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かったぱしから読書生活

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大学卒業以来、ずっと出版業界。本が好きで、ずっとこの世界で暮らしている。読書はフィクション派。ファンタジー好きなれど、時代物、ミステリー、純文学、何でも来いで、ひたすら濫読。読書… もっと読む
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2022年2月の記事一覧

乙川優三郎「あの春がゆき この夏がきて」

乙川優三郎「あの春がゆき この夏がきて」

乙川優三郎「あの春がゆき この夏がきて」(徳間書店)。美しい本である。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09J8SNR3B/
 早くに親を亡くしていた神木(こうのぎ)久志は、養父の遺した不動産で藝大を卒業。出版社で装幀の仕事に就いたが、忖度と安定におさまった生活に心が満たされない。やがて退職して川崎にバーを開く。知性的で心配りのできる彼には折々で寄り

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H漫画と直木賞作家作品の共通点

H漫画と直木賞作家作品の共通点

年甲斐もなくエロ漫画を読んだ。Hなテーマなので女性はお読みにならなくて結構。幸田朋弘「うえざっちいず」(ヒット出版)。夜中に覚醒した時に暇潰しに読んだ無料立ち読みページにウルっときて、ついポチしてしまった。ティーンズラブというか童貞処女の初体験物語集であるが、各短編のタイトルが、ヒロインの名前に天候っぽいタイトルがついている。作者によればそれは「なんとなく」であって、深い意味はないそうだ。
 心が

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梓林太郎「人情刑事・道原伝吉 信州・諏訪湖連続殺人〈新装版〉」

梓林太郎「人情刑事・道原伝吉 信州・諏訪湖連続殺人〈新装版〉」

梓林太郎「人情刑事・道原伝吉 信州・諏訪湖連続殺人」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RQK8V2J/
 小さな子供に何度も後をつけられ気持ち悪い、という通報が松本署にあった。道原伝吉が事情を聞いたところ、その子供は古谷智則五歳と判明。母親古谷未砂子との二人暮らしだが、母親は一週間以上行方がわからないという。やがて諏訪湖畔で自殺を装っ

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鈴峯紅也「警視庁公安Jクリスタル・カノン」

鈴峯紅也「警視庁公安Jクリスタル・カノン」

鈴峯紅也「警視庁公安J クリスタル・カノン」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RQK27LW/
 中国一人っ子政策が生んだ「黒孩子」。国家から許されざる出世によって日本に売られた余分な子供たち。人身・臓器売買に手を染める中国犯罪集団「ブラックチェイン」。日本には跡継ぎを必要とする需要が少なからずある。かつて小日向純也が解決した事件から

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上田秀人「大奥騒乱(新装版)」

上田秀人「大奥騒乱(新装版)」

上田秀人「大奥騒乱」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RQLFF7Q/
 第10代将軍家治の寵臣・田沼意次に、次期将軍への野望を絶たれて遺恨を抱く松平定信。田沼意次の息のかかる大奥を脅して、意次一派の失脚を図る。美貌の大奥表使い大島は、御広敷伊賀者同心・御厨一兵を手の者に貰い受ける。松平定信は腹心のお庭番・和多田要を一兵にぶつけてきた

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全てのPDFがMicrosoft Edge に

全てのPDFがMicrosoft Edge に

電子書籍の仕事に従事しているが、先日テクニカルにこういうトラブルがあった。今の電子書籍はEPUB3.0でオーサリングされるが、その入稿作業はPDFで行う。PDFにテキストボックスで指示事項を書き込んで、制作会社にオーサリングをお願いする。例を挙げれば「この写真と脚注はそのまま残す」「解説は削除」「発行日は底本のママ」などである。ところがあるPDFファイルを開いてみると、テキストボックスによる書き込

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