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人工知能と作曲の現在地と未来予見図を指し示します。「ボカロPの次は?」

 プロ作曲家育成を掲げた「山口ゼミ」は2013年1月開講なので、今年は10周年に当たります。講座に関連したトークイベントは「10周年」と銘打っているのですが、毎期ゲスト講師をお願いしている浅田祐介さんと「これからの作曲家とAI(人工知能)」をテーマにしたイベントを行います。


SynthesizerVの革命的技術

  「ボーカロイドの超進化系」アプリと言えば知らない方にもわかりやすいでしょうか?人間の声をデータベースとして取り込んで、SynthesizerVを使って、楽曲制作を行うと、上手なボーカリストと区別が付きません。初音ミクなどのボカロPは、セミプロのクリエイターを中心に、新しいサブカルチャーのムーブメントとして始まりましたが、今回はプロ作曲家が飛びついたのが特徴です。

 実はこのソフトの開発者のカンル君は、僕と浅田祐介が主宰した音楽ハッカソンへの参加が初来日でした。10代で日本語が全く話せせませんでしたが、天才プログラマーだということはわかりました。以来、ずっと応援しています。 ハッカソンの取材をキッカケに、DTMステーションの藤本健さんも僕らと同様に「応援団」です。新バージョンについてもわかりやすい解説を書いてくれていました。

 山口ゼミのプレイベントとして、SynthesizerVを題材に、作曲家がテクノロジーとどう付き合うのかをテーマに話し合います。是非、参加してください!!

AI時代の作曲家/音楽家の姿は?

 9/6のイベントでも掘り下げますが、これからの作曲家/音楽家は、テクノロジーとの向き合い方は死活的に重要です。特に、AI(人工知能)をどう取り入れるのか?は最重要テーマと言って良いでしょう。 

 音楽ビジネス研究コミュニティー「ニューミドルマンコミュ」では、8月のMusicTech Raderで、先んじてこのテーマを取り上げました。
 テクノロジーへの好奇心と活用では、先駆的な浅田さんは、実際に使った経験をもとに話してくれるので説得力があります。

作曲作詞・編曲・ミックスそれぞれの過程でのAI活用

 J-popで重要な要素である作詞にもAIの活用は進んでいました。「Shikaki」などの作詞専用アプリだけではなく、一番を自分で書いたら、2番の歌詞をChatGPTに書かせるという浅田流はなるほどーと思いました。
 作曲についても作曲支援とDAWのサポート型に区分して、具体的に活用法を見せてくれました。編曲はまさにDAWと一体化し始めていますね。
 ミックスやマスタリングはプロのエンジニアスキルを再現できるようになってきています。9/6のイベントでも具体事例を見せて/聴かせてもらう予定ですから、お楽しみに。

 AI作曲のホットな使い方としては、自動生成系のサービスになります。こFIMMGRM,SOUNDRAW、Amadeusなどをチェックしていくつもりです。

スキルはAI、クリエイティブは人間という整理は有効なのか?

 従来は、人間にしかできないと思われていた「作品の創造」は、その過程の多くの部分でAIを活用することが有効になっています。
 人間の役割は2つに集約されます。
・最初のコンセプトを出す
・AIが出てきた選択肢から確定の意思決定をする

