「社員との信頼関係があってこそ」:山下建設株式会社 山下社長インタビュー①
山下社長の経歴と社長就任のきっかけ
ーーこれまでのご経歴について教えてください。
慶応義塾大学を卒業後、NHKに入局し、報道記者として主に社会問題を取材してきました。
そのあと神奈川県の新聞社に同じく記者として転職し、合計15年間は記事を書いていました。
実家は建設会社を経営していましたが、特に後継者として意識することはなかったです。
ところが2017年に父が病気になり、突然「会社を継いでほしい」と頼まれることになりました。
それまでは一度も言われたことがなく、この申し出を受け入れるかどうか、2年間悩みました。
ーー会社を継ぐか2年間悩んだ理由は?
報道記者の仕事が非常に面白かったからです。
現場に出てさまざまな人の声を聞き、社会問題をテーマに記事を書くことはとてもやりがいがありました。
これからもやり続けたいと思っていた仕事だったので、突然、建設業に転身することには戸惑いがありました。
また、建設業は全くの未経験であったため、自分がこの会社をうまく引っ張っていけるのかという不安も大きかったです。
ーーそれでも会社を継ぐ決断をされたのはなぜですか?
父の代で会社を潰すわけにはいかないという思いが強くなり、決断しました。
今の自分があるのは会社があったからで、会社は家族の歴史そのものです。なのでこれからも存続させたいと思いましたし、そのためには自分が継ぐしかないと思いました。3代目の社長に就任し4年経ちますが、今も多くの社員が共に働いてくれています。
経営者としての喜びと苦労
ーー経営を続ける中で、嬉しかったことは何ですか?
お客様から「頼んでよかった、ありがとう」と言っていただけることが一番嬉しいです。
特に、工事が終わり建物を引き渡したときに感謝の言葉をいただくと、全ての苦労が報われる思いがします。
この仕事はお客様の大切な財産を扱うので、その期待に応えることができたと感じられる瞬間は経営者として大きな喜びですね。
ーー逆に苦労したことはありますか?
コロナ禍の影響を強く受けた時期が一番苦しかったです。
弊社ではマンションなどの新築工事のほかにも、工場の耐震補強などの修繕工事も行っています。
社会情勢的にどのお客様も設備投資が控えめになり、仕事がかなり減少しました。
ちょうど社長に就任した時期で、とても厳しい状況でしたね。
しかし、昔から働いている社員たちが不満を言わずに頑張ってくれたおかげで、今はだいぶ回復しています。
社員からの「継いでくれてありがとう」
ーー社員とのエピソードを教えてください。
私が社長に就任することになった際、業界未経験でいきなり会社を引き継ぐという状況でした。
しかし社員たちからの反発は全くなく、むしろ歓迎してくれたのです。
父が2017年に病気になったことで、会社の未来についてみんな大きな不安を感じていました。
そんな時に、私が2年遅れでしたが戻ってきたことで「これで会社は存続するんだ」という安心感を持ってもらえたのだと思います。
実際に、一緒に飲みに行った時に「帰ってきてくれてありがとう」と言ってくれる社員もいました。
私が継いだことで、会社の将来が見えたという言葉を聞くたびに、この決断が正しかったと感じています。
ーー会社を継ぐために工夫したことはありますか?
とにかく社員たちに対して誠実に対応しています。
建設業は私にとって全くの異業種だったので、社員たちの知識や経験を尊重し、リスペクトする気持ちを常に持っています。
上からものを言わないことはもちろんですし、社員たちと信頼関係を築くことを大切にした結果、スムーズに会社を継ぐことができたと思います。
最後に
山下社長は、報道機関から全く異なる建設業界へと転身し、報道の現場で培った人間関係の大切さを活かしながら会社を経営されています。
社員の視点を大切にしながら、誠実に向き合われている姿が印象的でした。
次回のインタビューでは、山下社長が描く会社の未来や社員に求める姿について語っていただきます!
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