で登場してもらっています。この対談でもテクノロジーと起業家精神の重要性は、語られているので動画をご覧ください。同じく、ETUの公式サイトからの登録です。

 もちろん、自らの起業も大きな選択肢です、そうでなくても、セルフマネージメントのアーティストは起業家でもありますので、これからのビジネスパートナーは起業家精神を持ち合わせている必要があるのです。
 AIとブロックチェーンというこれからの基幹になる技術、メタバースや空間コンピューティングという次のトレンドも音楽とセットで発展していくことは間違いありませんから、しっかり理解しておきましょう。

 これからの音楽ビジネスの最重要であるテクノロジーへの理解と起業家マインドという二つのポイントもETUで身につけられるようになるはずです。
 大学生のダブルスクールと第二新卒を対象にしていますが、専門学校生も歓迎です。大学が合わずに中退などしてしまった人が、就職を目指すのであれば、通信制大学での大卒資格取得セットも選択肢にメンタリングします。
 サイトで学校案内を見て、説明会に参加してみてください!

 音楽を仕事にしたい人。待ってます。

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山口哲一:エンターテック✕起業
モチベーションあがります(^_-)