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"刺さり過ぎる"らしい小説/傲慢と善良
少し前にemさんの↓こちらの記事を拝読し、久々に小説を読んでしまいました。
emさんが冒頭で「いやあもうリアルすぎて刺さりすぎてとんでもない小説ですねこれは…」なんて説明されていた本。
「そんな小説があるんかい?」と思い見てみると、どうも“婚活”舞台のミステリー小説だとわかりそのまますぐにポチりました。
アラ還ですから想定されている読者層からはズレているだろうとは思いながらも、最近までマッチングアプリで新たな恋愛を探す日々を送っていたわたしですから、人々が刺さるほど日本の婚活事情がわかるのかと興味津々でした。
ちょうどQPさんとカリビアンリゾートに行く前だったので、旅の間に読めそう〜と思ってKindle版をDL しておいたのですが、旅の間に読む時間はとれず。(せっかくのロマンチックな旅でこんなチクチクしたの読まなくて良かったワ😁と読み終わって思いました)
でも、おもしろかった。
アルアルな心理描写にリアリティを感じつつ、それぞれに描かれている人間模様、過去のわたしの体験と被り、数々の知り合いの顔が浮かんできました。
本来は本人同士のラブセンサーにフォーカスすればいいような婚活なのに、日本独特の社会構造を背景に、それぞれの立場での傲慢さが爆裂。
一見、おとなしくて控えめな主人公の真実の中にも、善良さと共に彼女なりの傲慢さがあり、ストーリーは見事にそれを浮き彫りにしていく。
在米歴22年でも、日本で生まれ育って大人になったからこそ、日本独特の社会構造による空気感や圧力、親子関係、親戚関係、田舎町で生きる人々の距離感、都会への憧れなど、描かれている若者たちの息苦しさが理解できますが、娘や息子たちにはこの感覚、理解不能だろうなと思いました。
恋愛や結婚に対して本人にとって真に必要なことよりも、見栄と虚栄に基づくジャッジメントの醜さは読んでいてチクチクしますが、そうそうソコが日本と感じてしまう。
とはいえ、わたしも最近まで、マッチングサイトで目をサラにして男性たちを辛辣にジャッジしていたわけで、自分を棚にあげて、傲慢ぶりを発揮しまくった我が身をちょっぴり反省してしまいました。😅
小説の中に出てくる数々のセリフのなかに、誰もが持っている自己愛からの傲慢ぶりに気付かされてしまいます。心の中に潜んでいる打算や悪魔の部分を巧みに剥がされていく感覚です。とはいえ、それは自己愛というよりは将来の幸せのために必要な見極め要素ともいえますが……
結婚と恋愛は違うとよく言われます。
わたし自身は結婚生活を悔いなく成し遂げたと胸をはれる現在なので、婚活してこれから結婚をしようとしている人たちとは感性が違うかもしれませんが、条件より何よりやっぱり“愛情”がたいせつ。
結婚には覚悟が要りますが、覚悟と同時に愛情がなければ幸せは感じられませんから。
人は愛し、愛されるために生まれてきたし、幸せになるためには、愛する努力と愛される努力が必要です。
ネタバレは避けたいので小説の内容には深く触れませんけど、主人公たちが最後に結婚に至るための、たいせつな本質に気付いたようなエンディングだったのでほっとしました。
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