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【ネタバレ】『笑うハーレキン』(道尾秀介)①―道尾さんの小説の魅力
こんにちは。
最近はあまり読書をしていないのですが、先日こちらの本を読んで、色々と面白かったのでご紹介させていただければと思います。
あらすじ
経営していた会社も家族も失った家具職人の東口。川辺の空き地で仲間と暮らす彼の悩みは、アイツにつきまとわれていることだった。そこへ転がり込んできた謎の女・奈々恵。川底に沈む遺体と、奇妙な家具の修理依頼。迫りくる危険とアイツから、逃れることができるのか?道尾秀介が贈る、たくらみとエールに満ちた傑作長篇。
(Amazonの紹介ページより)
初版は2013年と、ハッキリいって【ネタバレ注意!】なんて書けないレベルで今更です。笑
おそらくネタバレを紹介しているサイトはそこそこあるのですが、核心に迫った考察はなかったようなので、こちらで少しまとめてみようかな…という試みです。
主人公はホームレスのおっさんです。
いや、正確にはホームレスではなく…住所不定。住民票を取るための住所はあるんですが、トラックで寝泊まりしているのです。
その住所には他にも住民票を取るために籍を置いている人々がいます。
彼らは、総じて荒川のスクラップ置き場にて暮らしています。彼らもいわゆるホームレスです。
東口は、そんな仲間と混じって生活をしていますが、食い扶持はちゃんとあります。家具の修理職人として。
というのも、元々は家具の会社の社長であった東口は、とある事情でホームレス生活をせざるを得なくなっているのですが…。
道尾秀介氏について
1975年東京生まれ。04年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年には『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞。『向日葵の咲かない夏』は、オリコン調べによる"09年度で最も売れた本"となる。
(Amazonより)
道尾さんの小説は、『いけない』を以前読んだことがあります。
こちらの小説もなかなか面白く、アンソロジー形式のミステリー4選かな?と思いきや…最終章の仕掛けにはグッとくるものがあります。
道尾秀介氏の作品のいいところ・悪いところ
笑うハーレキン・いけないに共通して言えることですが、人物の設定っていうのが凄く独特なんですよね。
『いけない』では、「この町では~してはいけない」という不文律の中で起こる、住民にまつわる秘密がテーマになっています。
道尾さんの小説を読むと、
「あっ、こういう人物設定も取り上げるんだ。」
っていう発見があるんです。それも、よくある『変わった設定』っていうわけではなく、社会的に日陰者だったり、心の闇にフォーカスが当たるような人物だったりします。
おそらく、陰と陽のバランスがメリハリよくついていて、その人物像たちが読者の心を掴むんだろうなと思います。映像化もしやすそうですよね。
逆に、私が考える道尾さんの作品の弱点は、「プロットの歯応えの無さ」です。
確かに、あっと驚かされる展開や、ラストでのどんでん返しは巧みなものがあります。ただ、そこに大きな感情の揺さぶりがあるかというと…正直そこはあまり共感できないといいますか。
もともとの人物設定がとても優秀な分、そこに見合った人物の動きがないのか…人物が独特な分、そこに感情移入がしにくくなっているのか…はたまた私が単に感情移入が下手くそなだけなのか。笑
…とはいえ、道尾ファンからすると
「お前2冊しか読んでなくてよくそんな偉そうなこと言うわ!」
とお叱りを受けそうなので、今後読む作品に期待を込めてこのように品評させていただきました。笑
肝心のネタバレを書こうとしたのですが、結構長くなってしまったのでまた今度書こうと思います。
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