Spotifyが米国含む50カ国超で月額料金値上げ。日本の料金は安すぎる問題がますます深刻になっています
創業以来初の料金値上げ！
Spotifyが月額料金の値上げを発表しました。サービスローンチ当初からの象徴的な金額である9.99USドルを初めて改訂したエポックメイキングな出来事です。
エンタメコンテンツを扱うサービスは、CDやDVDといったモノ(physical)に作品を複製して販売するというモデルから、クラウド上で管理して、ユーザーにアクセス権を提供するというモデルに変わりました。一時期、ビジネス書等で、サブスクリプションが凄い的な持て囃しがありましたが、月額課金自体は、例えば新聞購読とかで以前から行われたモデルで新規性はありません。クラウド型ビジネスモデルとの相性の良さから、サブスクが再注目されたのでしょう。
そのサブスクモデルで、月額料金の変更が起きています。Netflixは一旦、値上げをした後に、広告付きの安価のプランを追加するという作戦を採りました。
エンタメ消費のカタチとして一般的になったサブスクサービスは、次のフェーズを迎えているのでしょう。
クラウド化という「作品の管理・提供の仕組みの変化」は大きなものでしたね。
日本の月額料金は安すぎる！なのに据え置き！？
さて、今回、多くの国で月額料金が値上げされSpotifyですが、日本での料金は据え置きでした。これは日本の音楽業界にとっては非常に問題です。そもそも、日本の料金は、世界基準で見たときに、３〜４割安い月額なのです。Spotifyがせービスを開始した際に、世界シェア一位のレーベル、ユニバーサルミュージックと定めた基準は、ダウンロード時代の標準サービスだったiTunes Music Storeのeアルバム一枚分を1ヶ月分の料金にするというものでした。
この基準で考えたときの、日本の月額料金は1800円前後になります。実際、Spotifyは当初1800円を目安に検討していたと聞いています。直前まで1480円で準備していました。それが980円になった経緯は、昨年刊行の『最音楽業界の動向とカラクリがよく分かる本』に書きました。興味のある方は、その稿を無料公開していますので、こちらのnoteをお読みください。
日本の音楽市場は世界二位ですが、5割以上をCDが占める世界でも特殊な比率です。デジタル市場だけで比較すると、イギリスやドイツを下回ります。音楽市場の規模は、世界の音楽業界における存在感に直結します。デジタル音楽市場を成長させていくことは、日本の音楽界の活性化のために重要です。
これからのグローバル市場の主戦場は、Spotify，Apple Musicといったサブスクサービスであり、そのための拡散の場は、Tiktok、YoutubeなどのUGMサービスでのユーザー利用です。日本の市場、ユーザーを世界のアーティストが意識してくれることは、日本アーテイストがグローバルに活躍する機会が増えることに直結しています。日本の音楽市場がデジタル分野でも世界二位になれるように押し上げていきたいです。
日本のデジタル市場を伸ばすための最大の課題は月額料金の低さであることは、2年前に鈴木貴歩さんも指摘しています。丁寧な解説なので是非、ご覧ください。
デジタルを盛り上げよう！
デジタル化が遅れた日本の音楽界は、デジタルマーケティングの知見、ノウハウなどでも課題が山積しています。
僕たちStudioENTREでは、「音楽マーケティングブートキャンプ」を通じて、音楽マーケター育成に取り組んきました。その延長線で、今年の5月に音楽に特化したデジタルマーケティング会社LABを設立しています。『音楽デジタルマーケティングの教科書』の共著者の脇田敬が代表です。すでにいくつかの大手レーベルのアーティストのデジタルマーケティングのサポートを始めています。興味のある方はご連絡ください。
デジタル市場の活性化のためには、MusicTechのサービスの充実も欠かせません。ここは起業家に期待したい分野で、StudioENTREでは、彼らをサポートして、いくつかのスタートアップ/新規事業を創出しています。
TikTokerとアーティストをマッチングするサービス
NFT音楽マーケットプレース。ローンチ時には小室哲哉さんやニルギリスも活用してくれました。
DVD/BlueRayの販売不振で、活用が難しくなってきているコンサート動画を縦型ショート動画でトレカとして提供するというサービスです。１パック500円なので、購入してスマホで体験してみてください！
日本の音楽界の活性化のためには、デジタル市場の伸長が最重要です。ユーザーの興味を喚起し、新しい体験を提供しながら、サブスクの月額料金が上がってもユーザー増加率が落ちないように、盛り上げていきましょう！！
モチベーションあがります(^_-)