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ケン・ジョセフ「隠された十字架の国・日本」

ケン・ジョセフ「隠された十字架の国・日本」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
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 クリスチャンである自分には非常に興味深い本であった。景教研究所を創設したケン・ジョセフ親子が2,000年に書いた名著の新装版である。この本には二つの骨子がある。一つは東方基督教と景教について。ローマカトリックやプロテスタントしか知られていない宗教史は、全体から見て大きく欠陥していることを知れる。キリスト教はヨーロッパの暗黒時代の反動で、アジアでの発達が先行した。第二は日本人のルーツについて。決して原住の単一民族ではなく、アッシリアをはじめとして、アジアを経由した海外の多民族が移住した混血なのである。日本はシルクロードの終着駅だったのだ。
 原始基督教は中東で発祥した。イエスの生まれた場所はアッシリア。今はなきアッシリアから、聖人トマスはシルクロードを経てアジアに向かった。その教えは中央アジアを経て、中国🇨🇳、朝鮮半島、日本にも伝わった。この動きを東方基督教と呼び、ギリシャ正教会やロシア正教会など「東方正教会」、景教などの「東方諸教会」を生んだ。景教は「ネストリウス派基督教」とも称されるが、
今のキリスト教はローマ・カトリック教会を頂点と頂いて、マルチン・ルターらの宗教改革によってプロテスタントに分かれた。欧米中心に見えるが、むしろ歴史的にはアジアなど東方を中心に普及していた。カトリックが国家や権力を志向したのに対して、東方基督教は愛と慈善に徹していた。そして仏教など他の宗教宗派とも対立せずに向き合った。従って現在の仏教は、聖書の教えを換骨奪胎したものが多い。431年以降、長い間カトリックは景教を「異端」と呼んで非難してきたが、西暦1,997年にカトリックからの申し出で和解した。
 日本にキリスト教を伝えたのはフランシスコ・ザビエルと、歴史では語られている。しかし実際には奈良時代である。そして日本各地に教会が数多く存在し、日本の人口の3割ほどがキリスト教に帰依していた。日本は豊臣秀吉の切支丹禁止令までは、多くの外国人が自由に闊歩する自由な国であった。しかし政策上で日本人は全て檀家=仏教徒とされ、明治維新以降は神道を強要された。従って多くの寺社で、十字架や三位一体など教会の痕跡が見られる。キリスト教の伝来は、秦氏によって伝えられた。秦氏は大陸から多くの技術や知識を日本にもたらした多能集団であった。聖徳太子は秦氏のサポートで善政を敷いた。十七箇条の憲法もその発露である。そして今の日本国憲法は、聖徳太子による十七箇条憲法の流れを汲んでいる。しかし仏教を利用して政権を奪取した蘇我家の陰謀で、政治の表舞台から追いやられた。古事記や日本書紀は、このような日本人の歴史は、為政者に都合の良いように書き換えられてきた。しかしルーツを知ることは、国民の誇りの基である。だからおろそかにしてはいけない。そのことが自らの自信に繋がってゆく。

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