 
 もう一つ人間の役割を加えるとすると、その作品に関する
社会的責任を持つ(同時に経済的な権利を持つ)ということですね。

 クリエイティブな作業も要素分解すると、「スキル」で対応する部分が多く、スキルについては、多くの場合、AIが優れているのです。
 但し、ポイントは、ディープラーニングというAI学習のさせ方の進歩によって、これまで「クリエイティブ」だと僕らが思っていた領域が、実は「スキルの集約」だったことをAI の発達によって認識することになっています。
 ハリウッドで60数年ぶりに俳優組合と脚本家組合が同時にストライキをしているというニュースが象徴的です。Netflix/AmazonVideo/ディズニー等の台頭で映画のバリューチェーンが変わって、映画館での公開/専門チャンネルでの放送/地上波放送といった「ウインドー戦略」が変化して、配信会社から一括支払の比率が増え、製作側には有利だけれど、俳優や脚本家に二次使用料が分配されなくなってきたというのも理由のようですが、もう一つ大きいのは、AI活用への脅威です。
 俳優に関しては、端役はAI生成で対応できるという状況への歯止めが必要ですね。その時の作品というだけではなく、俳優育成という観点で重要でしょう。
 象徴的なのは脚本家の役割です。シナリオライターというのは人間西からできないクリエイティブな職業と思っていましたが、プロセスを細かく要素分解してみると、実はAIの方が上手な「スキル」が大半にだったということのようです。世界観を作る、主要人物のキャラクターや物語の骨格を決めるという行為はクリエイティブだけれど、そこからの展開はパターンの順列組み合わせ的な作業なのかもしれないということです。
 ゴンゾ社長でアニメプロデューサーとして数々の作品を創ってきた石川真一郎さんは、AIが発達すると、脚本を書くのは自分のほうが上手かもしれない。ミーティングでのアイデア出しなどはプロデューサーが主導することも多い、と経験談から語っています。
 詳しくは、YouTubeで公開している「石川山口のぶちゃけビジネストーク」をご覧ください。

人工知能の発達は止まらないので、対処と活用を賢くやろう

 エンタメ産業として作品制作の生態系、構造については、いきなり壊れてしまうことが無いように、ルール作りは必要です。現状は、AIに学習させる素材の権利を明確にしようという議論が行われています。国際ルールを作る必要があるでしょう。
 ただ、個人としてできることは、AIを敵視したり、怯えることではなく、自分のOutputの質を高め、効率化するためにAIを活用することです。
 9/6のイベントはAIと作曲にフォーカスして具体的にお話しますが、他分野の方にも有益なお話ができると思います。是非、ご参加ください!

AI発達の理由をChatGPTに訊いてみた

 ChatGPT3.5に、人工知能が発達した理由を尋ねたところ以下の6つが出てきました。

コンピュータの処理能力の向上:コンピュータの処理能力が著しく向上したことは、AIの発展にとって重要な要因です。高度な計算処理が可能になったことで、膨大なデータの解析や複雑なアルゴリズムの実行が現実的になりました。
ビッグデータの普及:インターネットやセンサー技術の進化により、大量のデータが生成されるようになりました。このビッグデータを適切に解析し、有用な知識を抽出することがAIの進歩に寄与しました。
機械学習の進展:機械学習技術の向上が、AIの発達に大きく貢献しています。特に深層学習(ディープラーニング)の発展により、複雑なパターンや関係性を学習し、自己進化や自己学習を可能にしました。
オープンソースの普及:多くのAI関連の技術がオープンソースで公開され、研究者や開発者が簡単にアクセスできるようになったことで、イノベーションが促進されました。
産業への応用:AIの技術が産業やビジネスの多くの分野に実用化されており、それによって経済的な利益が見込まれるため、研究や開発への投資が増えました。
AI研究への投資:多くの企業や政府がAIに対して積極的に投資を行い、研究開発の推進を支援しています。これにより、AI技術の進化が促進されました。
 これらの要因が相まって、人工知能の発達が進んできました。将来的にも、これらの要因をさらに発展させることで、より高度なAI技術が実現されることが期待されています。

ChatGPT3.5の回答

 こういうまとめは、わかりやすいですね。ネット上の情報を上手に検索する=「ググる」から、ChatGPTに情報を整理して提供してもらうことが、基本的なITスキルになり始めています。ほしい答えを得るための検索のやり方にコツが有るように、生成AIへの尋ね方の巧拙がビジネスの作業効率をきめることになるでしょう。(しかし、「プロンプト・エンジニアリング」が自然言語でできるのはすごい進化ですね)

10/4開講!「山口ゼミ」受講生募集中

 0から1を作るクリエイティブが人間に残された最後の聖域です。作曲においてもどこがクリエイティブなのか見極めて、スキルを磨く部分はAIを上手に使う時代が始まりました。僕らが10年前から提唱しているコーライティングという手法は、人間の創造性の定量化できない部分を引き出すために有効なのかもしれません。そして、コーライティングのメンバーにはAIが必須で入るようになるのでしょう。人間とは違うのは、何をやるかの指示(プロンプト)をする役割が必要だということです。
 「山口ゼミ」および修了生によるプロ作曲家コミュニティCo-Writing Farmでは、そのための情報共有、意識改革を続けていこうと思います

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