「頑張れ」という言葉が相手を苦しめることもある 岩瀬コラム38
「頑張れ」は良い言葉?
大事な試験や大事な大会がある時など、その人に対して「頑張れ」という言葉をかけることが多いと思います。
それ以外にも、家族が出かける時に
「仕事頑張って」「勉強頑張って」「練習頑張って」など、
家を出る時に「行ってらっしゃい」に加えて声をかける方もいるのではないでしょうか?
「頑張れ」と言う言葉を使う時は「応援している、期待している、支えているよ」というメッセージが込められているかと思います。
しかし、この言葉を使う時は注意が必要です。
一見ポジティブな声かけに思える「頑張れ」という言葉ですが、時に相手を苦しめてしまうこともあります。
例えば、思ったように物事が進んでいない時などがそれに当たります。
私の話を少し、、、
私は高校生の頃、一生懸命トレーニングしていても指導者の方になかなか評価をしてもらえずつらい時期がありました。
思ったように評価してもらず、自主トレなどに対するモチベーションも下がっていました。
それに気づいた父は私に「もっと頑張れ」と励ますように声をかけてくれました。
もちろん父は、私のことをいつも本当にたくさん支えてくれて、応援をしてくれていたのはわかっていました。
しかし、その時の私にはこの「頑張れ」という言葉が余計につらく、当時の私は「うるさい」と反発してしまいました。
応援してくれている、支えてくれているのが分かっているからこそ「頑張れ」という言葉が、プレッシャーになることもあるのです。
「期待に応えられていない」
「もうこれ以上頑張れない」
などと思ってしまっている時は余計につらくなります。
このように普段は言われて嬉しい「頑張れ」という言葉が、時に相手を苦しめてしまうこともあるのです。
「頑張れ」よりも大事なこと
自分の心身の状態が良い時は、「頑張れ」と言われると嬉しく、より気合が入ります。
しかし、心身の状態が不安定な時は逆効果になることもあります。
そうさせないためにはどうしたら良いのでしょうか?
まずは、その人の心情を知ることです。
その人が今現在どういう状況で日々過ごしているのかコミュニケーションを大切にしましょう。
その上で、上手くいっていなくてつらそうな人もいると思います。
私は、そのような人には「頑張れ」という言葉よりも共感や傾聴することを大切にしています。
今でも十分頑張っているということを理解してあげること。
また、どんな事に行き詰まっているのか、何がつらいのか?
具体的な解決策を提示できなくても、話を丁寧に聴いてあげましょう。
吐き出せるだけでも随分と楽になるはずです。
上述した私の例では「頑張れ」と言われるよりも、寄り添って話を聞いてくれたり、努力の仕方や方向性のアドバイスをもらえたら、、、
と今となっては思います。
→当時の父も話を聞こうとしたり、アドバイスしてくれていたかもしれないけど、当時の私はプライドも高く、支えてくれている親ともなると余計に相談もできなくなっていました。
私に限らず、すごくつらい時は周り(特に大切な人)に相談できず1人で抱え込んでしまうものです。
また、周りの人には「そんな小さな事」と思うような出来事でも、本人にはつらいこともあります。
だからこそ、つらそうにしている人にはこちらから歩み寄りましょう。
その時に気休めのような気の利いた言葉を言うのではなく、話を聴き理解しようとする姿勢が大事です。
もし解決できなくても、一緒に解決策を考える。
そんな寄り添うような関わり方が「心の支え」になり、頑張れるはずです。
あなたは容易に「頑張れ」という言葉を使っていないでしょうか?
時には有効で、時には苦しめてしまうこの言葉。
相手の心情に寄り添い、使いどころには気をつけていきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
岩瀬勝覚
理学療法士
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