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成長する世界の音楽市場で日本にチャンス到来!昨年、SPOTIFYで1万ドル以上稼いだアーティストの半数以上が、非英語圏出身!!

 3月になって、様々なデータが発表されています。注目度の高い、IFPI(国際レコード産業連盟)の「グローバルミュージックレポート」によれば、2023年のグローバル原盤市場の売上高は前年比10.2%増加し、286億ドルに達しました。9年連続のプラス成長で、過去最高を更新中です。


成長を続ける音楽市場、トレンドは変わらず、ストリーミングが牽引

 大きなトレンドは変わりません。引き続き、音楽ストリーミングが、世界各地の市場の成長を牽引しています。サブスクリプションと無料広告型サービスを含むストリーミング全体の売上高は、前年比10.4%増の193億ドルに達しました。中でも、サブスクリプション型サービスの売上高は11.2%増加し、2022年に記録した成長率10.1%を上回りました。特に、サブスクリプションは、この1-2年でサービス各社の相次ぐ値上げによる効果が売上増加という結果に現れています。

IFPIの世界の録音原盤市場分野別推移グラフ

欧米の半額以下の日本の月額料金問題  

 そのサービス各社の値上げが日本では何故か行われず、日本の月額料金の安さが際立ってきています。世界標準に比べて安すぎる日本のストリーミングサービスの月額料金が上がり、音楽市場の規模拡大を希望します。先日、自民党の経済改革委員会に呼ばれた時に、公正取引委員会の方がいらしたので、独禁法に抵触せずに、欧米の半額になってしまっている日本の金額を上げる動きを、権利者側がする方法をご指南いただきたいとお願いしてきました。e-album1枚分が月額料金というグローバルな目安で言うと、1800円程度が適切なのですが、せめて1480円には早くして、グローバル市場における日本市場の存在感を上げることは重要だと考えます。
 ユーザーにとっては安いほうが良いと思うかもしれませんが、日本のアーテストが「デジタルとグローバル」になった音楽の主戦場で戦っていくためには、日本でしっかり稼げることと同様に、自国の市場規模は印象も含めて重要です。例えば、外国人アーティストとコラボする時の相手側からの印象を考えてみてください。日本の音楽市場の存在感をあげていくことは、音楽家の活躍の場を広げていくためにもつながっていくのです。
 世界中の音楽がいつでも聴けるストリーミングサービスは、当たり前に使っていますが、以前は考えられなかった画期的なサービスです。牛丼何杯分とか、珈琲何日分とか理由を考えて、日本の音楽ファンにも値上げに理解をいただきたいですね。

Spotifyの2023年レポートから見る音楽シーンの進化

 Spotifyがアーティストを対象に公開しているレポート「Loud and Clear」2023年版は興味深いデータが並んでいます。情報公開を企業ポリシーにしている会社だけに、詳細なデータになっています。

1万,10万,100万$超のアーティスト数が全て3倍に

 総額に続くポイントとして挙げているのがMore Money at Every Levelです。1万ドル(約150万円)以上、10万ドル(約1500万円)以上、100万ドル(約1.5億円)以上の収益をSpotifyから得たアーティスト数がすべてのレベルで約3倍になっているというデータです。
 1万ドルあれば立派な副業だし、ライブなど他の収入と組み合わせれば、音楽専業にできる可能性もある、10万ドルなら立派なプロです。100万ドルを超えるとビックアーティストの入口に立っていると言えるでしょう。Spotifyが音楽家の活動を広げることと、全体の底上げの両方で貢献していると胸を張るのも理解できます。

https://loudandclear.byspotify.com/#takeaway-2

 ポイント4では、インディーアーティストの売上が初めて、Spotifyの総収益の半額を超えたと報告しています。いわゆるDIYのアーティストと独立系レーベルのアーティストを足した比率です。メジャー3社(ユニバーサル、ソニー、ワーナー)が7割前後と強いシェアを持ってきたグローバル市場でのこの数字は、音楽における多様性の確保しているとも言えますね。まだしばらく、インディー比率は上がっていくのではないでしょうか?再生回数をベースに分配するストリーミングサービスでは、売上=ユーザー再生数ですから、ユーザーの嗜好が多様であることを意味しています。

1万ドル以上稼いだアーティストの半数以上が、非英語圏出身!

 日本人が最も注目スべきポイントは、Breaking the Language Barrierしょう。Spotifyで10,000ドル以上を稼いだアーティストの半数以上は、英語が母国語でない国の出身というデータです。
 世界のポピュラーミュージックの中心は、ポップスというものが生まれて以来、米英二カ国でした。英語の楽曲というのが大基本でした。その状況が大きく変わり、まさに多様性のある音楽界が始まりつつあるのです。
 レポートによると、「英語以外の言語では、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語、フランス語、韓国語がトップで、ヒンディー語、インドネシア語、パンジャブ語、タミール語、ギリシャ語は2023年に大きく伸びた。」とあります。ここに日本語がないことを、本気で悔しがりましょう!!!
 アニメ、コミック、ゲームなど日本のサブカルチャーが世界中で人気があるおかげで、日本語に対する親近感は多言語以上にあります。日本の楽曲が好きな外国人に理由を問うと「日本語の響きが好き」が上位に入るという調査もあります。
 YOASOBIや藤井風の例を見てもわかるように、日本語歌唱は世界ヒットにとって壁では無くなっているのかもしれないのです。少なくとも挑戦しない理由はどこにもありません。

 このデータは、世界的にも注目されたようで、MusicBusinessWorldWideでも記事になっています。

 この記事によると、今月のSXSWで、ルミネートの ロブ・ジョナスCEOはが世界中でストリーミングされる英語楽曲のシェアは急速に減少している語ったそうです。このペースが続けば、来年には、世界で最も人気のある楽曲の3分の2を占めていた英語の楽曲は、わずか3年で半分以下に減少することになるとのこと。現状はスペイン語楽曲の台頭が目立つようですが、アメリカ市場での英語が曲のシェア低下と、経済新興国の成長という掛け合わせは、日本人アーティストと楽曲に大きなチャンスを提供するはずです。

グローバル市場で日本人クリエイティブの強みを活かす

 僕自身の動きとしては、この市場の動きに、AI技術を活かした歌声生成ソフトをかけ合わせていくことで、日本人ソングライター・トラックメイカーの活躍の場を世界に広げていくことに注力しようと思っています。海外のクリエイターとコーライトしながら、ボーカルについては、AIテクノロジーも活用していく、新しいJ-popの可能性を感じています。
 浅田祐介といっしょに始めたプロ作曲家によるAI研究会ARS(AI Resonate Society)では、YAMAHAの新技術VXβを使ったイベント「作家ソン」を行います。オンラインで無料観覧できますので、覗きに来てください!

 デジタルとグローバルが主戦場になった音楽界におけるキーワードは、テクノロジー✕クリエイティビティです。日本人が得意とするTech活用と創造性を活かす場を作る活動を僕自身も続けていくつもりです。一緒にやりましょう!楽しそうだしね。
 起業家によるMusicTechスタートアップの台頭も期待していますに、応援します。やっと音楽フィールドでも日本でITスタートアップが生まれてくる土壌ができてきていると感じています。
 音楽トレンドの変化とテクノロジーの関係性については、次回の「音楽未来会議」でも、柴那典さん、脇田敬さんと意見交換したいと思っています。こちらもご参加ください。



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モチベーションあがります(^_-)