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【エンタメ日記】『東京都同情塔』『アーガイル』『忍びの家』編 2024/02/25~03/03

2024/02/25(月)

【小説/純文学】『東京都同情塔』九段理恵・著

ザハ・ハディド設計の新国立競技場が、あの醜悪な代案ですらなく当初の案が千駄ヶ谷に建設され、しかも延期することなく2020年に五輪が開催されたパラレルな東京に、収容人に優しい高層タワーの刑務所が建てられる話。犯罪者は「ホモ・ミゼラビリス」(同情されるべき人々)と言い換えられる日本において、タワーの設計を手掛ける建築家の牧名沙羅は、あらゆる言葉について執着し、あるいは囚われる。牧名は、建築とは身体であると明言しているが、また言葉もそうなのであろう。建築と人間と言葉が、差異のないものとして有機的に繋がっていく世界。それはまさにザハの新国立競技場が体現した世界であるとの主張とも読み取れる。その一点に限っても、秀逸なザハ論ではないだろうか。


2024/03/01(金)

【初めて入った店】「モンスナック」鳥唐揚げカレー

正確には初めてではないのだが、新宿紀伊国屋ビルの地下のカレー屋「モンスナック」が数年ぶりにリニューアル復活していたので超久しぶりに寄った(店自体は西新宿のほうで営業していたらしい)。内装に関しては、以前とは別物の「普通のファーストフード店」だった。
しかし、あの完全に液体のカレールーは健在。ルーとご飯との分量比率がおかしくないかと感じるのも懐かしい。

鳥唐揚げカレー


2024/03/02(土)

【洋画新作】『アーガイル』マシュー・ボーン監督

TOHOシネマズ新宿・スクリーン7で鑑賞。

何だろうか、この観ているこっちが恥ずかしくなってくる感じは。スパイ小説をヒットさせているベストセラー作家が実は記憶を改竄された本当のスパイだったという”中二病”な設定だけが理由ではない。アクションシーンでの滑稽なポージングやらチープなCG処理からひしひしと伝わる「あえてダサいことやってるぜ」感が、とにかく羞恥心を煽るのである。たとえばボロ小屋の内部に秘密基地があるなどの、これまた”中二病”な要素の数々も、もちろんわざとだろう。しかしマシュー・ボーン監督の狙いがわからない。世界中の人々に「スパイに本気で憧れていた若かりしあの頃」を思い出させて辱めて、その先に何が待っているのだろうか。


2024/03/03(日)

【ドラマ/Netflix】『忍びの家』

主演の賀来賢人が原案とプロデューサーを務め、海外で大ヒットしているらしいドラマ。そのため海外で大コケした『VIVANT』との違いを論じる評も見かけた。そんなわけで、どれだけ革新的なことをしているのかと期待して鑑賞したところ、なんとまあアナクロニズムの塊ではないか。主人公サイドは国から雇われている秘密部隊で、命じられるがままに強大な反政府勢力と対決することになるが、相手の主張にも一理あると気づき、また自分達は国から良いように利用されているのにも感づいてしまい、その立場に疑問を抱く。アメリカの映画やドラマで何百回と採用されてきたプロットである。そこに忍者というベタなオリエンタリズムをエッセンスとして加えれば一丁上がりだ。

アクションシーンになると演者の顔が判別できなくなるのは吹き替えだからだと思われる。そこに引っかかるのは、木村多江がそんな動きできるわけないとすでに知っている日本人だからであり、出演者についての予備知識のない海外の人であれば、さして気にならないのかもしれない。それにしても、顔を布で隠すのはまだいいとして、アクションになると急に引きの画になったり下半身だけ映したりするのは、せっかくの殺陣がもったいない気もする。

海外でどう思われているか知りたいのだが、第1話ではそれなりに登場していた超人的な忍者の技の数々が、後半ではそれほど出ておらず、人間の動きの範疇にとどまる程度だったのは物足りなくはなかっただろうか。奇抜なガジェットとか、物理を無視した動きとか、求められているのはそういうやつでは。あと、物語上の具体的な疑問点として、なぜ主人公たちの家の中は安全だとされているのだろう。結局は敵にも簡単に忍び込まれていたのに。

最終話の前半で話のオチがついたあと、いきなりインパクトのある事件を起こして第2シーズンへのフックとするとともに、回収されずにいたサブの出来事もまとめて次回へ持ち込むようにお膳立てをして終わり。この一連もまたアメリカのドラマにありがちなパターンではあるが、そのスムーズな流れにはたしかに職人の技を感じた。それにしても、実はこれが一番気になるのだが、「毒ガスを撒くテロを計画するカルト宗教集団」ってのも、海外では忍者と同様に「日本を象徴するもの」として認識されているのだろうか。まさか、これこそ日本が世界に誇れる最大のエンタメ素材なのか。


【はじめて食べたもの】クリスピーココナッツロール バナナ

「業務スーパー」で売っていた海外のスナック。サクサクと簡単に口の中に入っていくので、1袋140グラムを速攻で食べ終えてしまった。かかりつけ医に知られたら怒られるやつ。

バナナの風味は最初だけ

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