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3年かかって地下プロジェクトスタート【#24家にまつわるストーリー】

わたしが今住んでいる家は、夫婦で余生を楽しむために亡き夫がデザインし建てた家です。

建築途中で夫が亡くなり、どうなることかと思いましたが、家族の力を結集して完成させ、2021年の5月から息子夫婦とわたしと2匹のワンコと住み始めました。

常に理想を追い求める人だった夫は、住む場所に拘り続けました。人生は住んでいる環境で育まれるのだから、家はただ雨風しのげて寝られればいいとは考えない人でした。

気に入った環境で、心地よい家に住むことは、良い人生を歩むためにたいせつな要素だといい続けていました。わたしの日本の友人の中には、自宅に1日じゅういるのは息が詰まるし、外にいたほうが楽しいからでかけたくなるという人もいます。

そんな人が少なくないのは、住宅事情に加え、安く外食が楽しめて、一歩家を出ればシティライフの中からいろんな刺激がもらえるなんてこともあるのでしょう。

わたしは、旅は好きですがふだんの暮らしではかなりの出不精体質です。息子夫婦も似ていて、必要ないならずっと家にいて外食よりもうち飲み、うち食べを好みます。3人とも家に居ながらにして、それぞれが飽きずに楽しめる趣味もあるので家で過ごせる時間はたいせつです。

この家に住んで3年。大きなキッチン&ダイニング、リビングルームはあるものの、ベッドルームは二部屋しかないので、ゲストが来るとリビングのカウチで雑魚寝しかできずで不便でした。

階下には上階と同じ面積の半地下部分がありますが、夫が住み始めてからDIYを楽しみながら完成させたいからと、オープンスペースのままでした。とはいえ、床や壁がないだけで冷暖房もずっと効いているため、タローは、サンドバッグに筋トレマシーンなど、数々のトレーニングギアをたくさん持ち込んで、パーソナルジムのように使っていました。

息子タローもわたしもDIY人間ではありません。夫にかなり手伝わされたので経験こそありますが、だからこ重労働でその大変さを知っています。とても趣味にはなりえません。

家の建築を請け負った会社に一度は見積もりをお願いしたことがありましたが予算的にとても無理だったのでそのままにしてあったのです。

3年が平和に過ぎてこの家に仲良く、快適に暮らせることがわかってきたので、今年になって再度、別の会社に見積もりを頼んでいました。現在の米国のインフレは凄まじく、前回より安いわけもないのですが、だからといって待ってどうにかなるものでもありません。

今息子夫婦が使っているマスターベッドルームは、本来わたしと夫が楽しむはずだった寝室で、二人一緒に楽しめる大きなシャワールームとダブルシンクの洗面化粧台にソーキングバスも備わっています。


義ムスメのムーちゃんは、暑いのが苦手。米国人シャワー育ちだからか、お風呂に浸かることは好みません。一方、風呂好きタローはお気に入りのエッセンシャルオイルやバスソルトを入れて毎晩リラクゼーションタイムを楽しんでいます。

でも、そのたびにわたしに申し訳ない気もちもあるようで、

タロー「いつでもバスタイムしていいよ。その間はおれたちが部屋出ているからさ」

yahoi「息子夫婦のプライバシースペースに入り込んでまで、お風呂入るのもね……そうまでしては必要ないのでそんな心配しなくていいよ」

息子夫婦が旅で家を空けるときには、

ムーちゃん「ママコ、お風呂洗っておいたからいない間はバスタイム楽しんでね」

義ムスメが気配りしてくれます。

わたしたち夫婦が楽しむはずのスペースで、長い間二人三脚で頑張り大金も注ぎ込んだのに、結果として恩恵を受けていないわたしに対して、一抹の罪悪感を感じているようです。

地下を完成させるにあたって、設計段階になり3人で話し合いました。

yahoi 「基本的にキッチンがわたしのお城だし、楽器の弾けるリビングもあるしでわたしは快適だから、地下空間はあなたたちが好きにしたらいいよ」

タロー「オレたちが地下に引っ越すよ。そしたら上のマスターベッドルーム返せるから毎日バスタイム楽しめるじゃん。3年前とちがってQPさんもいるし。オレはバスタイム気に入っているから、地下にもバスタブ付きバスルーム作る。ゲストルーム2部屋とオレたちのベッドルーム、ムーちゃんは自分のオフィス/ライブラリーがあればハッピーだし、オレはトレーニングルーム&バスタブで超ハッピーだ。そうしよう!」

その要望を伝えて出た見積もり額は想像通り前回以上に高額ではありますが、人生一度きり。先延ばししたらかといってわたしたちの人生時間が延びるわけありません。早くすればするほど、長く楽しめることになるのだからとプロジェクト実行の決断をしました。

銀行に相談してお金を借りる手配もできました。借りるのはタローで、全責任を負うのもタローです。🤣わたしは夫と共にすでに大金をこの家に注ぎ込んだあとの貧乏な未亡人ですから、できる範囲の小さな援助でいきます。

そんなわけで、6月1日から工事が始まりました。

階下では毎朝7時から4時まで大工さんたちカントリー・ミュージックを爆音でかけてトンカンやってます。9月までには完成とのことでとっても楽しみです。




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yahoi /ライフエディター・エッセイスト
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