見出し画像

日本のデジタル音楽市場の歴史をたどって、これから必要な人材について語り合います。大学生と第二新卒への期待。


第一弾ポニーキャニオン吉村社長との対談

 8月10日に行われたポニーキャニオン吉村社長との対談を御覧頂いた皆さん、ありがとうごございました。改めて、経営者としての識見の高さを感じました。素晴らしいと思います。エンターテック・ユニバーシティの開校を機会に、より連携を深めて、日本の音楽業界を盛り上げて生きていと思います。
 音楽業界への就職転職を考えている人には、是非見てほしいです。事前申込ができなかった場合は、エンターテック・ユニバーシティの公式サイトで、登録すると観ることができますので、資料ダウンロードとセットでお申し込みください!

日本の音楽界のデジタル化を推進してきた生き証人としての野本さん

 さて、ETUの開校プレイベント第二弾は野本晶さんです。一般的な知名度は高くないのかもしれませんが、日本の音楽界のデジタル化に最も貢献したビジネスパーソンとして、業界内に知らない人はいません。僕もいろんなことを教わり、情報共有し、連携してきた「戦友」だと思っている人です。最近も、音楽マーケティングブートキャンプの企画にも協力していただきました。
 ソニーミュージックのA&Rから始まった野本さんのビジネスキャリアはそのまま日本の音楽界のデジタル化への道のりです。海外に6〜7年遅れて、やっと始まった日本の音楽界のデジタル化について、その背景や原因をもっとも理解している人です。
 その経験を踏まえて、日本の音楽界の国際化のために必要な「デジタル人材」の育成についてアドバイスをいただこうと思っています。

日本だけiTune Music Storeが浸透しなかった理由は?

 野本さんはApple JapanのスタッフとしてiTune Music Storeの日本サービス立ち上げに参画しています。日本は、iTunes Musicが音楽配信サービスの定番(デファクトスタンダート)にならなかった唯一の先進国で、理由は大きく二つあったと推察されます。
 一つは、レンタルCD店という海外には無い業態が日本では浸透していたこと。iTunesのようなサービスは、アラカルト型(単曲で入手できる)ダウンロードサービスで、CDに比べて安価なことが魅力の一つでした。数百円でCDレンタルできる日本には、諸外国のような価格の魅力が薄かった訳です。もう一つの理由は、主要レコード会社が権利許諾せずに、楽曲の品揃えが偏っていたことです。特にソニーミュージックは自社での配信サービスにこだわり、プラットフォームも普及せずに終わりました。
 一方、iTunesが伸びなかった「副産物」として、着うたサービスの隆盛があります。ガラケー(フューチャーフォン)向けの配信サービスとして、携帯電話の着信用に音楽配信を行うというサービスは日本にしか無いユニークな市場ですが、最盛期は1000億円規模に成長しました。「レコチョク」というのは、この時にレコード業界が連携して作った「レコード会社直営」という配信サービスのために生まれた会社です。(音楽デジタル市場について考えるときに、無くなってしまった着うたの「成功事例」は、押さえておくべきことだなと思っています。この日にそこまで話す時間はないかもしれませんが)

音楽界の救世主だってSpotifyによるストリーミングサービス

 CDの売り上げ減少を、ダウンロード型の音楽配信では補えない、違法配信サイトも撲滅できないという中で生まれてきたのがSpotifyです。PeertoPeerの技術者だったダニエル・エクが創業し、「違法サイトを無くすのは、より便利な合法サービスを提供することだ」とレコード会社を説得した様子は、
Netflixのドラマ「ザ・プレイリスト」でも描かれています。Spotifyが始めたストリーミングサービスがテコとなって、2014年から世界の音楽市場はV字回復していくのは、下記の図のとおりです。Spotifyは音楽界の救世主となりました。

世界の音源市場推移(IFPIデータ)

 野本さんは、Spotifyの日本法人ができる前に、Spotifyの日本スタッフになり、サービスローンチに腐心されていました。日本法人設立は2013年、サービスローンチは2016年。この差が日本のデジタル市場普及の遅れを象徴しているように僕は感じています。Appleは、Spotifyの成長ぶりをみて、単曲ダウンロード型のiTunesを諦め、ストリーミングサービスApple Musicを始めてSpotifyを追いかけるのですが、日本は世界で珍しい、Apple MusicがSpofityより先にサービスローンチした国になりました。
 この辺の話は、イベントでも触れたいなと思います。

世界のレーベルのエージェント役Merlin日本代表

 Spotifyのローンチを見届けた野本さんの次の職場は、Merlin日本の代表でした。世界に「メジャーレーベル」は3社しかありません。BMGがSONYに、EMIがユニバーサルに吸収合併されて、3台メジャーとなりました。音楽は流行があり、多様なジャンルがありますので、世界中にレーベルはたくさんあります。それらは、インディーズレーベル(ないしは、ドメスティックメジャー)と呼ばれ、個性を競い合いながら、連携し、組合もつくっています。配信が主事業になった時に、配信事業者との条件交渉で不利にならないために、世界インディレーベルが作った団体がMerlinです。
 世界のデジタル音楽シーンを牽引するMerlinの日本代表は重責でしたし、野本さんは最適任でした。 国内市場しか見てこなかった日本のレコード会社にとっても、野本さんの存在はMerlinの価値を知る機会になったようで、加盟する会社が増えていきました。

 そして、7月1日から、日本の老舗レコード会社コロンビアの親会社であるフェイスグループに転職されたのは大きなニュースです。
 ㈱フェイス 執行役員㈱ライツスケール 代表取締役社長コロムビアソングス ㈱取締役の兼任とのことで、この日はこれからの野本さんのお話も伺いたいと思っています。プラットフォーム側から、コンテンツ側に重心を移したところ、どんなビジョンが見えているのか、僕自身気になっています。
 転職日のFacebookと投稿では、
 「デジタルビジネス人である以上に、まずはミュージックマンであれるように尽力できればと思います」
 とのことでした。原点に還る気分なのかなと思いました。

音楽業界に必要なのはデジタル人材という思い

 このようなキャリアをお持ちの野本さんに、これからの日本の音楽界を担う人材を20代から生み出していくために、どうすればよいのか?彼ら彼女らに何を考えてもらいたいのか?そんな話を伺いたいと思っています。
 オプション的には、留学経験の無いはずの野本さんが外資系企業で実績を残せたコミュニケーションの秘訣、英語力向上法なども訊いてみたいと思っています。
 お見逃しなく、ご参加ください!!

 エンターテック・ユニバーシティはミュージックビジネス専攻一年制を皮切りに10月開校です!学校説明会も始めますので、是非、ご参加ください!!

<関連投稿>


モチベーションあがります(^_-)